日本年金機構から「扶養親族等申告書」のはがき・封書が届いた年金受給者向けの記事です。結論から言うと、この書類は所得税・住民税の控除を受けるための申告書で、対象者は期限までに提出する必要があります。提出しないと、確定申告をしない限り控除が反映されず、源泉徴収される税額が多くなる場合があります。
この記事では、令和9年分の提出期限・自分は提出が必要かどうかの判定・提出しなかった場合の影響・書き方を、日本年金機構の公式情報にもとづいて解説します。
- 令和9年分の扶養親族等申告書は、電子申請なら令和8年9月3日、紙は令和8年9月7日から順次届く(日本年金機構)。
- 提出が必要なのは、本人が障害者・ひとり親(寡婦)に該当する、または控除対象の配偶者・親族を扶養している人。令和8年度税制改正で対象が広がった。
- 提出しないと、確定申告をしない限り障害者控除・配偶者控除等が受けられず、所得税・住民税が多く徴収される場合がある。
- 提出期限は年金額の区分によって令和8年10月20日または11月30日(下の表で確認)。
- 電子申請(ねんきんネット)なら24時間提出でき、返信用封筒・切手(110円)も不要。
扶養親族等申告書とは
「令和9年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は、日本年金機構が支払う老齢年金・退職年金を対象に、所得税の源泉徴収と翌年度の個人住民税の計算に必要な控除の内容を確認するための申告書です。日本年金機構は令和9年分について、電子申請サービスを令和8年9月3日(木)から、紙の申告書を令和8年9月7日(月)から順次送付・受付を開始しています。

令和8年度の税制改正にともない、扶養親族等申告書の提出対象が拡大されました。そのため、受給している老齢年金から所得税が源泉徴収されない人でも、令和9年分は提出が必要になる場合があります。
扶養親族等申告書 提出不要の条件・あなたは提出が必要?
日本年金機構は、次のすべてに当てはまる人は、扶養親族等申告書の提出は不要としています。1つでも当てはまらない項目があれば、提出が必要です。

| 提出不要の条件(すべて満たす場合のみ不要) |
|---|
| 本人が障害者またはひとり親(寡婦)に該当しない |
| 控除対象となる配偶者または親族(年間所得見積額が配偶者は95万円以下、配偶者以外の親族は62万円以下〈19歳〜22歳は85万円以下〉)を扶養していない |
| 退職手当を受ける見込みのある配偶者または親族(退職所得を除いた年間所得見積額が配偶者95万円以下、配偶者以外の親族62万円以下〈19歳〜22歳は85万円以下〉)を扶養していない |
この所得要件(配偶者95万円以下・親族62万円以下など)は、令和8年度の税制改正で一部変更されたものです。もう1つ、提出が不要になるケースとして、日本年金機構から申告書が送付された場合でも、受給している老齢年金・退職共済年金の年額が、住んでいる市区町村における住民税の「単身者の非課税限度額」に満たない場合は、提出不要とされています。非課税限度額は市区町村ごとに1級地〜3級地で異なり、目安として65歳未満は年間98万円〜105万円、65歳以上は年間148万円〜155万円です。自分の市区町村の非課税限度額は、日本年金機構ホームページの「住民税の非課税限度額基準について」または住んでいる市区町村への問い合わせで確認できます。
扶養親族等申告書 提出期限はいつ?送付時期と対象区分
日本年金機構は、受給している年金額(令和9年12月31日時点の年齢で判定)にもとづき、送付時期と提出期限を2つの区分に分けています。

