保証人になってほしいと頼まれたら|書面・極度額・公正証書など民法のルールと、請求が来る前の確認

保証人になってほしいと頼まれたら|書面・極度額・公正証書など民法のルールと、請求が来る前の確認

家族や知人から「保証人になってほしい」と頼まれて、断りにくく悩む人は多いはずです。保証人は、借りた本人が払えないときに代わりに払う責任を負います。この記事では、民法の条文をもとに、保証契約の方式、極度額、事業のための借入れの公正証書、情報提供、期限の利益を失ったときの通知、借りた人が破産したときの責任を整理します。

先に結論
  • 保証人は、主たる債務者が払えないときに代わりに払う責任を負います。保証契約は書面でなければ効力がありません(民法446条)。
  • 個人の根保証は、極度額を定めなければ効力がありません(465条の2)。事業のための借入れの保証は、公正証書が必要です(465条の6)。
  • 債権者は、主たる債務者が期限の利益を失ったことを知ってから2か月以内に保証人へ通知しなければなりません(458条の3)。
  • 主たる債務者が自己破産で免責を受けても、保証人の支払義務はなくなりません。
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目次

保証人になるということ:主たる債務者が払えないとき、代わりに払う責任

民法446条1項は、保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う、と定めています。家族や友人に頼まれて、断りにくいまま署名してしまい、あとで請求が来て困る人は少なくありません。保証人になる前に、どんなルールがあるかを知っておくことが大切です。実際に連帯保証人に請求が来たときの流れは連帯保証人に請求が来たらで解説しています。

普通の保証人と連帯保証人の違い

普通の保証人には、債権者から請求を受けたとき、まず主たる債務者に催告するよう請求できる「催告の抗弁」(民法452条)と、債権者が催告したあとでも、主たる債務者に弁済する資力があり、執行が容易であることを証明すれば、まず主たる債務者の財産に執行するよう求められる「検索の抗弁」(453条)があります。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、またはその行方が知れないときは、催告の抗弁は使えません(452条ただし書き)。

連帯保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担しているため、この2つの権利を持ちません(454条)。「まず本人に言ってください」とは言えず、債権者は、連帯保証人に直接、全額を請求できます。契約書に「連帯保証」と書かれていないかを確認してください。

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保証人を守るための民法のルール

場面民法のルール
保証契約の方式保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない(446条2項)。電磁的記録によるものは、書面によってされたものとみなす(同条3項)
連帯保証保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、催告の抗弁・検索の抗弁の権利を持たない(454条)
個人の根保証(借入れの範囲が不特定)極度額(責任の上限)を定めなければ、効力を生じない(465条の2第2項)
個人貸金等根保証の元本確定期日元本確定期日の定めがない場合は、契約締結の日から3年を経過する日とする(465条の3第2項)。定める場合も、契約締結の日から5年を経過する日より後の日と定めたときは、その定めは効力を生じない(同条1項)
事業のための貸金等債務の個人保証契約の締結に先立ち、その日前1か月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、効力を生じない(465条の6)
事業のための保証を頼むときの情報提供主たる債務者は、保証を頼むときに、財産・収支の状況、他の債務の有無と額・履行状況、担保の有無などを提供しなければならない(465条の10第1項)
保証人の請求による情報提供保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合、保証人の請求があれば、債権者は、主たる債務の不履行の有無、残額、弁済期が到来している額などの情報を遅滞なく提供しなければならない(458条の2)
期限の利益を失ったときの通知主たる債務者が期限の利益を失ったとき、債権者は、それを知った時から2か月以内に、保証人にその旨を通知しなければならない。通知しなかった場合、期限の利益喪失の時から通知までの遅延損害金は請求できない(458条の3第1項・2項)

個人の根保証契約では、極度額の定めがなければ契約自体が効力を生じません。「どこまで責任を負うのか」を書面で確認し、極度額が書かれているかを確かめてください(465条の2第3項により、極度額の定めにも446条2項・3項が準用されます)。

