住民税は10月に退職・転職するとどうなる?一括徴収・普通徴収の切り替えと納付書が届く時期

住民税は10月に退職・転職するとどうなる?一括徴収・普通徴収の切り替えと納付書が届く時期

10月に会社を退職・転職した人向けの記事です。結論として、住民税の給与天引き(特別徴収)は退職した時点でいったん止まり、残りの税額は「一括徴収」か「普通徴収(自分で納付)」のどちらかに切り替わります。どちらになるかは退職日と本人の希望によって決まります。この記事では、10月退職・転職のケースを中心に、一括徴収と普通徴収の分かれ方、転職先で特別徴収を続ける手続き、納付書が届く時期の目安を、地方税法と自治体の公式ページで確認できる範囲で解説します。

先に結論
  • 10月末退職(6月1日〜12月31日の退職)は、原則として残りの住民税は普通徴収(自分で納付)に切り替わる。一括徴収を希望するときは本人からの申出が必要。
  • 1月1日〜4月30日の退職は、申出の有無にかかわらず原則として一括徴収になる(地方税法321条の5第2項)。
  • 転職先が決まっていれば、「給与所得者異動届出書」を通じて転職先での特別徴収の継続を申し出ることができる。
  • 普通徴収になった場合の納付書は、市区町村が異動の手続きを終えたあとに送付される。時期は自治体によって異なるため、届いた通知書で納期を確認する。
  • 納付が難しいときは、放置せず市区町村の税務担当課に相談する。地方税法15条の徴収猶予などの制度がある。
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目次

住民税を10月退職・10月転職するとどうなる?まず知っておきたい仕組み

住民税の特別徴収と普通徴収の違い

会社員の住民税は、毎月の給与から天引きされる「特別徴収」で納めるのが原則です。特別徴収では、会社(特別徴収義務者)がその年の6月から翌年5月までの12回に分けて住民税を徴収し、市区町村に納入します。これに対し、会社員でない人や、特別徴収ができなくなった人が自分で納付書や口座振替で納める方法が「普通徴収」です。

給与明細の封筒を手に取る会社員の手元
※画像はイメージです

退職・転職で何が変わるか

特別徴収は「給与を支払う会社」が前提の制度なので、退職して給与の支払いがなくなると、その時点で会社は住民税を天引きできなくなります。地方税法321条の5第2項は、給与の支払いを受けないこととなった場合、その事由が発生した月の翌月以降の月割額(=まだ天引きされていない残りの住民税)について、会社は「徴収して納入する義務を負わない」と定めています。つまり原則は、退職後は残りの税額が普通徴収に切り替わるということです。

ただし同項にはただし書きがあり、一定の条件を満たすときは、退職時の給与や退職金から残りの税額をまとめて天引きする「一括徴収」が行われます。10月に退職・転職する場合にどちらになるかは、次の章で説明する退職日によって決まります。

住民税は退職すると一括徴収される?退職時期別の扱い

1月1日〜4月30日退職は原則一括徴収

地方税法321条の5第2項のただし書きにより、退職(給与の支払いを受けないこととなった事由の発生)がその年の翌年1月1日から4月30日までの間に生じた場合は、本人の申出の有無にかかわらず、5月31日までに支払われるべき給与や退職手当等から残りの税額の全額を一括して徴収し、市区町村に納入しなければならないとされています(支払われる給与・退職金が残税額を超える場合に限る)。

退職日を確認するようにカレンダーを指す手
※画像はイメージです

6月1日〜12月31日退職(10月退職はここに含まれる)は本人の申出があれば一括徴収

一方、退職がその年度の初日の属する年の6月1日から12月31日までの間に生じた場合は、納税義務者本人から「残りの税額を特別徴収の方法で(=一括で)徴収してほしい」という申出があり、かつその年の5月31日までに支払われるべき給与や退職手当等が残りの税額を超えるときに限り、一括徴収が行われます。申出がない場合や、5月31日までに支払われる給与・退職金の額が残りの税額に満たない場合は、普通徴収に切り替わります。10月末退職はこの6月1日〜12月31日のケースにあたるため、一括徴収は義務ではなく、本人が希望し、かつこの条件を満たしたときに行われる仕組みです。

