台風のあと、「保険金が使えます」「保険金で自己負担なく直せます」と言って訪ねてくる住宅修理業者には注意が必要です。業者から訪問や電話で勧誘されて契約してしまった場合でも、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であればクーリング・オフで契約を解除できます。
ただし対象は訪問販売・電話勧誘販売で契約した場合です。自分で業者を探して契約した場合は対象外のことがあるため、迷ったら消費者ホットライン188に相談してください。
すでに契約してしまった、お金を払ってしまった、工事が始まってしまった、保険金の一部を手数料として要求された——どの段階でも、あわてて自己判断せず、まずは加入している損害保険会社や消費生活センターに相談することが大切です。
この記事では、悪質な修理業者の典型的な手口、状況別の対処法、そしてクーリング・オフ通知の書き方までを、国民生活センター・日本損害保険協会・消費者庁の公式情報にもとづいて解説します。
- 「保険金が使える」と訪問してきた業者とその場で契約しない。まず自分の保険会社・代理店に連絡する。
- 訪問販売・電話勧誘販売で契約してしまっても、法律で決められた書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフで無条件解除できる。書面を業者が持ち帰るなどして受け取っていなければ、期間はまだ始まっていない。
- お金を払った・工事が始まっている場合も、クーリング・オフ期間内なら返金と原状回復を無償で求められる。
- 保険金の一部を手数料として要求されたら、その場で応じず契約書を確認する。保険金請求は契約者本人が無料でできる。
- 工事費用をクレジット(ローン)で契約している場合は、販売業者とクレジット会社の両方に同時にクーリング・オフを通知する。
- 迷ったら消費者ホットライン188にすぐ相談する。
台風のあと「保険金が使えます」と訪ねてくる屋根修理業者の詐欺に注意
増えている「保険金が使える」住宅修理トラブル
国民生活センターによると、「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスの相談は、2010年度の111件から2019年度には2,684件へと約24倍に急増しました。日本損害保険協会も、2020年度の相談件数が前年度の2,691件からほぼ倍の5,359件になったと発表しており、台風や豪雨など自然災害の直後に相談が集中する傾向があるとしています。
日本損害保険協会によると高齢者を中心に、台風25号のような大きな被害が出た直後は、こうした勧誘が増える時期にあたります。
悪質業者の典型的な手口
国民生活センターや日本損害保険協会が公表している相談事例には、次のような手口が挙げられています。
- 電話や訪問で「火災保険の保険金を使えば自己負担なしで直せる」と勧誘する
- 契約時に説明のないまま、「工事をキャンセルすると保険金の一定割合を違約金として支払う」という条項を契約書に入れている
- 契約書の控えなど書面はすべて業者が持ち帰り、その場で消費者の手元に残さない
- 実際には損傷していない箇所をわざと壊す、または被害を大きく見せるよう勧める
- 「被害の診断・保険金請求を代行する」として、保険金が支払われたあとに高額な手数料を求める
国民生活センターが公表した実際の相談事例では、業者が屋根の損傷箇所を撮影し、約400万円の工事見積もりを出した消費者が、契約時には違約金についての説明がなかったにもかかわらず、あとで書類を見ると「工事をしない場合は保険金の5割を違約金として支払う」という条項が記載されていたケースが紹介されています。
状況別・今すぐやることチェック表
すでに業者と関わってしまった場合は、自分がどの段階にいるかを確認し、次の表のとおり対応してください。
| 状況 | 今すぐやること |
|---|---|
| 契約してしまった | 訪問販売・電話勧誘販売なら、書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフで無条件解除できる(書面を渡されていなければ期間は未開始)。8日を過ぎていても、クーリング・オフに関する事実と違う説明・威迫があれば188へ。クレジット契約なら販売業者とクレジット会社の両方に通知する。 |
| お金を払ってしまった | 契約をクーリング・オフで解除すれば代金の返還を請求できる。契約書・領収書・やり取りの記録は必ず保管し、188へ相談する。 |
| 工事が始まってしまった | クーリング・オフ期間内であれば、工事に着手していても契約を解除できる。役務がすでに提供されていてもその対価を支払う必要はなく、建物などの現状が変更されていれば無償で元に戻してもらえる。 |
| 保険金の一部を手数料として要求された | その場で応じない。保険金の請求手続きは契約者本人が手数料なしで行えるものなので、加入している損害保険会社・代理店、日本損害保険協会の相談ダイヤルに確認する。 |
