「給与を買い取ります」「SNSで個人が貸します」といった誘いは、お金に困ったときほど魅力的に見えます。しかし、金融庁は、これらを貸金業に当たるとし、登録のない業者はヤミ金融だと注意しています。この記事では、金融庁の注意喚起と条文をもとに、給与ファクタリングと個人間融資の仕組み、罰則、借りてしまったときの相談先を整理します。
- 金融庁は、給与ファクタリングは貸金業に該当すると説明しています。「借金ではありません」という誘い文句は通りません。
- 個人でも反復継続して貸すと貸金業です。SNSでの個人間融資は、ヤミ金融が個人を装う危険があります。
- 登録を受けない貸金業は、貸金業法11条・47条により10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金の対象です。
- 借りてしまったら、警察・消費生活センター(188)・弁護士・司法書士・法テラスに相談します。
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「借金ではありません」は通らない:給与ファクタリング
金融庁の注意喚起「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」には、「借金ではありません」「ブラックOK」などの誘い文句に要注意、と書かれています。いわゆる「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して持つ賃金債権を買い取って金銭を交付し、その個人を通じて債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当する、というのが金融庁の説明です。
金融庁の「一般的な法令解釈に係る書面照会手続」の回答書(令和2年3月5日)は、次のように整理しています。労働基準法24条1項により、賃金は直接労働者に支払わなければならず、賃金債権の譲受人は、自ら使用者に支払を求めることはできません。そのため、このスキームでは、賃金債権の譲受人は、常に労働者に支払を求めることになります。金銭の交付と、労働者からの資金の回収を含めた資金移転のシステムが構築されており、経済的に貸付けと同様の機能を有しているため、貸金業法2条1項の「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法」に該当し、これを業として行う者は「貸金業」に当たる、という判断です。
SNSの個人間融資も、貸金業に当たることがある
金融庁の「SNS等を利用した『個人間融資』にご注意ください!」では、次の点が示されています。
- 個人であっても、反復継続する意思をもって金銭の貸付けを行うことは、貸金業に該当する
- 不特定多数が閲覧できるSNS等で「お金を貸します」「融資します」などと書き込んで契約の締結を勧めることは、貸金業法の規定に抵触する場合がある
- 個人を装ったヤミ金融業者により違法な高金利での貸付けが行われるほか、個人情報が悪用されるなど、さらなる犯罪被害やトラブルに巻き込まれる危険性がある
金融庁は、貸金業の無登録営業および無登録業者による勧誘は、いずれも罰則の対象になるとしています。貸す側も借りる側も要注意、と呼びかけています。
2つの手口を並べて比べる
| 給与ファクタリング | SNS等の個人間融資 | |
|---|---|---|
| 金融庁の説明 | 「給与ファクタリング」などと称して、業として、労働者が使用者に対して持つ賃金債権を買い取って金銭を交付し、労働者を通じて資金を回収することは、貸金業に該当する | 個人であっても、反復継続する意思をもって金銭の貸付けを行うことは、貸金業に該当する |
| 無登録で行うと | 貸金業の登録を受けていなければ、貸金業法11条1項に違反 | 無登録営業と、SNS等での勧誘は、いずれも罰則の対象 |
| 利用者が受ける危険 | 受け取れる賃金より少ない金額しか受け取れず、生活がかえって悪化するおそれ。法外な利息、違法な取立ての被害 | 個人を装ったヤミ金融業者による違法な高金利の貸付け、個人情報の悪用など、さらなる犯罪被害 |
どちらも、貸金業の登録を受けていない者が行えば、違法なヤミ金融です。金融庁は、給与ファクタリングの誘い文句として「借金ではありません」「ブラックOK」などに要注意としています。
根拠になる条文:無登録営業と高金利
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 貸金業法11条1項、47条 | 登録を受けない者は貸金業を営んではならない。違反した者は、10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科 |
| 貸金業法11条2項 | 登録を受けない者は、貸金業を営む旨の表示・広告や、貸付けの契約の締結について勧誘をしてはならない |
| 出資法5条3項 | 業として貸付けを行う者が、年109.5%を超える割合の利息の契約をしたときは、10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科 |
| 出資法5条2項 | 業として貸付けを行う者が、年20%を超える割合の利息の契約をしたときは、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科 |
貸金業法の上限金利(年20%)と、貸金業者の登録制度の考え方は、消費者金融の金利・遅延損害金の上限は年20%で整理しています。出資法の年109.5%超は、さらに重い罰則の対象です。
すでに借りてしまったら