退職・転職のタイミング別 住民税の扱い一覧

ケース住民税の扱いポイント
10月末退職→11月に転職(転職先が決まっている)転職先での特別徴収の継続を選べる「給与所得者異動届出書」を旧勤務先・新勤務先経由で市区町村に提出。継続しない場合は普通徴収または本人の申出による一括徴収。
10月末退職→しばらく働かない原則は普通徴収。申出があれば一括徴収普通徴収の場合、市区町村から届く納税通知書に従って自分で納付する。
10月末退職で退職金が出る場合本人の申出があり、5月31日までに支払われる給与・退職金が残税額を超えるときに限り、退職金からも一括徴収できる地方税法321条の5第2項ただし書きは「給与又は退職手当等」から徴収するとしており、申出をし、かつ5月31日までに支払われる給与・退職金の額が残りの税額を超えるときに限り、退職金からまとめて天引きされる扱いにできる。
1月1日〜4月30日に退職原則として一括徴収(申出不要)5月31日までに支払われる給与・退職金の額が残税額を超える場合に適用。
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転職先で住民税の特別徴収を続ける手続き

給与所得者異動届出書とは

退職や転職があったとき、給与を支払っていた会社(特別徴収義務者)は「給与所得者異動届出書」を、特別徴収税額を納入していた市区町村に提出する必要があります(地方税法321条の5第3項)。この届出書には、退職した従業員の氏名や、それまでに徴収した税額などを記載します。大阪市の案内では、提出期限は異動があった月の翌月10日までとされています。

転職先へ書類を引き継ぐ会社員たちの後ろ姿
※画像はイメージです

転職先が決まっている場合の手続き

宇都宮市の公式FAQによれば、転職(転勤)の場合は、転職前の勤務先が異動届出書に徴収済額などを記載したうえで、転職先を通じて市区町村へ提出します。転職先が決まっていない場合は普通徴収として届出書が提出されますが、その後、転職先から「特別徴収切替届出(依頼)書」が提出されれば、転職先で特別徴収が再開される、とされています。つまり特別徴収の継続は自動では行われず、本人が前の会社・転職先の双方に「継続したい」と伝え、必要な書類が提出されて初めて実現します。

転職先が決まっていない場合

転職先が未定のまま退職する場合、異動届出書は普通徴収の扱いで市区町村に提出されます。その後、転職・再就職が決まった時点で、新しい勤務先を通じて改めて特別徴収への切り替えを申し出ることも可能です(例:宇都宮市)。手続きの詳しい流れは、退職前・転職先どちらの会社の給与担当や、市区町村の税務担当課に確認するのが確実です。

住民税の退職後の納付書はいつ届く?普通徴収の納期

納付書が届くまでの流れ

普通徴収に切り替わった場合、市区町村が会社から提出された「給与所得者異動届出書」をもとに残りの税額を計算し、あらためて納税通知書(納付書)を送付します。この通知書が届く時期は、市区町村が届出を受理して処理する時期によって前後するため、一律に「何月」とは言えません。届いた通知書に記載された納期限を確認して納付することが必要です。

郵便受けから封筒を取り出す手元
※画像はイメージです

普通徴収の納期(年4回)の例

地方税法320条により、普通徴収の方法によって徴収する個人の市町村民税の納期は、原則として6月・8月・10月・1月中に市区町村の条例で定めるとされています(特別の事情がある場合はこれと異なる納期を定めることもできます)。たとえば東京都北区の案内では、普通徴収の納期限は第1期が6月末日、第2期が8月末日、第3期が10月末日、第4期が翌年1月末日とされています。長野市の案内でも同様に、6月中旬に税額決定・納税通知書を送付し、納期は6月・8月・10月・翌年1月の4回としています。退職に伴って年度の途中から普通徴収になった場合は、特別徴収の方法によって徴収されないこととなった日以後に到来する納期(地方税法321条の7第1項)、すなわち残っている期(すでに納期を過ぎた分を除く)についてまとめて請求されることがあるため、通知書の内容を確認してください。納期や通知書の送付時期は市区町村ごとに異なるため、詳細はお住まいの市区町村の公式ページや納税通知書でご確認ください。