「保険金が使える」は本当?正しい保険金の請求方法
台風による住宅の被害が実際に火災保険の補償対象になるかは、契約している保険の内容によって異なります。日本損害保険協会は、「保険が使える」と言われたら住宅修理業者と契約する前に、まず加入している損害保険会社または代理店に相談するよう呼びかけています。
保険金の請求手続きは、契約者自身が手数料をかけずに行うことができます。業者に代行を依頼する必要はなく、実際の被害と異なる内容で保険金を請求することは不正請求にあたるおそれがあるため、業者から誇張や虚偽の申告を勧められても応じないでください。
保険金の申請代行トラブルに注意
「被害診断をして保険金請求を代行する」とうたい、「支払われた保険金の中から手数料を払えばよい」といった甘い言葉で契約させる業者も報告されています。日本損害保険協会の注意喚起では、こうした保険金請求代行のトラブルとして、過大・不要な工事が含まれることで保険金が支払われず自己負担が生じたり、業者に手数料を支払った結果、保険金だけでは修理費用が足りなくなったり、解約を申し出ると高額な解約手数料を請求されたりする例が挙げられています。
保険金の請求で困ったときは、日本損害保険協会の「そんぽADRセンター」(電話:03-4332-5241、月〜金曜9時15分〜17時、祝日・年末年始を除く)に相談できます。台風の被害で契約している保険会社が分からなくなったときは、「自然災害等損保契約照会センター」(電話:0120-501331、月〜金曜9時15分〜17時、祝日・年末年始を除く)に照会できます。保険金の請求代行を持ちかけられて困ったときは、「保険金に関する災害便乗商法 相談ダイヤル」(電話:0120-309-444、月〜金曜9時〜12時・13時〜17時、祝日・同協会休業日を除く)にも相談できます。
屋根修理業者と契約してしまったときのクーリング・オフのやり方
クーリング・オフの期間と対象
クーリング・オフの対象になるのは訪問販売・電話勧誘販売で契約した場合です(自分で探して依頼した場合は対象外のことがあります)。消費者庁の特定商取引法ガイドによると、クーリング・オフができるのは、法律で決められた事項を記載した書面を受け取った日から数えて8日以内です。この期間は書面を受け取った日から起算するため、業者が書面を持ち帰ってしまい手元にない場合、期間はまだ始まっていません。期間内であれば、書面または電磁的記録によって申込みの撤回や契約の解除ができ、業者から損害賠償や違約金を請求されることはありません。工事などの役務がすでに提供されていても対価を支払う必要はなく、建物などの現状が変更されていた場合は無償で元に戻してもらえます。工事費用をクレジット(ローン)で契約している場合は、販売業者とクレジット会社の両方に同時に通知してください。
通知書(はがき)の書き方と送り方
国民生活センターの解説では、クーリング・オフの通知書には、次の内容を書くとされています。
- 契約年月日
- 商品名・工事名などの契約内容
- 契約金額
- 販売会社名
- 「この契約を解除します」という明記
- 発信日
- 自分の住所と氏名
商品や部材をすでに引き渡している場合は「引き渡し済みの〇〇を返還してください」と書き添えます。送付する前に、はがきの両面をコピーしておき、「特定記録郵便」や「簡易書留」、「内容証明郵便」など発信の記録が残る方法で送り、コピーと送付記録を一緒に保管しておきましょう。
電磁的方法(メール等)で通知する場合
2022年6月1日から、クーリング・オフの通知は書面だけでなく電子メールなどの電磁的記録でも行えるようになりました。消費者庁の解説では、電子メールなら送信したメールを、専用フォームなら画面のスクリーンショットを保存しておくことが望ましいとされています。
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まとめ
- 台風のあとの「保険金が使えます」という訪問・電話勧誘には、その場で契約しない。
- 契約前に、まず加入している損害保険会社・代理店に相談する。
- 訪問販売・電話勧誘販売で契約してしまっても、書面受領から8日以内ならクーリング・オフで無条件解除できる(書面を受け取っていなければ期間は始まっていない)。
- お金を払った・工事が始まっていても、クーリング・オフ期間内なら返金と原状回復を無償で求められる。
- 保険金の一部を手数料として要求されても、その場で応じない。
- クレジット(ローン)で契約した場合は、販売業者とクレジット会社の両方に同時に通知する。
- 迷ったら消費者ホットライン188、保険のことは損害保険会社かそんぽADRセンターへ。契約先が分からなければ自然災害等損保契約照会センター(0120-501331)へ。
よくある質問
「保険金が使える」と言われて契約してしまいました。今からでもクーリング・オフできますか?
