投資詐欺の被害に遭ってしまった方に向けた記事です。結論から言うと、お金が必ず戻ってくるとは言い切れませんが、動くタイミングが早いほど、口座凍結や被害回復分配金などで一部でも取り戻せる可能性は残ります。同時に、被害後に「返金できます」と近づいてくる二次被害も多く報告されています。
この記事では、投資詐欺に気づいた今日やるべきことの順番、振り込め詐欺救済法で実際に何がどこまで戻るのか、そして「返金できます」という業者・SNSアカウントにだまされないための注意点を、警察庁・国民生活センター・金融庁などの公式情報にもとづいて解説します。
- 振込先の金融機関へすぐ連絡し、口座凍結を申し出る。お金が引き出される前なら、取り戻せる可能性が残ります。
- 警察相談専用電話#9110(緊急なら110)に相談し、被害届を出す。
- やり取りの記録・振込明細・サイトのスクリーンショットは消さずに保存する。
- 消費者ホットライン188で消費生活センターにも相談できる。
- 振り込め詐欺救済法の分配金は口座の残高次第で、全額戻るとは限らない。「必ず取り戻せます」と持ちかけてくる相手には注意する。
投資詐欺のお金は返ってくる?まず知っておきたいこと
結論として、投資詐欺のお金が「必ず」返ってくるとは言えません。振り込め詐欺救済法という被害回復の仕組みはありますが、これは振込先の口座に残高が残っている場合に、その範囲内で分配される制度です。だまし取ったお金は犯人側がすぐに引き出したり、暗号資産や海外の口座に移したりすることが多く、動くのが遅れるほど回収は難しくなります。
一方で、何もしなければ可能性はゼロのままです。振込先の金融機関への連絡、警察への相談、証拠の保全は、お金がまだ動いていない段階であれば意味があります。まずは「今日やること」を順番どおりに進めることが重要です。
投資詐欺に気づいたら今日やることの順番
次の順番で行動してください。それぞれ、この順番で動く理由があります。
①振込先の金融機関へ連絡し、口座凍結を申し出る
だまし取られたお金がまだ口座に残っていれば、金融機関が口座を凍結することで、それ以上の引き出しを防げる可能性があります。振込先の銀行名・支店名・口座番号がわかれば、その金融機関のコールセンターへすぐに連絡してください。時間が経つほど口座からお金が引き出されてしまう可能性が高くなるため、他のどの手続きよりも先に行う必要があります。
②警察に相談する・被害届を出す(#9110・110)
次に警察へ相談します。事件性の判断に迷う場合や緊急でない場合は警察相談専用電話#9110、命や身体に関わる緊急時は110番を使います。被害届を出すことは、後述する振り込め詐欺救済法の手続きや、金融機関・クレジットカード会社への説明でも必要になることがあります。
③証拠を保全する
SNSやメッセージアプリでのやり取り、振込明細・取引履歴、勧誘に使われたウェブサイトや広告のスクリーンショット、投資アプリの画面などは、削除せずそのまま残してください。相手のアカウントをブロックする前に、プロフィールやID、これまでのやり取りのスクリーンショットを取っておくことも重要です。これらは警察への相談や、後の相談窓口でのやり取りで必要になります。
④消費生活センターに相談する(188)
消費者ホットライン188に電話すると、お住まいの地域の消費生活センターにつながります。今後どう動けばよいかの整理や、次に紹介する二次被害への注意喚起も含めて相談できます。
⑤弁護士に相談する
返済交渉や法的手続きが必要になりそうな場合は、弁護士に相談します。無料相談を行っている法律事務所もあります。次章で説明するとおり、報酬を得て返金交渉を代行できるのは原則として弁護士です(司法書士が扱える範囲には制限があります)ため、相談先は必ず資格のある専門家を選んでください。
投資詐欺の相談はどこにすればいい?窓口一覧
状況に応じて、次の窓口を使い分けてください。
| 窓口 | 連絡先 | 相談できること | 受付時間 |
|---|---|---|---|
| 振込先の金融機関 | 各金融機関のコールセンター(公式サイト・通帳・キャッシュカードで確認) | 口座凍結の申し出 | 金融機関により異なります |
| 警察相談専用電話 | #9110(緊急時は110) | 被害の相談、被害届の相談 | 地域により異なります |
| 消費者ホットライン | 188 | 最寄りの消費生活センターへの案内、二次被害の相談 | 地域により異なります |
| 金融庁 詐欺的な投資に関する相談ダイヤル | 0570-050588(IP電話は03-6206-6066) | 投資詐欺に関する相談・情報提供 | 平日10:00〜17:00 |
| 預金保険機構 振込詐欺被害回復業務課 | 03-6262-6794 | 振り込め詐欺救済法の手続き・公告内容の確認 | 9:30〜18:00(土日祝・年末年始を除く) |
| 日本弁護士連合会「弁護士検索」 | 公式サイトの検索ページ | 返金交渉や法的手続きを依頼できる弁護士の検索 | – |
