遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者(または被保険者だった人)が亡くなったときに、その人に生計を維持されていた遺族が受けられる年金です。日本年金機構の公式サイトによると、遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、亡くなった人の年金の加入状況などによって、いずれかまたは両方が支給されます。令和8年4月分からの遺族基礎年金は、子のある配偶者(昭和31年4月2日以後生まれ)で年額847,300円 + 子の加算額、遺族厚生年金は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が目安です。
この記事は、家族を亡くして年金の手続きを調べている人に向けて、日本年金機構の公式サイト「遺族年金」「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」(いずれも2025年9月〜2026年6月更新)で確認できた内容を、受給要件・対象者・金額・加算・老齢年金との関係の順にまとめたものです(2026年10月9日確認)。遺族の状況によって受給できるかどうかは変わるため、実際の請求は年金事務所で相談してください。
- 遺族基礎年金の対象は、亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。「子」は、18歳になった年度の3月31日まで(または20歳未満で障害等級1級・2級)の、婚姻していない人です。
- 遺族基礎年金(令和8年4月分から)は、子のある配偶者で847,300円(昭和31年4月1日以前生まれは844,900円)+ 子の加算額。1人目・2人目の子の加算は各243,800円、3人目以降は各81,300円です。
- 遺族厚生年金は、優先順位の高い遺族が受け取ります。金額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
- 死亡日の前日に、保険料納付済期間(免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上必要です。令和18年3月末までは、65歳未満なら直近1年に未納がなければよいという特例があります。
- 国民年金の第1号被保険者期間がある人が亡くなった場合は、寡婦年金や死亡一時金を受けられる場合があります。
遺族年金とは?遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い
| 種類 | 対象となった人の加入状況 | 受け取れる遺族 |
|---|---|---|
| 遺族基礎年金 | 国民年金の被保険者等であった人 | 亡くなった人に生計を維持されていた子のある配偶者または子 |
| 遺族厚生年金 | 厚生年金保険の被保険者等であった人 | 亡くなった人に生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い人 |
亡くなった人の年金の納付状況、遺族の年齢、優先順位などの条件をすべて満たしている場合に、遺族年金を受け取れます。遺族厚生年金を受けられる遺族は、遺族基礎年金もあわせて受給できます。
遺族基礎年金の受給要件|3つのいずれか
公式サイトによると、次の1〜3のいずれかの要件を満たす人が死亡したときに、遺族に遺族基礎年金が支給されます。
- 国民年金の被保険者である間に死亡したとき。
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に住所を有していた人が死亡したとき。
- 老齢基礎年金の受給資格を満たした人が死亡したとき(保険料納付済期間、免除期間、合算対象期間、65歳以降の厚生年金保険の被保険者期間を合算して25年以上ある人に限る)。
1と2の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、死亡日が令和18年3月末日までのときは、死亡した人が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
遺族基礎年金の対象者と金額
| 受け取る人 | 年金額(令和8年4月分から) |
|---|---|
| 子のある配偶者(昭和31年4月2日以後生まれ) | 847,300円 + 子の加算額 |
| 子のある配偶者(昭和31年4月1日以前生まれ) | 844,900円 + 子の加算額 |
| 子が受け取るとき | 「847,300円 + 2人目以降の子の加算額」を子の数で割った額が、1人あたりの額 |
子の加算額は、1人目および2人目の子が各243,800円、3人目以降の子が各81,300円です。子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されません。死亡当時に胎児だった子も、出生以降は対象になります。
遺族厚生年金の受給要件|4つのいずれか
公式サイトによると、次の1〜4のいずれかの要件を満たす人が死亡したときに、遺族に遺族厚生年金が支給されます。
- 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき。
- 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき。
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている人が死亡したとき。
- 老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡したとき(合算した期間が25年以上ある人に限る)。
1と2の要件には、遺族基礎年金と同じ、保険料納付済期間が加入期間の3分の2以上(令和18年3月末までの特例あり)という条件があります。
遺族厚生年金を受け取れる人の優先順位
- 子のある配偶者
- 子(18歳になった年度の3月31日まで、または20歳未満で障害等級1級・2級)
- 子のない配偶者
- 父母
- 孫(子と同じ年齢要件)
- 祖父母
子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給できます。子のない夫は、55歳以上の人に限り受給でき、受給開始は60歳からです(遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間でも受給できます)。父母と祖父母は、55歳以上の人に限り受給でき、受給開始は60歳からです。子のある妻または子のある55歳以上の夫が遺族厚生年金を受けている間は、子には遺族厚生年金は支給されません。
遺族厚生年金の金額|報酬比例部分の4分の3
