令和8年熊本地震で自宅や家財に被害を受けて保険金を請求したい人、保険料の支払いや更新が心配な人に向けた記事です。日本損害保険協会と生命保険協会が公表している内容を、2026年10月9日現在でまとめます。保険金の支払いは契約内容と損害の状況によります。個別の判断は、契約している保険会社や代理店に確認してください。
- 地震による損害は、火災保険では補償されず、地震保険が対象です。自動車保険などは原則対象外ですが、特約があれば支払われます。
- 損害保険の保険金請求に、罹災証明書の提出は不要です(日本損害保険協会)。
- 損害保険は、継続契約の手続きと保険料の払込みが2027年1月末日まで猶予されます(自賠責保険を除く)。生命保険は払込猶予期間が最長6か月延長されます。
- 「保険が使える」と言う住宅修理業者や、保険金の請求を代行する業者とのトラブルが増えています。契約前に保険会社へ。
- まだ請求していない人は、できるだけ早く契約先の損害保険会社・代理店へ連絡してください。
どの保険で地震の損害が補償されるか
| 保険の種類 | 地震・津波・噴火による損害(日本損害保険協会) |
|---|---|
| 地震保険 | 補償される。地震・噴火・津波による損害(火災・損壊・埋没・流失)に対して保険金が支払われる |
| 火災保険 | 地震・噴火・津波が原因の火災は補償されない。地震などで延焼・拡大した火災損害も補償されない |
| 自動車保険・傷害保険など | 原則として補償の対象外。地震・津波による損害を補償する特約が付帯されていれば支払われる |
地震保険は、保険の対象にしている建物または家財について、損害保険各社が損害を調査し、損害の程度に応じて保険金を支払います。協会の案内では、損害の程度は「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の区分で判断されます。まだ請求がお済みでない人は、できるだけ早く、契約している損害保険代理店または損害保険会社へ連絡してください。
罹災証明書は不要|請求前にやっておくこと
日本損害保険協会は、「損害保険の保険金等の請求に際しては、地方自治体から交付される罹災証明書の提出は不要です」と案内しています。罹災証明書は、被災者生活再建支援金や税の減免などの別の手続きで使います。保険金の請求は、罹災証明書を待たずに進められます。
- 契約している保険会社または代理店に、被害を受けたことを連絡する(保険証券の番号が分かると早い)。
- 被害の状況を写真に残す(片付けや修理の前に)。
- 修理業者と契約する前に、保険会社に相談する。
保険料の払込猶予・更新の猶予
| 区分 | 特別措置の内容 |
|---|---|
| 損害保険(火災保険、自動車保険、傷害保険など。自賠責保険を除く) | 災害救助法の適用日(7月28日)から6か月後の末日(2027年1月末日)までに満期日が来る継続契約の手続きを、2027年1月末日まで猶予。同じ期間に払い込むべき保険料の払込みも、2027年1月末日まで猶予。書類の省略など手続きの簡素化・要件緩和を実施している場合もある |
| 生命保険 | お申し出により、保険料払込猶予期間を最長6か月延長。保険金・給付金、契約者貸付金は、必要書類を一部省略するなど簡易迅速に取り扱う |
この措置の対象は、災害救助法が適用された熊本県の21市町村で被害を受けた契約者です。自賠責保険は、損害保険の猶予の対象外です。生命保険に加入している人は、生命保険料控除証明書はいつ届く?2026年分の発送時期を会社別にの記事も参考になります。
災害救助法の適用地域(2026年7月29日現在、法の適用日は7月28日)は、熊本県の熊本市、八代市、水俣市、山鹿市、菊池市、宇土市、上天草市、宇城市、天草市、合志市、下益城郡美里町、菊池郡大津町、菊池郡菊陽町、阿蘇郡西原村、上益城郡御船町、上益城郡嘉島町、上益城郡益城町、上益城郡甲佐町、八代郡氷川町、葦北郡芦北町、葦北郡津奈木町です。
契約が分からないとき・相談先
| 窓口 | 連絡先・受付 | 内容 |
|---|---|---|
| そんぽADRセンター(日本損害保険協会) | 03-4332-5241(全国共通)。9時15分〜17時(土・日・祝日および12月30日〜1月4日を除く) | 損害保険に関する相談 |
| 自然災害等損保契約照会センター | 0120-501331(受付時間はそんぽADRセンターと同様) | 契約の手掛かりを失った人の契約照会(原則、本人または親族) |
| 保険金に関する災害便乗商法相談ダイヤル(日本損害保険協会) | 0120-309-444。午前9〜12時、午後1〜5時。月〜金(祝日・協会の休業日を除く) | 保険申請サポート業者から勧誘を受けた、契約を解除したい等の相談 |
| 生命保険相談所(生命保険協会) | 03-3286-2648。月〜金曜日(祝日を除く)9:00〜17:00 | 生命保険に関する一般的な相談 |