振り込め詐欺救済法でお金は返ってくる?被害回復分配金の仕組みと限界
振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)は、預金保険機構によると「預金口座等への振込みを利用して行われた詐欺等の犯罪行為により被害を受けた方の財産的被害の迅速な回復等に資すること」を目的とした制度です。振込先の金融機関が口座を凍結し、その口座に残っている残高の中から、被害額に応じて被害者に分配金が支払われる仕組みです。
この制度には、正直に知っておくべき限界があります。
- 対象は預金口座への振込です。制度の対象となるのは、犯罪に利用された預金口座に残高が残っている場合です。
- 預金保険機構の公表資料では、消滅した預金等債権の額が1,000円未満の場合は分配金が支払われない旨が公告されています。口座からすでに引き出されていれば、残高が少ない、またはまったく残っていないこともあります。
- 全額が戻るとは限りません。分配される金額は、あくまで凍結時点で口座に残っていた金額の範囲内です。預金保険機構のQ&Aでは、同一口座について被害者が複数いる場合、それぞれ被害額に応じて按分されるため、被害額全額が戻ってくるとは限らないとされています。
さらに、暗号資産(仮想通貨)取引所を経由した送金や海外の業者・海外口座への送金は、振り込め詐欺救済法の対象になりにくいとされています。国内の個人名義の口座への振込は救済法の対象になりますが、すぐに引き出されて口座に残高が残らないことが多く、回収は難しくなります。国民生活センターも、SNS投資詐欺で個人名義の銀行口座に振り込ませる手口に注意を呼びかけています。「必ず取り戻せます」と断言する情報を見かけても、うのみにしないでください。
「返金できます」に要注意|二次被害を防ぐ
投資詐欺の被害に遭った後、「返金できます」「取り戻せます」と接触してくる業者やSNSアカウントが実際に報告されています。消費者庁は、投資系トラブルの二次被害として、「返金を受けるには別の投資商品を購入する必要がある」「国の救済制度により返金を受けられる」「返金手続を代行する」などの名目で、さらに金銭を要求される相談事例を公表し、「きっぱりと断り、対応に困った場合には、一人で悩まず、消費生活相談窓口に相談しましょう」と呼びかけています。
ここで知っておきたいのが弁護士法72条です。日本弁護士連合会は、弁護士又は弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で他人の法律事件について代理や交渉などの法律事務を取り扱うことを禁じていると説明しています。つまり、弁護士・司法書士以外の者が報酬を得て返金交渉を代行することは、弁護士法に触れるおそれがあります。「返金できます」と持ちかけてくる相手が弁護士・司法書士でない場合、その交渉自体が違法な行為である可能性があるということです。
次のポイントを必ず確認してください。
- 先に手数料や「保証金」「税金」などの名目でお金を求めてくる相手には、絶対に支払わないこと。正規の返金・救済手続きで、被害者側が先にお金を払う必要はありません。
- 相手が「弁護士」を名乗る場合は、日本弁護士連合会の「弁護士検索」で、実在する弁護士かどうかを自分で確認する。
- 「絶対に取り戻せる」「国の制度で必ず戻る」など、断定的な言葉で勧誘してくる相手は警戒する。ここまで見てきたとおり、公的な制度にも限界があります。
SNS型投資詐欺の主な手口
警察庁の発表(令和8年7月末時点の暫定値)によると、SNS型投資詐欺の認知件数は6,566件、被害額は881.2億円で、前年同期と比べて認知件数は+75.6%、被害額は+88.6%増加しています。件数・被害額とも大きく増えている点が特徴です。
国民生活センターが注意を呼びかけている典型的な手口は、次のような流れです。
- 著名人の画像・名前を無断で使ったアカウントがSNSで投資を勧誘する
- メッセージアプリで個別にやり取りをし、信頼させる
- 画面上は利益が出ているように見せられる
- 出金しようとすると、高額な手数料や税金の名目で追加の入金を求められる
- その後、連絡が取れなくなる
国民生活センターは、「通常の株やFX等の取引で個人名義の銀行口座に振り込みさせることはありません」と明記しています。個人名義の口座への振込を指示された時点で、詐欺を強く疑ってください。SMSやメッセージアプリのリンクから急いで送金させようとする手口は、料金の未納を装うSMS詐欺(ドコモ/au/ソフトバンクの未納SMSは本物?リンクを押してしまった時の対処で解説しているような手口)とも共通する部分があります。
