協会けんぽの公式サイトによると、交通事故やけんかなど第三者の行為によるケガで、健康保険を使って治療を受けたときは、「第三者行為による傷病届」の提出が必要です。業務上のケガや通勤災害でなければ、健康保険を使って治療を受けられます。この場合、加害者が支払うべき治療費を健康保険がいったん立て替え、あとで協会けんぽが加害者に請求するために、この届出が必要になります。届書をすぐに出せないときは、まず事故の状況を電話等で知らせ、後日できるだけ早く届書を出すようにとされています。
この記事は、交通事故などでケガをして、健康保険を使って病院にかかっている人に向けて、協会けんぽの公式サイト「第三者行為による傷病届」「交通事故や第三者行為による傷病届」で確認できた内容を、届出が必要な理由・出す書類・示談の前に気をつけること・提出先の順にまとめたものです(2026年10月9日確認)。健康保険組合や共済組合に加入している人は、加入先の案内で確認してください。仕事中や通勤途中のケガは労災の扱いになり、この記事の対象外です。
- 交通事故や喧嘩など、第三者の行為によるケガを健康保険で治療したときは、第三者行為による傷病届を協会けんぽ支部に出します。
- 治療費は本来、加害者が負担するのが原則です。健康保険を使うと、協会けんぽが一時的に立て替えて払い、あとで加害者に請求します。
- 届書をすぐに出せないときは、事故の状況を電話等で知らせ、後日できるだけ早く出します。
- 交通事故では交通事故証明書を必ず添付します。「物件事故」のときは、人身事故証明書入手不能理由書も必要です。
- 加害者と示談をする前に協会けんぽへ連絡し、白紙委任状を渡さない、金品を受け取ったら必ず報告する、という点に同意する書類(同意書)があります。
第三者行為による傷病届とは?なぜ必要か
公式ページには、届出が必要となる理由が次のように書かれています。
- 自動車事故等の第三者行為によりケガをしたときの治療費は、本来、加害者が負担するのが原則。
- しかし、業務上や通勤災害によるものでなければ、健康保険を使って治療を受けることができる。この場合、加害者が支払うべき治療費を健康保険が立て替えて支払うことになる。
- そこで、協会けんぽがあとで加害者に対して、健康保険給付した費用を請求する際に、「第三者行為による傷病届」が必要になる。すみやかに提出してほしい。
犯罪による被害を受けたことで、加害者に被害者情報等の開示を希望しない場合は、加入している協会けんぽの都道府県支部へ問い合わせるようにとされています。
健康保険を使ったあとの流れ|立て替えから請求まで
公式ページの説明を、順に並べると次のようになります。
- 第三者の行為によってケガをする(交通事故、けんかなど)。
- 業務上や通勤災害でなければ、健康保険を使って治療を受ける。
- 残りの治療費は、本来、加害者が負担すべきものだが、健康保険が立て替えて払う。
- 被害者(被保険者)は、「第三者行為による傷病届」などを協会けんぽ支部に出す。
- 協会けんぽが、あとで加害者(の損害保険会社等)に、立て替えた費用を請求する。このとき、診療報酬明細書の写を添付する。
公式ページは、届書をすぐに提出できないときも、取り急ぎ事故等の状況を電話等で知らせ、後日できるだけ早く提出するよう求めています。事務処理の流れは、公式ページのPDFで図として確認できます。
届出で出す書類|4つの書類の役割
公式ページの「申請に関して」には、次の書類が挙げられています。
| 書類 | 内容(公式サイト) |
|---|---|
| 第三者行為による傷病届 | 基本的に被保険者等が記入する。相手側(損害保険会社等)に依頼できる場合は、相手方の記入も可能。事故証明書を参考に記入する |
| 事故発生状況報告書 | 交通事故の場合、事故の状況や過失割合を判断するうえで重要な書類なので、できるだけ詳しく記入する |
| 同意書 | 協会けんぽが加害者の損害保険会社等へ損害賠償請求をする際、医療費の内訳(診療報酬明細書の写)を添付する。個人情報の提供になるため、本人の同意が必要 |
| 交通事故証明書・人身事故証明書入手不能理由書 | 「交通事故証明書」を必ず添付する。「物件事故」となっている場合は、届出等様式にある「人身事故証明書入手不能理由書」が必要 |
書類上は「被害者」「加害者」と書かれていますが、過失の大小ではなく、ケガをした被保険者を被害者として記入します。
届書を書くときのポイント
- 届書は、基本的に被保険者等が記入します。相手側(損害保険会社等)に頼める場合は、相手方に書いてもらうこともできます。
- 記入するときは、事故証明書を参考にします。
- 交通事故の場合は、事故発生状況報告書を、事故の状況や過失割合を判断できるよう、できるだけ詳しく書きます。
- 記入例は、公式ページ(交通事故や第三者行為による傷病届)に掲載されています。
交通事故証明書の入手
交通事故証明書の発行については、公式ページから自動車安全運転センターのホームページに案内されています。物件事故として扱われている場合は、人身事故証明書入手不能理由書を使います。
示談をする前に気をつけること|同意書の内容
同意書は、医療費の内訳を損害保険会社等に渡すことへの同意だけではありません。公式ページによると、立て替えた治療費が加害者に請求できなくなることを防ぐため、次の3点にもあわせて同意することになっています。
