アルバイトの労災|仕事中・通勤途中のケガは健康保険でなく労災、休業は4日目から給付基礎日額の60%

アルバイトの労災|仕事中・通勤途中のケガは健康保険でなく労災、休業は4日目から給付基礎日額の60%

厚生労働省の「確かめよう労働条件」Q&Aによると、労災保険は、正社員、アルバイト、パートタイマーなど名称や働き方にかかわらず適用されます。給付内容も、アルバイト・パートと正社員で同じです。仕事中のケガ(業務災害)や、通勤途中のケガ(通勤災害)で労災保険の対象になる場合は健康保険は使えませんので、病院では仕事中・通勤途中のケガであることをはっきり申し出ます。会社が「自分の不注意だから労災は使えない」「仕事中ではないから労災は使えない」と言っても、それだけで労災の対象から外れるわけではありません。

この記事は、アルバイトやパートで働いていてケガをした人、会社から労災を使わせてもらえないと言われた人、副業・兼業をしている人に向けて、「確かめよう労働条件」のQ&A(アルバイト中の事故・アルバイト先に向かう途中の転倒・副業の労災保険)で確認できた内容を、対象になる場面・主な給付・副業のときの給付額の順にまとめたものです(2026年10月9日確認)。労災に当たるかどうかの個別の判断は、労働基準監督署が行います。

先に結論
  • 労災保険は、労働者を1人でも雇用する事業に適用され、保険料は全額事業主が負担します。アルバイト・パートも対象です。
  • 会社が労災保険の加入手続きを怠っていた場合でも、被災した労働者への保険給付は行われます。
  • 業務災害の休業補償給付は、休業4日目から1日につき給付基礎日額の60%相当額です(ほかに休業特別支給金20%)。
  • 休業の最初の3日間は労災から出ないため、会社は労基法に基づき平均賃金の60%以上の休業補償をする必要があります。
  • 副業・兼業をしている人は、すべての就業先の賃金を合算して給付額が決まります。
  • 労災の請求に会社が協力してくれないときは、労働基準監督署に相談します。
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目次

アルバイト中のケガ|会社の自転車で配達中に転倒した例

Q&Aには、「アルバイトで会社の自転車で商品を配達していた際に、転倒して足を骨折した。上司から『自分の不注意でけがをしたのだから労災保険は使えない』と言われた」という質問があります。答えは次のとおりです。

  • 労災保険は、正社員、アルバイト、パートタイマーなど名称や働き方にかかわらず適用される。
  • 労働者が業務上の事由により負傷した場合は、労災保険から保険給付(治療費、休業補償など)が行われる。給付内容は、アルバイト・パートも正社員と同じ。
  • この例では、会社から指示された配達業務中のケガなので、労災給付の対象になるものと考えられる。
  • 労災保険の対象になる場合は、健康保険は使えない。病院で受診するときに、仕事中のケガであることをはっきり申し出る。
  • 労災請求について会社から協力が得られない場合は、労働基準監督署に相談する。

業務災害と認められる場合・認められない場合

Q&Aが紹介している厚生労働省パンフレット「労災保険給付の概要」の整理は、次のとおりです。

状況扱い
所定労働時間内や残業時間内に、事業場施設内で業務に従事している特段の事情のない限り、業務災害と認められる
昼休みや就業時間前後に、事業場施設内にいて業務に従事していない休憩時間や就業前後の私的な行為による災害は、業務災害とは認められない。ただし、トイレなどの生理的行為は、業務に付随する行為として、就業中の災害と同様に業務災害となる
出張や社用の外出などで、事業場施設外で業務に従事している事業主の命令を受けて仕事をしているときは事業主の支配下にあり、積極的な私的行為を行うなど特段の事情のない限り、一般的に業務災害と認められる

次の場合は、業務災害とは認められません。

  • 就業中に私用(私的行為)を行い、または業務を逸脱する恣意的行為をしていて、それが原因で災害を被った場合
  • 労働者が故意に災害を発生させた場合
  • 個人的な恨みなどにより、第三者から暴行を受けて被災した場合
  • 地震、台風など天災地変によって被災した場合(ただし、事業場の立地条件や作業環境などにより、天災事変で災害を被りやすい業務の事情があるときは、業務災害と認められる)

主な労災保険の給付(業務災害)

Q&Aによると、業務災害による傷病については、労働基準監督署に備え付けてある請求書を提出することにより、次の給付が受けられます。

給付内容(Q&A)
療養補償給付必要な療養の給付または必要な療養費の全額。労災保険指定医療機関なら無料で治療・薬剤の支給を受けられ、療養費を支払う必要はない。指定医療機関でない場合は、一旦療養費を立て替えて払い、その後、労働基準監督署に請求書を出すと支払われる
休業補償給付療養のため働けず賃金を受けられないとき、休業4日目から1日につき給付基礎日額の60%相当額。ほかに、休業特別支給金として、休業4日目から1日につき給付基礎日額の20%相当額

