熊本県の八代市・宇土市・宇城市・氷川町で事業をしている事業主と、これらの市町にある労働保険事務組合に労働保険の事務を委託している事業主に向けた記事です。厚生労働省は令和8年8月12日、令和8年熊本地震を受けて、この3市1町を対象地域に指定し、労働保険料等の申告・納期限等を延長しました。延長後の具体的な期限はまだ決まっていません。厚生労働省の報道発表、Q&A、都道府県労働局あての通知(令和8年8月12日)で確認できた内容を、2026年10月11日現在でまとめます。
労働保険は、労災保険と雇用保険の総称です。事業主は、毎年度、労働保険料の申告・納付(年度更新)を行います。厚生労働省のQ&Aには、すでに令和8年度の年度更新の申告書を提出した人が、口座振替を止められるかという質問も載っています。令和8年度の労働保険料の通常の期限は、第2期が11月2日(労働保険事務組合に委託している場合は11月16日)です。対象地域の事業場は、この期限が延長される扱いです。延長後の期限の告示が出たら、厚生労働省のホームページ等で知らされます。
- 対象地域は八代市・宇土市・宇城市・八代郡氷川町。労働保険料、特別保険料、一般拠出金、障害者雇用納付金の申告・納期限等が延長されています。
- 令和8年7月28日以降に到来する期限が対象。申請は不要です。
- 延長後の具体的な期限は未定(災害がやんだ日から2か月以内の日を告示で定める)。決まったら周知されます。
- 対象地域の外でも、財産のおおむね20%以上の損失があれば、申請で納付の猶予(原則1年以内)を受けられる場合があります。
- 延長や猶予があっても、保険料は免除されません。
延長の対象になる事業主
| 区分 | 内容(厚生労働省のQ&A) |
|---|---|
| 対象地域 | 熊本県八代市、宇土市、宇城市、八代郡氷川町(指定地域) |
| (1) | 指定地域に所在地を有する事業場の事業主(指定地域外にある事務所が所在する労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している、指定地域内に所在する事業場の事業主を含む) |
| (2) | 指定地域に所在地を有する労働保険事務組合に、令和8年7月28日(災害発生日)において労働保険事務を委託している事業主(事業主が事務所を構える所在地は、指定地域の内外を問わない) |
| (3) | 指定地域に所在地を有する労働保険事務組合 |
| 延長される内容 | 労働保険の申告書の提出期限、保険料等の納期限等。労働保険料のほか、一般拠出金・特別保険料も対象。障害者雇用納付金も対象 |
通知(令和8年厚生労働省告示第314号「熊本県の一部の地域における社会保険料及び労働保険料等に関する納期限等を延長する件」)は、令和8年8月12日付で公布・施行されました。災害の発生した日(令和8年7月28日)から、延長後の納期限等までの間に到来する期限が対象です。
令和8年度の通常の期限と、延長後の期限
| 期 | 労働保険料等の通常の期限(令和8年度) | 労働保険事務組合に委託している場合 | 口座振替予定日 |
|---|---|---|---|
| 第1期・全期 | 7月10日 | 7月10日 | 9月7日 |
| 第2期 | 11月2日 | 11月16日 | 11月16日 |
| 第3期 | 2月1日 | 2月15日 | 2月15日 |
対象地域の事業場について、上の期限がどう変わるかは、具体的な日がまだ決まっていません。厚生労働省のQ&Aは、「被災の状況に十分配慮して検討していくこととしており、具体的な日は、まだ決まっていません。決まりましたら、厚生労働省のホームページ等で周知を行うこととしています。なお、事務組合についても同様です」としています。
対象地域の外にいる人|納付の猶予
指定地域外の事業主でも、令和8年熊本地震により財産に相当な損失を受けたときには、令和8年7月28日以降に納期限が来る労働保険料等について、事業主の申請に基づき、原則として1年以内の期間、納付の猶予を受けられます。
| 項目 | 内容(厚生労働省のQ&A) |
|---|---|
| 対象 | 災害により事業財産に相当の損失を受け、労働保険料等を納付することが困難となった場合 |
| 「相当の損失」 | 事業の経営のために直接必要な財産(事業財産)の、おおむね20%以上の損失 |
| 申請先 | 事業場の所在地を管轄する都道府県労働局 |
| 申請期限 | 災害がやんだ日から2か月以内。「災害のやんだ日」は被災の状況により判断されるため、労働局の労働保険徴収(課)室に相談 |
| 猶予の期間 | 原則として1年以内 |
申請書類等の詳細は、厚生労働省の「労働保険料等を一時に納付できない方のための猶予制度について」で確認できます。
労働保険事務組合に委託している事業主へ
- 指定地域内に主たる事務所がある労働保険事務組合は、延長の対象です。委託している事業主の延長については、上の表の(2)を参照します。
- 令和8年7月28日の翌日以降に、指定地域内の事務組合に委託した事業主は、委託していることを理由に延長を受けることはできません。
- 指定地域外にある事務組合に委託している事業場でも、その事業場が指定地域内に所在する場合は、延長の対象です。
- 詳しい事務処理方法は、管轄の都道府県労働局の労働保険徴収(課)室に相談します。
障害者雇用納付金について