また、金融庁は「上場確実ですので、必ず儲かります!元本も保証します!」といった勧誘や、公的機関を名乗って接触してくるケースに注意を呼びかけています。投資の勧誘を受けたときは、その業者が金融庁の登録を受けているかどうかを、金融庁サイトの「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」や「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」で確認する習慣をつけてください。不審な勧誘そのものについて相談したい場合は、詐欺的な投資に関する相談ダイヤル(0570-050588)を利用できます。
借金をしてまで投資してしまった人へ
投資詐欺の被害で失ったお金を取り返そうとして、あるいは損失を穴埋めしようとして、借金を重ねてしまうケースがあります。ここで重要な注意点があります。
「審査なし」「誰でも即日融資」をうたうヤミ金や、個人間融資、給与ファクタリングには絶対に手を出さないでください。正規の貸金業者は貸金業法にもとづく登録を受けていますが、無登録の業者からの借り入れは、法外な高金利や過酷な取り立てにつながるおそれがあります。詳しくは絶対借りれるヤミ金は存在する?で解説しています。
正規の金融機関からも借りられない状況であれば、公的な支援制度を先に検討してください。どこからも借りれない時の最終手段と公的支援で、公的な相談先を紹介しています。すでに複数の借金を抱えて返済が難しい場合は、弁護士・司法書士への債務整理の相談も選択肢になります。
借金の減額は、弁護士に無料で相談できます
支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。
ライズ綜合法律事務所では、質問に答えるだけで借金の減額相談を無料で申し込めます(匿名でも可)。まずは減らせる可能性があるかだけでも確かめてみてください。
※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。
よくある質問
投資詐欺のお金は返ってきますか?
必ず返ってくるとは言えません。振込先の口座に残高が残っていれば、口座凍結や振り込め詐欺救済法の分配金によって一部を取り戻せる可能性がありますが、動くのが遅れるほど回収は難しくなります。まずは振込先の金融機関への連絡と警察への相談を早く行うことが重要です。
振り込め詐欺救済法を使えば全額戻りますか?
全額戻るとは限りません。振り込め詐欺救済法の被害回復分配金は、振込先の口座に凍結時点で残っている残高の範囲内で支払われる仕組みです。預金保険機構の公表資料では、消滅した預金等債権の額が1,000円未満の場合は分配金が支払われないことも示されています。
投資詐欺の相談はどこにすればいいですか?
振込先の金融機関、警察相談専用電話#9110、消費者ホットライン188、金融庁の詐欺的な投資に関する相談ダイヤル(0570-050588)などに相談できます。状況に応じて複数の窓口を組み合わせて利用してください。
SNSで「返金できます」と連絡が来たら信用していいですか?
信用しないでください。投資詐欺の被害後に「返金できます」「取り戻せます」と接触してくる二次被害が報告されています。弁護士・司法書士以外の者が報酬を得て返金交渉を行うことは弁護士法に触れるおそれがあります。先に手数料や保証金を求めてくる相手には支払わず、弁護士を名乗る相手は日本弁護士連合会の検索で実在を確認してください。
暗号資産や海外の業者に送金してしまった場合はどうなりますか?
暗号資産取引所を経由した送金や、海外の業者・海外口座への送金は、振り込め詐欺救済法の対象になりにくく、追跡や回収が難しいとされています。それでも、警察への相談や金融機関への連絡は早いほど選択肢が残るため、気づいた時点ですぐに行動してください。
借金をしてまで投資してしまいました。どうすればいいですか?
ヤミ金や個人間融資、給与ファクタリングなど「審査なし」をうたう借り入れには手を出さないでください。正規の金融機関から借りられない場合は、まず公的な支援制度を確認し、複数の借金を抱えて返済が難しい場合は弁護士・司法書士に債務整理を相談してください。
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出典
- 警察庁「令和8年7月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」
- 国民生活センター「SNSで著名人が勧める”もうかる方法” それって本当!? 金融商品・サービスのトラブルにご注意!」(2026年9月1日公表)
- 金融庁「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!」
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」
- 預金保険機構「振り込め詐欺救済法に基づく被害回復分配金支払手続」
- 消費者庁「投資系トラブルの二次被害にご注意ください!」
- 日本弁護士連合会「業際・非弁・非弁提携問題等対策本部」
- 日本弁護士連合会「弁護士検索」
更新履歴
2026年9月23日:記事を公開しました。