休業の最初の3日間は、労災保険からの休業補償給付が行われません。そのため、使用者は、労基法に基づき、平均賃金の60%以上の休業補償を行う必要があるとされています。

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アルバイト先に向かう途中のケガ|通勤災害

Q&Aには、「自宅からアルバイト先の会社に向かう途中、最寄り駅の階段で誤って転倒し足を骨折した。上司から、仕事中のケガではないので労災の対象にはならないと言われた」という質問もあります。答えは、通勤途上の負傷(通勤災害)も労災保険の対象になるというものです。

  • 通勤災害では、労災保険から、治療費や、負傷のため仕事を休み賃金を受けられないときの休業給付などが行われる。
  • 給付内容は、アルバイト・パートも正社員と同じ。
  • 労災保険の対象になる場合は、健康保険は使えない。病院では、会社に出勤する途中のケガであることをはっきり申し出る。

「通勤」とされる範囲

労災保険法でいう「通勤」とは、就業に関し、次の移動を合理的な経路および方法で行うことをいい、業務の性質を有するものを除きます。

  1. 住居と就業の場所との間の往復
  2. 就業の場所から他の就業の場所への移動
  3. 単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動

移動の経路を逸脱し、または中断した場合は、逸脱・中断の間とその後の移動は「通勤」になりません。ただし、例外的に認められた行為で逸脱・中断した場合は、その後の移動は「通勤」になります。また、「就業に関し」というのは、被災当日に就業することになっていた、または現実に就業していたことが必要です。遅刻やラッシュを避ける早出など、通常の出勤時刻とある程度前後していても、就業との関連性は認められます。

副業・兼業している人の労災

Q&Aによると、労災保険法には、副業・兼業をしている人が労働災害に被災した場合に備えた制度があります。事業主が同一でない複数の事業場と労働契約関係にある人を複数事業労働者といい、給付額は、すべての就業先の賃金額を合算した額を基礎として決まります。

Q&Aの例では、A社の給与が20万円、B社の給与が15万円の人が、B社で労災により骨折して入院したとき、休業補償給付の算定の基礎となる給付基礎日額は、B社の15万円だけでなく、A社の20万円も合わせた合計35万円で算定されます。

さらに、複数業務要因災害という制度もあります。1つの事業場の業務上の負荷(労働時間やストレスなど)だけでは労災認定できない場合でも、複数の事業場の負荷を総合的に評価して、労災認定できる場合は保険給付が受けられるというものです。Q&Aの例では、2社の残業時間を合わせると毎月80時間を超える状態が恒常化していて心筋梗塞で倒れた場合、各社の労働時間だけでは認定基準に届かなくても、2社を総合的にみて労災認定される、とされています。

なお、労災保険は、労働者の業務や通勤が原因である負傷、疾病、障害、死亡に対して、国が事業主に代わって給付を行う公的な制度で、業務が原因のものを「業務災害」、通勤によるものを「通勤災害」といいます。住居とは、労働者が居住している家屋などで、本人の就業の拠点となるところをいいます。

労災でケガをしたときのチェックリスト

  1. ケガをした場所・時刻・状況(仕事中か、通勤途中か)をメモに残す。
  2. 病院の受付で、仕事中(または通勤途中)のケガであることをはっきり伝える。
  3. 会社に報告し、労災の請求書(労働基準監督署に備え付けのもの)の手続きに協力してもらう。
  4. 会社が協力してくれないときは、労働基準監督署に相談する。
  5. 休んだ場合は、最初の3日間について会社の休業補償(平均賃金の60%以上)を確認し、4日目以降の休業補償給付を請求する。
  6. 副業をしている場合は、他の就業先の賃金額も伝える(給付額の算定に合算される)。
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よくある質問

アルバイトでも労災保険は使えますか?

使えます。労災保険は、正社員、アルバイト、パートタイマーなど名称や働き方にかかわらず適用されます。給付内容も正社員と同じです。

会社が労災保険に入っていなくても給付は受けられますか?

会社が労災保険への加入手続きを怠っている場合にも、被災した労働者に対する保険給付は行われます。

通勤途中のケガも労災になりますか?

通勤災害として、労災保険の対象になります。ただし、移動の経路を逸脱したり中断したりした場合は、その間とその後の移動は「通勤」になりません。

労災で休んだ間の給料はどうなりますか?

休業4日目から、1日につき給付基礎日額の60%相当額の休業補償給付が支給され、ほかに休業特別支給金として20%相当額が支給されます。最初の3日間は、使用者が労基法に基づき、平均賃金の60%以上の休業補償を行う必要があります。

副業をしている場合、労災の給付額はどう決まりますか?

複数事業労働者の給付額は、すべての就業先の賃金額を合算した額を基礎として決まります。

出典

更新履歴

  • 2026年10月9日:記事を公開しました。
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