遺族厚生年金の年金額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額です。上の受給要件の1・2・3に基づく遺族厚生年金の場合、報酬比例部分の計算で、厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満のときは、300月とみなして計算します。
65歳以上で、自分の老齢厚生(退職共済)年金を受ける権利がある人が、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受けるときは、次の2つを比べて、高いほうの額が遺族厚生年金の額になります。
- 死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額
- 死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の2分の1の額と、自分の老齢厚生(退職共済)年金の額の2分の1を合算した額
中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算
中高齢寡婦加算(年額635,500円)
次のいずれかに当てはまる妻が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまで、年額635,500円が加算されます。
- 夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻。
- 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)などで、遺族基礎年金を受けられなくなったとき。
老齢厚生年金の受給権者や受給資格期間を満たしている夫が亡くなったときは、夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年以上の場合に限ります。平成19年3月31日以前に夫が亡くなった場合は、「40歳」を「35歳」と読み替えます。
経過的寡婦加算
昭和31年4月1日以前に生まれた妻が、65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したときや、中高齢寡婦加算がされていた昭和31年4月1日以前生まれの妻が65歳に達したときに、遺族厚生年金に加算されます。昭和61年4月1日から60歳に達するまで国民年金に加入した場合の老齢基礎年金の額と合わせると、中高齢寡婦加算の額と同額程度になるよう決められています。
65歳以上の人の老齢厚生年金との関係
平成19年4月1日からは、65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金の両方を受ける権利がある人は、老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金は、老齢厚生年金に相当する額の支給が停止になります。遺族厚生年金の受給権者が、老齢厚生年金などを受ける権利を持つときは、遺族厚生年金の支給額の決定のために、これらの年金の裁定の請求が必要です。
遺族年金を受ける権利があるときの老齢年金の繰下げについては、公式サイトで、66歳に到達した日以前に遺族年金等を受け取る権利を持った場合は、原則として老齢年金を繰り下げて受給できないと説明されています。繰下げの詳しい決まりは、年金が10月から減った?10月15日支給で振込額が変わる理由とあわせて、公式サイトの「年金の繰下げ受給」で確認してください。
寡婦年金・死亡一時金・未支給年金
国民年金の第1号被保険者期間がある人が亡くなった場合は、遺族基礎年金・遺族厚生年金とは別に、寡婦年金や死亡一時金を受給できる場合があります。年金を受けている人が亡くなったときや、亡くなった人の未払いの年金を受け取れるときの手続きは、日本年金機構の公式サイトに専用のページがあります。長期間(5年以上)請求していない年金は、時効の関係があるため、早めに年金事務所へ相談してください。
遺族年金を請求するときのチェックリスト
- 亡くなった人が、国民年金・厚生年金のどちらの被保険者(または被保険者だった人)かを確認する。
- 死亡日の前日に、保険料納付済期間(免除を含む)が加入期間の3分の2以上あるか、令和18年3月末までの特例(直近1年に未納がない)を使えるかを確認する。
- 遺族が、「子のある配偶者」「子」など、生計を維持されていた対象者かを確認する。
- 遺族厚生年金は、優先順位が最も高い遺族かどうかを確認する。
- 中高齢寡婦加算(40歳〜65歳の妻)や、65歳以上の老齢厚生年金との調整が関わらないかを確認する。
- 請求手続きと必要書類は、年金事務所、ねんきんダイヤル(0570-05-1165)で確認する。
よくある質問
遺族年金とは何ですか?
国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった人が亡くなったときに、その人に生計を維持されていた遺族が受けられる年金です。遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
遺族基礎年金はいくらもらえますか?
令和8年4月分から、子のある配偶者(昭和31年4月2日以後生まれ)は847,300円に子の加算額を加えた額です。1人目・2人目の子の加算額は各243,800円、3人目以降は各81,300円です。
遺族厚生年金はいくらもらえますか?
死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額です。被保険者期間が300月未満の場合は、300月とみなして計算する場合があります。
遺族年金をもらうための条件は何ですか?
亡くなった人が、被保険者期間中や、老齢年金の受給資格を満たしていたなどの要件に当てはまり、さらに死亡日の前日に保険料納付済期間が加入期間の3分の2以上あることが必要です。令和18年3月末までは、65歳未満なら直近1年に未納がなければよいという特例があります。
中高齢寡婦加算とは何ですか?
夫が亡くなったとき40歳以上65歳未満で子がいない妻などが受ける遺族厚生年金に、40歳から65歳になるまでの間、年額635,500円が加算される制度です。
出典
- 日本年金機構「遺族年金」(更新日2025年9月11日、2026年10月9日確認)
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」(更新日2026年6月22日、2026年10月9日確認)
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」(更新日2026年6月22日、2026年10月9日確認)
更新履歴
- 2026年10月9日:記事を公開しました。