障害者雇用納付金の申告・納付の期限も、同じ対象地域で延長されています。障害者雇用納付金についての詳細は、事業所の所在地を管轄する独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の支部に問い合わせるよう、厚生労働省は案内しています。
手続き・口座振替の注意
- 延長の対象事業場でも、申告の手続きは、可能な人は通常どおり行うようお願いされています。
- 口座振替:指定地域の事業場が、口座振替を一時的に停止したい場合は、予定日の1週間前までに労働局の労働保険徴収(課)室に相談します。使わなくなる場合は、口座振替依頼書(解除)を出します。
- 免除ではありません:被害が大きくても、労働保険料等は免除されません(延長や猶予は受けられます)。
- 問い合わせは、労働保険料・一般拠出金・特別保険料は事業場の所在地を管轄する都道府県労働局、障害者雇用納付金は事業所の所在地を管轄する高齢・障害・求職者雇用支援機構の支部です。
従業員を休業させて雇用を守りたいときの雇用調整助成金の特例は、別の記事にまとめています。公的な支援の全体像は、お金が必要なのにどこからも借りれない時の最終手段と公的支援でも整理しています。
問い合わせ先と、確認の順番
- 事業場の所在地が、八代市・宇土市・宇城市・氷川町のどれかを確認する(対象地域)。
- 労働保険事務組合に委託している場合は、事務組合の所在地と、令和8年7月28日(災害発生日)に委託していたかを確認する。
- 対象地域の外で、財産のおおむね20%以上の損失がある場合は、管轄の都道府県労働局の労働保険徴収(課)室に、納付の猶予を相談する(申請期限は災害がやんだ日から2か月以内)。
- 延長後の期限の告示が出たかを、厚生労働省のホームページで確認する。
- 口座振替を止めたい場合は、予定日(第2期は11月16日)の1週間前までに相談する。
都道府県労働局の連絡先は、厚生労働省のホームページ「労働局・労働基準監督署・ハローワーク」で確認できます。この記事の内容は、令和8年8月12日の公表にもとづきます。その後に、延長後の期限が告示された場合は、そちらが優先されます。
よくある質問
熊本地震で、労働保険料の納期限が延長された地域は?
厚生労働省は令和8年8月12日、熊本県八代市、宇土市、宇城市、八代郡氷川町の3市1町を対象地域に指定し、労働保険料等(労働保険料、特別保険料、一般拠出金、障害者雇用納付金)の申告・納期限等を延長しました。
延長された期限はいつまでですか?
具体的な日は、まだ決まっていません。厚生労働省のQ&A(令和8年8月12日)では、被災の状況に十分配慮して検討していくとしており、決まったら厚生労働省のホームページ等で周知するとされています。延長後の納期限は、災害がやんだ日から2か月以内の日を、別途告示によって定めるとされています。
延長を受けるために、申請は必要ですか?
不要です。指定地域に所在地を有する事業場等については、一律に申告・納期限等が延長されるため、申請等は必要ありません。なお、申告の手続きは、可能な人は通常どおり行うよう、お願いされています。
指定地域の外に事業場があって、地震で被害を受けました。
指定地域以外に事業場がある場合でも、指定地域内に所在する労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合は、納期限等の延長措置の対象となる場合があります。また、一定の条件を満たせば「納付の猶予」を受けられる場合があります。
納付の猶予とは、どんな制度ですか?
災害により事業財産に相当の損失を受け、労働保険料等の納付が困難となった場合に、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局に申請することで、一定期間の納付の猶予を受けられる制度です。「相当の損失」とは、事業の経営のために直接必要な財産(事業財産)のおおむね20%以上の損失を受けた場合です。申請期限は災害がやんだ日から2か月以内ですが、「災害のやんだ日」は被災の状況により判断されるため、都道府県労働局の労働保険徴収(課)室に相談します。猶予の期間は、原則として1年以内です。
口座振替を止めたいときは?
指定地域に所在地を有する事業場で、口座振替を一時的に停止したい場合は、口座振替予定日の1週間前までに、管轄の都道府県労働局労働保険徴収(課)室に相談します。令和8年度の口座振替予定日は、第1期・全期が9月7日、第2期が11月16日、第3期が2月15日です。一時的でなく、口座振替を今後利用しない場合は、口座振替依頼書(解除)の提出が必要です。
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出典
- 厚生労働省「「令和8年熊本地震」で多大な被害を受けた地域での労働保険料等の申告・納期限等の延長を行います」(令和8年8月12日)
- 厚生労働省「令和8年熊本地震に伴う労働保険の適用徴収に関するQ&A」(令和8年8月12日。PDF6ページを画像化して確認)
- 厚生労働省 労働基準局長・職業安定局長から都道府県労働局長あて「「熊本県の一部の地域における社会保険料及び労働保険料等に関する納期限等を延長する件」の制定等について」(令和8年8月12日)
- 写真:Suikotei(Wikimedia Commons、CC BY 4.0)。八代労働基準監督署の写真で、今回の被害を写したものではありません。トリミングし、文字を加えるなど加工しています。
更新履歴
- 2026年10月11日:記事を公開しました。
