「審査なし」「ブラックOK」は貸金業者の広告ルール違反?貸金業法15条・16条を整理

「審査なし」「ブラックOK」は貸金業者の広告ルール違反?貸金業法15条・16条を整理

「審査なし」「ブラックOK」「誰でも借りられる」といった広告を見て、本当に借りられるのか、問題はないのかと考える人は多いはずです。貸金業法は、貸金業者に返済能力の調査を義務づけ、広告や勧誘に細かいルールを定めています。この記事では、条文と金融庁の注意喚起をもとに、広告のルール、禁止される表示、勧誘を断った後のルール、借りる前の確認点を整理します。

先に結論
  • 登録された貸金業者は、返済能力を調査する義務があります(貸金業法13条)。「審査なし」は法律の趣旨と合いません。
  • 広告には、登録番号と貸付けの利率などの表示が必要です。連絡先は、登録簿に登録されたもの以外を載せてはいけません(15条)。
  • 借入れの容易さの過度な強調、返済能力がない者を対象にする旨の表示は禁止です(16条2項)。
  • 勧誘を断ったのに続けることは禁止されています(16条4項)。おかしい広告は日本貸金業協会・188・警察に相談します。
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目次

「審査なし」「ブラックOK」は、登録業者の広告としておかしい

貸金業法13条1項は、貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合には、顧客等の収入または収益その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力に関する事項を調査しなければならない、と定めています(返済能力の調査義務)。個人と契約するときは、指定信用情報機関の信用情報を使わなければなりません(同条2項)。つまり、登録された貸金業者は、法律上、返済能力の調査(審査)を行う義務があります。「審査なし」「誰でも借りられる」といった表示は、この法律の趣旨と合いません。

金融庁の「違法な金融業者にご注意!」にも、違法な業者の手口として、「低利で融資」「他店で断られた方でもOK」「らくらく・簡単」「即日融資」など、利用者の心理をついて誘い込み、特に自己破産者や返済に困っている多重債務者をターゲットに勧誘してくる、と書かれています。

貸金業法が定める広告のルール

  • 表示が必須の事項(15条1項):貸付けの条件について広告するときは、貸金業者の商号・名称または氏名と登録番号、貸付けの利率などを表示しなければならない
  • 連絡先(15条2項):広告や、書面を送っての勧誘では、電話番号などの連絡先に、貸金業者登録簿に登録されたもの以外を表示してはならない
  • 誇大広告の禁止(16条1項):貸付けの利率その他の貸付けの条件について、著しく事実に相違する表示・説明や、実際のものより著しく有利であると人を誤認させる表示・説明をしてはならない
  • 勧誘を断られたら(16条4項):契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む)が表示されたときは、勧誘を引き続き行ってはならない
  • 配慮義務(16条5項):広告・勧誘をするときは、返済能力を超える貸付けの防止に配慮し、広告・勧誘が過度にわたらないよう努めなければならない

広告や勧誘で禁止されている表示は、16条2項に列挙されています。

貸金業法16条2項が禁止する広告・勧誘の表示(要点)内容
1号資金需要者等を誘引することを目的とした特定の商品を、その貸金業者の中心的な商品であると誤解させるような表示・説明
2号他の貸金業者の利用者または返済能力がない者を対象として勧誘する旨の表示・説明
3号借入れが容易であることを過度に強調することにより、資金需要者等の借入意欲をそそるような表示・説明
4号公的な年金、手当等の受給者の借入意欲をそそるような表示・説明
5号貸付けの利率以外の利率を、貸付けの利率と誤解させるような表示・説明

「他社で断られた人もOK」「ブラックでも大丈夫」「無職でも借りられる」といった表示は、2号(返済能力がない者を対象に勧誘する旨)や3号(借入れの容易さの過度な強調)に当たるおそれがあります。登録番号の表示がない、または携帯電話の番号しか書かれていない広告は、15条の定めに反する疑いが強く、無登録のヤミ金融の可能性があります。確認方法は貸金業者の登録を確認する方法で解説しています。広告を見て申し込む前に、必ず登録の有無を確かめてください。

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違法な業者の勧誘の特徴(金融庁)

  • 主に、電話、チラシ、ダイレクトメールで勧誘してくる。首都圏の違法な業者が、地方の利用者に勧誘する例も多い
  • 貸付金額は、3万円から5万円など小口が主流。貸付期間は、7日から10日間と短期間が主流で、違法な高金利の利息などを短期間に返済請求され、すぐに行き詰まる
  • 返済が遅れたときの取立てのために、借りた本人の住所、電話番号、勤務先だけでなく、親兄弟・親類の連絡先を聞いてくる
  • 一度、違法な金融業者から借入れすると、ほかの同様の業者から、電話やダイレクトメールによる勧誘が頻繁に行われる。業者間で情報を共有していると考えられる(金融庁)