| 年金額の区分(老齢年金・退職年金) | 紙の送付時期 | 紙の提出期限 | 電子申請の受付期間 |
|---|---|---|---|
| 65歳未満:年間164万円以上 65歳以上:年間214万円以上(所得税の源泉徴収対象) | 令和8年9月7日〜9月30日 | 令和8年10月20日 | 令和8年9月3日〜10月20日 |
| 65歳未満:年間98万円以上164万円未満 65歳以上:年間148万円以上214万円未満(住民税の非課税限度額以上) | 令和8年10月5日〜10月30日 | 令和8年11月30日 | 令和8年10月2日〜10月20日 |
前年(令和8年)分以前の申告書を電子申請で提出した人や、事前に「ねんきんネット」でペーパーレス化登録をした人には紙の申告書は送付されず、マイナポータルや「ねんきんネット」のお知らせメールで案内されます。これらの人が提出期限(令和8年10月20日)までに提出しない場合は、令和8年11月に、別途案内のハガキが送付されます。また、生年月日が昭和36年1月2日以降の人には紙の申告書そのものは同封されず、電子申請の手引き等が送られます。この人たちも提出期限(令和8年10月20日)までに提出がなければ、令和8年11月にあらためて紙の申告書が送付されます。
扶養親族等申告書の提出方法(紙の返送・電子申請)
提出方法は、紙で返送する方法と、電子申請の2通りです。
- 紙で提出する場合:同封されている返信用封筒に必要事項を記入した申告書を入れ、切手を貼って投函します。普通郵便の場合、切手は110円です。あて先は同封の返信用封筒に記載の郵便番号(119-0314または119-0315。住所の記入は不要です)で投函します。封筒をなくした場合は、〒119-0220 東京都杉並区高井戸西3丁目5番24号 日本年金機構 令和9年分申告書受付担当宛に送付してください。
- 電子申請の場合:マイナポータルから「ねんきんネット」を利用し、パソコンやスマートフォンから24時間いつでも提出できます。郵送の手間や切手代が不要になり、前年の申告内容があらかじめ入力されているため入力の手間も少なくなります。電子申請で提出した場合、紙の申告書を提出する必要はありません。
電子申請の詳しい手順は、日本年金機構ホームページ「扶養親族等申告書はスマートフォン等で提出できます」で、説明動画とあわせて案内されています。
扶養親族等申告書を出さないとどうなる?
日本年金機構の公式Q&Aによると、対象者が扶養親族等申告書を提出しなかった場合、確定申告などを行わない限り、所得税の源泉徴収や翌年度の個人住民税において、障害者控除・配偶者控除等の各種控除を受けることができません。そのため、申告書を提出した場合に比べて、該当する控除の分だけ、所得税・住民税が多く徴収される場合があるとされています。

一方で、障害者控除・配偶者控除等のいずれにも該当しない人は、提出しなかった場合でも、提出した場合と比べて所得税・住民税が多く徴収されることはないとされています。つまり、「提出不要の条件」にあてはまらず提出が必要な人が出し忘れると、控除が反映されないまま多く源泉徴収されうる、ということです。
扶養親族等申告書の書き方(区分の丸のつけ方)
申告書には、本人・配偶者・扶養親族それぞれについて、次のような区分を記入する欄があります。日本年金機構「令和9年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」で説明されている主な区分は次のとおりです。
| 区分 | 公式の説明(要件の一部) |
|---|---|
| 普通障害者・特別障害者 | 障害の内容による分類基準にもとづいて該当・非該当を判定 |
| 寡婦・ひとり親 | 本人の所得500万円以下など、死別・離婚などの条件により判定 |
| 源泉控除対象配偶者 | 配偶者の年間所得見積額が95万円以下 |
| 老人控除対象配偶者 | 昭和33年1月1日以前生まれで、所得62万円以下の配偶者 |
| 源泉控除対象親族(16歳以上)/特定扶養親族・特定親族/老人扶養親族 | 年齢・所得等により該当を判定 |
記入方法の詳細や年間所得の計算方法は、同封される「扶養親族等申告書作成と提出の手引き」、または日本年金機構ホームページの記入例・PDF「所得金額の計算方法」で確認できます。具体的な欄の書き方が分からない場合は、次の問い合わせダイヤルに相談してください。
扶養親族等申告書お問い合わせダイヤルは0570-081-240(ナビダイヤル)、050から始まる電話からは(東京)03-6837-9932です。受付時間は月曜日 午前8:30〜午後7:00、火〜金曜日 午前8:30〜午後5:15、第2土曜日 午前9:30〜午後4:00です。24時間利用できる「扶養親族等申告書相談チャット」もあります。
扶養親族等申告書 配偶者の収入はどう書く?
「配偶者の区分」欄は、配偶者の収入の種類によって記入方法が分かれます。日本年金機構の公式Q&Aでは、おおむね次のように案内されています。