事業のための借入れの保証:公正証書と情報提供

民法465条の6は、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約などは、契約の締結に先立ち、締結の日前1か月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、効力を生じない、と定めています。保証人になろうとする者は、主たる債務の内容や、保証債務を履行する意思などを公証人に口授します(同条2項)。この規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には適用されず、主たる債務者が法人である場合の理事、取締役、執行役や、総株主の議決権の過半数を有する者、主たる債務者と共同して事業を行う者などの保証契約には適用されない場合があります(465条の9)。

主たる債務者は、事業のために負担する債務の保証を頼むときは、財産・収支の状況、他の債務の有無と額・履行状況、担保の有無などを、頼む相手に提供しなければなりません(465条の10第1項)。情報を提供しなかったり、事実と異なる情報を提供したために、頼まれた人が誤認して保証契約を結び、そのことを債権者が知り、または知ることができたときは、保証人は契約を取り消すことができます(同条2項)。

保証人になったあと:請求が来る前にできること

  • 情報の請求:主たる債務者の委託を受けて保証人になった場合は、債権者に、主たる債務の不履行の有無や残額などの情報を請求できます(458条の2)
  • 通知を確認する:主たる債務者が期限の利益を失ったとき、債権者は、知った時から2か月以内に保証人へ通知する必要があります(458条の3)。通知が遅れた場合は、その間の遅延損害金は請求できません
  • 債務整理の影響:主たる債務者が免責を受けても、保証人の支払義務はなくなりません(千葉地方裁判所。破産法253条2項も、免責許可の決定は、保証人に対する権利に影響を及ぼさない、と定めています)。主たる債務者の債務整理は、保証人に請求が行く原因になります

主たる債務者の免責の効力は、保証人には及びません。主たる債務者の債務整理は自己破産のメリット・デメリット、任意整理のメリット・デメリットで解説しています。保証人自身が返済に困ったときも、債務整理を弁護士・司法書士に相談できます。

頼まれたときの断り方と、相談先

保証は、「迷惑をかけない」と言われても、主たる債務者が返せなくなれば、請求が保証人に来ます。頼まれたら、金額・期間・極度額を書面で確認し、返済の見通しや他の債務の状況を、本人に尋ねてください。納得できないときは、はっきり断ってかまいません。家族の借金については、家族だというだけで返す義務はありません(家族の借金を代わりに払う義務はある?)。

相談は、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374、平日9時〜21時、土曜9時〜17時)や、弁護士会・司法書士会の窓口でできます。費用が心配なときは債務整理の費用が払えないときで整理した法テラスの立替制度があります。「保証料を先に振り込めば貸す」といった話は融資保証金詐欺の可能性が高く、「審査なし」をうたう業者や個人間融資、給与ファクタリングも、貸金業の登録がない違法な貸付である可能性が高いため、使わないでください。

借金の減額は、弁護士に無料で相談できます

支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。

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まとめ

  1. 保証人は、主たる債務者が払えないときに、代わりに払う責任を負う。保証契約は書面でしなければ効力がない。
  2. 個人の根保証契約は、極度額を定めなければ効力がない。
  3. 事業のための借入れの個人保証は、契約前1か月以内の公正証書が必要。主債務者には保証を頼むときの情報提供義務がある。
  4. 債権者は、期限の利益の喪失を知ってから2か月以内に、保証人に通知する必要がある。
  5. 主債務者が免責を受けても、保証人の支払義務はなくならない。頼まれたら金額・期間・極度額を書面で確認する。

よくある質問

保証人になると、どんな責任を負いますか?

民法446条1項により、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負います。連帯保証人の場合は、催告の抗弁・検索の抗弁の権利がありません(454条)。

口約束だけで、保証人になることはありますか?

保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じません(民法446条2項)。電磁的記録によるものは書面とみなされます(同条3項)。

極度額とは、何ですか?

根保証契約(借入れの範囲が不特定の保証)で、保証人が責任を負う上限の金額です。個人の根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じません(民法465条の2)。

事業のための借入れの保証には、特別なルールがありますか?

事業のために負担した貸金等債務の保証契約などは、契約前1か月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、効力を生じません(民法465条の6)。一定の人は適用されません(465条の9)。

借りた人が自己破産したら、保証人はどうなりますか?

千葉地方裁判所は、免責の効果は保証人には及ばないので、保証人の支払義務はなくなりません、としています。

出典

更新履歴

2026年10月9日:記事を公開しました。

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