「10日で3割、5割の利息」「3万円借りて7日後に1万円の利息」といった利息は、出資法の上限金利を超える違法な金利の例です(金融庁)。ヤミ金融からの借入れの扱いはヤミ金からの借金は返さなくていい?で解説しています。

勧誘の場面で禁止されている行為(12条の6)

貸金業法12条の6は、貸金業者が、次の行為をしてはならない、と定めています。

  • 資金需要者等に対し、虚偽のことを告げ、または貸付けの契約の内容のうち重要な事項を告げない行為
  • 不確実な事項について断定的判断を提供し、または確実であると誤認させるおそれのあることを告げる行為
  • 保証人となろうとする者に対し、主たる債務者が弁済することが確実であると誤解させるおそれのあることを告げる行為
  • そのほか、偽りその他不正または著しく不当な行為

保証人を頼まれたときの民法のルールは保証人になってほしいと頼まれたらで解説しています。

広告を見て借りる前に確認すること

  1. 登録番号が書かれているか。金融庁の検索や日本貸金業協会の協会員検索で、実在するか確かめる(登録番号を詐称する業者もいます)
  2. 利率が書かれているか。年20%を超える利率は、出資法違反です(金融庁。貸付けの上限金利は消費者金融の金利・遅延損害金の上限は年20%)
  3. 連絡先が、携帯電話の番号だけになっていないか
  4. 契約前に、契約内容を説明する書面を渡されるか(書面は貸金業者から借りるとき受け取る書面で解説)
  5. 収入を証明する書類を求められるか。登録業者は、一定額を超える貸付けでは、収入を証明する書類の提出を受ける必要があります(総量規制とは?で解説)

広告に違反が疑われるときや、断ったのに勧誘が続くときは、日本貸金業協会(0570-051-051)、金融庁、消費者ホットライン188、警察(#9110)などに相談できます(貸金業者とのトラブルの相談先)。

借りる前に、本当に必要か考える:公的な選択肢

資金に困ったときは、広告を出している業者に急いで申し込む前に、公的な貸付けや相談を検討してください。社会福祉協議会の生活福祉資金は生活福祉資金とは、無料の借金相談はJCCOの無料借金相談、借入れを自分で止める制度は貸付自粛制度とは?で整理しています。債務整理は債務整理4種類の違い、費用が心配なときは債務整理の費用が払えないときで解説しています。法テラス・サポートダイヤルは0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)です。

「審査なし」「ブラックOK」をうたう業者、個人間融資、給与ファクタリングは、貸金業の登録がない違法な貸付である可能性が高いため、使わないでください(給与ファクタリング・個人間融資は違法?)。

借金の減額は、弁護士に無料で相談できます

支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。

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まとめ

  1. 貸金業者には、返済能力を調査する義務がある(貸金業法13条)。「審査なし」は法律の趣旨と合わない。
  2. 広告には、登録番号と貸付けの利率の表示が必要。連絡先は登録簿に登録されたもの以外を載せられない(15条)。
  3. 誇大広告は禁止。借入れの容易さの過度な強調、返済能力がない者を対象とする旨の表示も禁止(16条)。
  4. 契約しない意思を示した人への勧誘の継続は禁止(16条4項)。
  5. 広告の登録番号と連絡先を確かめ、おかしいと思ったら日本貸金業協会、188、警察などに相談する。

よくある質問

「審査なし」で借りられる貸金業者はありますか?

貸金業法13条は、貸金業者は貸付けの契約を結ぼうとするとき、収入や借入れの状況などの返済能力を調査しなければならない、と定めています。「審査なし」をうたうのは、この法律の趣旨と合わず、登録のない業者の可能性が高いため、使わないでください。

貸金業者の広告に、登録番号は必要ですか?

必要です。貸金業法15条1項は、貸付けの条件について広告するとき、貸金業者の商号・名称または氏名と登録番号、貸付けの利率などを表示しなければならない、と定めています。

「ブラックでも借りられる」という広告は、問題ありませんか?

貸金業法16条2項は、他の貸金業者の利用者または返済能力がない者を対象として勧誘する旨の表示や、借入れが容易であることを過度に強調する表示を禁止しています。該当するおそれがあります。

断ったのに、勧誘が続くときは?

貸金業法16条4項は、契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む)が表示されたときは、勧誘を引き続き行ってはならない、と定めています。日本貸金業協会や消費者ホットライン188に相談できます。

広告の電話番号は、何でもいいですか?

いいえ。貸金業法15条2項は、広告などの連絡先に、貸金業者登録簿に登録された事項以外のものを表示してはならない、と定めています。携帯電話の番号しか書かれていない広告は、ヤミ金融の可能性があります。

出典

更新履歴

2026年10月9日:記事を公開しました。

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