| 生命保険契約照会制度(災害時利用) | 0120-001731。月〜金曜日(祝日を除く)9:00〜17:00 | 被災して行方不明または死亡した人の加入会社が不明な場合 |
「保険が使える」と勧誘する業者に注意
日本損害保険協会は、「保険が使える」と言って住宅修理を勧誘する業者や、保険金の請求を代行する業者とのトラブルが増加していると注意しています。自然災害による住宅の損害は、多くの場合、すまいの保険(火災保険、地震保険等)で補償されますが、自然の消耗・劣化、さびなどによる損害は支払いの対象外です。
- 損害保険会社や代理店へ連絡する前に、問題のある住宅修理業者や保険金請求代行業者(報酬金は支払われた保険金で対応できると勧誘する業者)と契約すると、保険金が支払われずに修理代金を自己負担したり、解約しようとして高額な解約手数料を求められたりすることがあります。
- 協会のページには、国民生活センターの相談事例をもとにした例として、「負担額なく屋根の修理ができる」と言われて契約し、保険会社との交渉はすべて業者が行うと言われた例や、「完全成功報酬型で保険金の30%を請求する」と言われた例が載っています。
- 災害に便乗した悪質商法については、消費者庁も注意を呼びかけています。契約前に、消費者ホットライン188に相談できます。
よくある質問
熊本地震で地震保険の保険金を請求するとき、罹災証明書は必要ですか?
日本損害保険協会は、損害保険の保険金等の請求に際して、地方自治体から交付される罹災証明書の提出は不要と案内しています。まだ請求手続きがお済みでない人は、できるだけ早く契約している損害保険代理店または損害保険会社に連絡するよう呼びかけています。
火災保険や自動車保険で、地震の損害は補償されますか?
日本損害保険協会によると、地震・噴火・津波による損害は、火災保険では補償されず、地震保険が対象です。自動車保険や傷害保険など地震保険以外の損害保険は、原則として地震・津波による損害は補償の対象になりませんが、地震や津波による損害を補償する特約が付帯されている場合は保険金が支払われます。
保険料の支払いや契約の更新が間に合わないときは?
災害救助法が適用された地域で被害を受けた契約者について、損害保険各社は、火災保険、自動車保険、傷害保険などの各種損害保険(自賠責保険を除く)の継続契約の手続きと保険料の払込みを、2027年1月末日まで猶予します(日本損害保険協会、2026年9月10日最終更新)。生命保険は、お申し出により保険料の払込猶予期間を最長6か月延長します。詳細は契約している保険会社に確認してください。
証券をなくして、どの保険に入っていたか分かりません。調べられますか?
損害保険は、自然災害等損保契約照会センター(0120-501331)が、災害救助法の適用地域で家屋等の流失・焼失等により契約に関する手掛かりを失った人の契約照会を受け付けています。原則として、被災した本人または親族(配偶者・親・子・兄弟姉妹)からの照会に限ります。生命保険は、生命保険協会の生命保険契約照会制度(災害時利用)があり、被災して行方不明または死亡した人の加入会社が不明な場合に利用できます(0120-001731)。
「保険が使える」と言って住宅の修理を勧める業者は信用していいですか?
日本損害保険協会は、「保険が使える」と言って住宅修理を勧誘する業者や、保険金の請求を代行する業者とのトラブルが増加していると注意を呼びかけています。業者と契約する前に、契約している損害保険会社または損害保険代理店に相談してください。相談は、保険金に関する災害便乗商法相談ダイヤル(0120-309-444)や消費生活センター(188)でも受け付けています。
生命保険の保険金・給付金の請求は、簡単になりますか?
生命保険協会によると、生命保険各社は、災害救助法が適用された地域の被災契約者について、お申し出により必要書類を一部省略するなど、保険金・給付金、契約者貸付金の簡易迅速な取扱いをします。詳しくは加入している生命保険会社に問い合わせてください。
関連記事
出典
- 日本損害保険協会「令和8年熊本地震により被災された皆様へ」(2026年7月29日、同年9月10日最終更新)
- 日本損害保険協会「令和8年熊本地震に関する損保業界の対応について」(2026年7月29日)
- 日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」
- 生命保険協会「令和8年熊本地震に係る災害救助法適用地域の特別お取扱い」
- 金融庁「令和8年熊本地震関連情報」
- 写真:Hajime NAKANO(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)。2016年の熊本地震で倒壊した住宅の写真で、令和8年熊本地震のものではありません。トリミングし、文字を加えるなど加工しています。
更新履歴
- 2026年10月9日:記事を公開しました。