住民税が10月退職・転職で払えないとき

一括徴収された分・普通徴収の分、それぞれの相談先

退職に伴って一括徴収される予定の税額を用意できない場合は、会社の給与担当や市区町村の税務担当課に早めに相談してください。普通徴収に切り替わったあとに納付書どおりに払えない場合も同様に、市区町村の税務担当課(納税課・市民税課など)へ相談するのが基本です。住民税が高くて払えないときの詳しい対応はこちらの記事も参考にしてください。

電卓を前に家計を確認する後ろ姿の人物
※画像はイメージです

徴収猶予などの制度

地方税法15条は、納税者が災害・盗難にあったとき、本人や生計を一にする親族が病気やけがをしたとき、事業を廃止・休止したとき、事業について著しい損失を受けたとき、またはこれらに類する事実があったときなど、一時に納付できないと認められる場合に、申請に基づいて1年以内の期間を限り徴収を猶予できる制度を定めています。退職・失業そのものが直接この要件に当たるとは限らないため、該当するかどうかは市区町村の税務担当課に確認してください。

収入が途絶えて住民税以外の借入れの返済も難しくなっている場合は、無理に借りて住民税や督促に充てようとせず、早めに公的な相談窓口や専門家に相談することが大切です。

滞納した場合の流れを先に知っておく

普通徴収の住民税を納期までに納められないまま放置すると、督促状が送られたり、延滞金が発生したりする可能性があります。差し押さえに至るまでの流れはこちらの記事で、生活が苦しいときの対応についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

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よくある質問

住民税は10月に退職するとどうなりますか?

退職した時点で会社による給与天引き(特別徴収)は止まります。残りの住民税は、本人の申出があれば退職時の給与・退職金からまとめて一括徴収され、申出がなければ普通徴収に切り替わり、市区町村から届く納税通知書に従って自分で納付します。

住民税は10月に転職した場合、特別徴収は続きますか?

転職先が決まっていれば、前の勤務先が記載した「給与所得者異動届出書」を転職先を通じて市区町村に提出することで、転職先で特別徴収を続けられます。転職先が決まっていないときはいったん普通徴収になり、その後、転職先から「特別徴収切替届出(依頼)書」が提出され次第、転職先で特別徴収が再開されます。継続を希望する場合は、退職前・転職先の両方の給与担当に早めに伝えてください。

住民税の退職による一括徴収は必ずされますか?

退職日によって異なります。1月1日から4月30日までの退職は原則として一括徴収されます。6月1日から12月31日までの退職(10月退職を含む)は、本人からの申出があり、かつ5月31日までに支払われる給与・退職金が残りの税額を超えるときに限り一括徴収され、それ以外は普通徴収になります。

住民税の退職後の納付書はいつ届きますか?

市区町村が会社からの異動の届出を処理したあとに納税通知書が送付されます。届く時期は市区町村ごとに異なるため一律には言えません。地方税法では、年度当初からの普通徴収の納期は原則として6月・8月・10月・翌年1月中に市区町村の条例で定めるとされていますが、詳細は届いた通知書で確認してください。

住民税を転職先で特別徴収に切り替えるにはどうすればいいですか?

退職前の会社に、転職先で特別徴収を継続したい旨を伝え、「給与所得者異動届出書」に転職先の情報を記載してもらいます。転職先が決まっていない場合は、いったん普通徴収として届け出られたあと、転職先が決まった時点で改めて切り替えの手続きを行うことができます(例:宇都宮市)。

住民税が退職・転職で払えないときはどうすればいいですか?

まずは市区町村の税務担当課に早めに相談してください。災害や病気、事業の廃止・休止などにより一時に納付できない場合は、地方税法上の徴収猶予の対象になることがあります。借金をして納税や督促に充てるのではなく、公的な相談窓口や弁護士・司法書士への相談も検討してください。

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出典

更新履歴

2026年9月26日:記事を公開しました。

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