- 加害者と示談する場合は、事前に報告すること。
- 白紙委任状を渡さないこと。
- 金品を受け取った場合は、必ず報告すること。
示談の内容によっては、協会けんぽが立て替えた分を加害者に請求できなくなるおそれがあるため、示談の前に協会けんぽ支部へ連絡しておく必要があります。
添付書類と代理人が出すとき
申請書様式のページでは、必要な添付書類として次のように案内されています。ただし、「主に必要とされるものを掲載しており、場合によっては、ここに掲載のない添付書類が必要となることもある」とされています。
| ケース | 添付書類(公式サイト) |
|---|---|
| 交通事故の場合 | 交通事故証明書(必ず)。「物件事故」の場合は人身事故証明書入手不能理由書 |
| 被保険者のマイナンバーを記載した場合 | 本人確認書類。マイナンバーカードの表面・裏面のコピー。カードがない場合は、番号確認書類(マイナンバー記載の住民票等)と身元確認書類(運転免許証・パスポートのコピー等)の両方。資格情報のお知らせ等の記号番号を記入した場合は、マイナンバーの記入は不要 |
| 法定代理人が提出する場合 | 戸籍謄本、その他法定代理人を証明する書類等、写真付き身分証明書のコピー |
| 任意代理人が提出する場合 | 委任状(任意の様式)、写真付き身分証明書のコピー |
本人がケガをして自分で書類を出せない場合は、代理人が提出できます。法定代理人の場合は戸籍謄本などの証明書類と写真付き身分証明書のコピー、任意代理人の場合は委任状(任意の様式)と写真付き身分証明書のコピーが必要です。社会保険労務士が提出を代行する場合は、申請書等の提出代行欄に社会保険労務士のゴム印等の記載があれば、委任状は不要とされています。代理人の身元確認書類は、社会保険労務士証票のコピーでも構いません。
添付書類は主なものが掲載されているだけなので、実際にどの書類が必要になるかは、加入している協会けんぽ支部に確認すると確実です。
提出先
届書は、加入している協会けんぽ支部に出します。加入の支部は、資格情報のお知らせ等で確認します。事務処理の流れの図(PDF)は、公式ページに掲載されています。
よくある疑問|届出をしないとどうなるか
公式ページには、届出をしなかった場合の扱いについての記載はありません。確かなのは、協会けんぽが加害者に費用を請求する際に届書が必要になるという点と、「すみやかに提出してほしい」とされている点です。届出の要否や出し方に迷ったときは、加入している協会けんぽ支部に問い合わせてください。
また、ケガの原因が仕事中や通勤途中のもので、労災(労働災害・通勤災害)の給付を請求中の場合には、協会けんぽの療養費の申請で、労働基準監督署への照会に関する同意書が必要になります(協会けんぽ「健康保険療養費支給申請書」の案内)。この記事の届出は、あくまで第三者の行為によるケガを、健康保険で治療する場合の手続きです。
届出前のチェックリスト
- ケガの原因が、仕事中・通勤途中のもの(労災)でないか確認する。
- 通院先で、健康保険を使う旨を伝える。
- すぐに届書を出せないときは、協会けんぽ支部に電話等で事故の状況を知らせる。
- 交通事故証明書を入手する(物件事故なら人身事故証明書入手不能理由書も用意する)。
- 事故発生状況報告書を、事故の状況や過失割合がわかるよう、詳しく記入する。
- 同意書の内容(示談の前に報告・白紙委任状を渡さない・金品を受け取ったら報告)を確認し、加害者と示談する前に協会けんぽへ連絡する。
よくある質問
交通事故のケガで健康保険は使えますか?
業務上や通勤災害によるものでなければ、健康保険を使って治療を受けることができます。この場合、加害者が支払うべき治療費を健康保険が立て替えて支払い、協会けんぽがあとで加害者に請求します。
第三者行為による傷病届はいつまでに出しますか?
すみやかに提出するようにとされています。届書をすぐに提出できないときは、取り急ぎ事故等の状況を電話等で知らせ、後日、できるだけ早く提出します。
過失が自分にもある場合も届出は必要ですか?
書類上は「被害者」「加害者」と書かれていますが、過失の大小ではなく、ケガをした被保険者を被害者として記入します。
示談をする前にしておくことはありますか?
加害者と示談する場合は、事前に協会けんぽへ報告します。白紙委任状を渡さないこと、金品を受け取った場合は必ず報告することにも、同意書であわせて同意します。
物件事故になっている場合はどうすればいいですか?
交通事故証明書が「物件事故」となっている場合は、届出等様式にある「人身事故証明書入手不能理由書」が必要です。
出典
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「第三者行為による傷病届」(2026年10月9日確認)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「交通事故や第三者行為による傷病届」(2026年10月9日確認)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「健康保険療養費支給申請書(立替払等、治療用装具)」(2026年10月11日確認)
更新履歴
- 2026年10月9日:記事を公開しました。