訪問販売や電話勧誘販売で契約した場合、書面を受け取った日から8日以内であれば、クーリング・オフで契約を無条件に解除できます(書面を渡されていなければ期間は未開始)。8日を過ぎていても、業者がクーリング・オフに関する事項で事実と違う説明・威迫をしていた場合は消費者ホットライン188に相談してください。自分で業者を探して契約した場合は対象外のことがあります。
屋根修理業者にお金を払ってしまいました。取り戻せますか?
クーリング・オフの期間内であれば、契約を解除することで支払った代金の返還を請求できます。契約書・領収書・やり取りの記録を保管したうえで、消費者ホットライン188に相談してください。
工事がもう始まってしまいましたが解約できますか?
クーリング・オフ期間内であれば、工事にすでに着手していても契約を解除できます。役務がすでに提供されていてもその対価を支払う必要はなく、建物などの現状が変更されている場合は無償で元に戻してもらうことができます。
保険金の一部を手数料として払うように言われています。応じても大丈夫ですか?
その場で応じないでください。保険金の請求手続きは契約者本人が手数料なしで行えるものです。契約している損害保険会社・代理店や、日本損害保険協会の相談ダイヤルに確認することをおすすめします。
クーリング・オフの通知はどうやって送ればいいですか?
契約年月日・契約内容・契約金額・販売会社名・「契約を解除します」という明記・発信日・自分の住所氏名を書いたはがきを、特定記録郵便や簡易書留、内容証明郵便など発信の記録が残る方法で送ります。送付前にはがきの両面をコピーし、控えと送付記録を保管してください。電子メールなど電磁的方法で通知する場合は、送信したメールを保存しておきましょう。工事費用をクレジット(ローン)で契約している場合は、販売業者とクレジット会社の両方に同時に通知してください。
屋根修理のトラブルはどこに相談すればいいですか?
お近くの消費生活センターにつながる消費者ホットライン188に相談できます。保険金に関することは、契約している損害保険会社・代理店のほか、日本損害保険協会の「そんぽADRセンター」(03-4332-5241)や「保険金に関する災害便乗商法 相談ダイヤル」(0120-309-444)でも相談を受け付けています。契約している保険会社が分からなくなったときは「自然災害等損保契約照会センター」(0120-501331)に照会できます。支払ってしまったお金の負担で生活が苦しいときは、公的な支援制度も確認しておくとよいでしょう。
関連記事
出典
- 国民生活センター「『保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる』と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!」(2020年10月1日)
- 日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」
- 日本損害保険協会「『保険が使える』という住宅修理サービスなどのトラブルに注意」(2021年7月28日)
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「訪問販売」
- 国民生活センター「クーリング・オフ」
- 消費者庁「消費者ホットライン」
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更新履歴
2026年9月22日:記事を公開しました。