金融庁は、ヤミ金融についての通報・相談先として、警察、消費生活センター、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会を挙げています。登録貸金業者に関する苦情・相談先は、日本貸金業協会、国民生活センターです。債務整理(借金問題)についての相談先は、法テラス、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会、日本貸金業協会、日本クレジットカウンセリング協会、全国銀行協会が挙げられています。
- 金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811(平日10時〜17時。IP電話は03-5251-6811)
- 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター:0570-051051(9時〜17時、土・日・祝日・年末年始を除く。IP電話は03-5739-3861)
- 警察相談専用電話:#9110
- 消費者ホットライン:188(最寄りの消費生活相談窓口を案内)
- 法テラス・サポートダイヤル:0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)
ヤミ金融からの借入れの返済義務や、取立てを受けたときの対応はヤミ金からの借金は返さなくていい?で、取立ての規制は取立て規制で解説しています。
お金に困ったときの、合法的な選択肢
給与ファクタリングや個人間融資に手を出す人の多くは、すでに返済に困っています。返済が苦しいときは、督促や延滞が重なる前に、弁護士・司法書士に債務整理を相談する方法があります。弁護士や司法書士が依頼を受け、貸金業者に通知すると、通常、貸金業者からの連絡は止まります(法テラス)。任意整理は任意整理のメリット・デメリット、自己破産は自己破産のメリット・デメリット、個人再生は個人再生とは?で解説しています。費用が心配なときは、債務整理の費用が払えないときで整理した法テラスの立替制度があります。
給与の買取りを伴わない「給与前払いサービス」は、金融庁が、グレーゾーン解消制度に基づく回答として別に整理しています。給与ファクタリングとは、仕組みが異なります。
借金の減額は、弁護士に無料で相談できます
支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。
ライズ綜合法律事務所では、質問に答えるだけで借金の減額相談を無料で申し込めます(匿名でも可)。まずは減らせる可能性があるかだけでも確かめてみてください。
※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。
まとめ
- 金融庁は、給与ファクタリングを貸金業に該当するとしている。登録がなければ違法なヤミ金融。
- 個人であっても、反復継続する意思をもって貸すと貸金業。SNS等での勧誘も、貸金業法に抵触する場合がある。
- 無登録営業は10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金(貸金業法47条)。年109.5%超の利息の契約は出資法5条3項で同じ刑罰。
- 借りてしまったら、警察(#9110)、消費者ホットライン(188)、弁護士・司法書士、法テラス(0570-078374)などに相談する。
- 返済が苦しいときは、督促が重なる前に、債務整理を弁護士・司法書士に相談する。
よくある質問
給与ファクタリングは、違法ですか?
金融庁は、業として、労働者が使用者に対して持つ賃金債権を買い取って金銭を交付し、労働者を通じて資金を回収することは、貸金業に該当するとしています。貸金業の登録を受けずに行えば、貸金業法11条1項に違反します。
「借金ではありません」と言われても、貸金業になりますか?
金融庁の回答書は、このスキームは経済的に貸付けと同様の機能を有しており、貸金業法2条1項の「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法」に該当すると整理しています。
SNSで知り合った個人からお金を借りるのは、問題ありませんか?
金融庁は、個人であっても、反復継続する意思をもって金銭の貸付けを行うことは貸金業に該当し、無登録営業や無登録業者による勧誘は罰則の対象になると説明しています。個人を装ったヤミ金融業者による違法な高金利の貸付けや、個人情報の悪用の危険があります。
無登録で貸金業を営むと、どんな罰則がありますか?
貸金業法47条により、10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科します。業として年109.5%を超える利息の契約をした場合は、出資法5条3項により、同じ刑罰が定められています。
すでに給与ファクタリングや個人間融資を使ってしまいました。どこに相談しますか?
金融庁は、ヤミ金融についての通報・相談先として、警察、消費生活センター、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会を挙げています。金融庁 金融サービス利用者相談室(0570-016811)や、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)でも案内を受けられます。
出典
- 金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」
- 金融庁「SNS等を利用した「個人間融資」にご注意ください!」
- 金融庁「一般的な法令解釈に係る書面照会手続(回答書)」(令和2年3月5日)
- 金融庁「多重債務についての相談窓口」
- e-Gov法令検索「貸金業法」(第2条、第3条、第11条、第47条)
- e-Gov法令検索「出資法」(第5条)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第24条)
更新履歴
2026年10月9日:記事を公開しました。