- 配偶者の収入が公的年金のみ(遺族年金・障害年金を除く)で、年金額が65歳未満は122万円以下、65歳以上は172万円以下(年齢は対象となる年の12月31日時点で判断)の場合は、該当する区分(上段)に丸をつける。
- 配偶者の年金額がこれを超える場合や、年金以外の収入もある場合は、「所得金額の計算方法」を参照して年間所得の見積金額を計算し、該当欄に万円単位で記入する。複数の収入がある場合は、それぞれの所得額を合計する。
- 配偶者が退職手当を受ける見込みがある場合は、退職所得を含めた合計額と、退職所得を除いた金額の両方を記入する欄がある。
- 前年の申告内容から配偶者の状況に変更がある場合は、印刷されている内容を二重線で消し、欄の余白に変更後の内容を記入する。
配偶者の「収入」と税法上の「所得」は金額が異なります(所得は収入から必要経費や給与所得控除・公的年金等控除などを差し引いた額)。具体的な計算方法は、申告書に同封される「所得金額の計算方法」を確認してください。
扶養親族等申告書を出し忘れた・書き間違えたときは
日本年金機構は、期限に間に合わない場合でも、なるべく早く提出するよう案内しています。期限を過ぎてしまった場合も、まずは同封の手引きや問い合わせ先を確認し、できるだけ早く提出してください。
電子申請で提出した内容に入力誤りがあった場合は、「ねんきんネット」の「申請済みの届書を確認する」画面から内容確認画面に進み、「申告内容を修正し再提出する」ことで訂正できます。紙で提出したあとに記入誤りに気づいた場合の具体的な手続きは、上記の問い合わせダイヤルまたは近くの年金事務所に相談してください。
年金からの介護保険料など、10月からの年金の天引き額の変更については別記事(年金が10月から減った?)で解説しています。
よくある質問
扶養親族等申告書はいつ届きますか?
日本年金機構は、令和9年分の扶養親族等申告書について、電子申請サービスを令和8年9月3日から、紙の申告書を令和8年9月7日から順次発送・受付を開始しています。年金額の区分によって、紙の送付は9月7日〜9月30日または10月5日〜10月30日に分かれます。
扶養親族等申告書は提出不要ですか?どんな人が対象外ですか?
本人が障害者・ひとり親のいずれにも該当せず、控除対象となる配偶者・親族(退職手当を受ける見込みの配偶者・親族を含む)を扶養していない人は提出不要です。また、受給している老齢年金・退職共済年金の年額が、住んでいる市区町村の住民税の非課税限度額に満たない場合も提出不要とされています。
扶養親族等申告書の提出期限はいつですか?
年金額の区分により異なり、所得税の源泉徴収対象となる年金額(65歳未満164万円以上・65歳以上214万円以上)の人は令和8年10月20日、それより年金額が少ない区分の人は令和8年11月30日が提出期限です。
扶養親族等申告書を出さないとどうなりますか?
確定申告などを行わない限り、所得税の源泉徴収や翌年度の個人住民税で障害者控除・配偶者控除等の各種控除が受けられず、申告書を提出した場合に比べて所得税・住民税が多く徴収される場合があります。控除に該当しない人は、提出しなくても徴収額に差は生じないとされています。
扶養親族等申告書の配偶者の収入はどう書けばいいですか?
配偶者の収入が公的年金のみ(遺族年金・障害年金を除く)で、年金額が65歳未満122万円以下・65歳以上172万円以下(年齢は対象となる年の12月31日時点で判断)なら該当区分に丸をつけます。これを超える場合や年金以外の収入もある場合は、「所得金額の計算方法」にもとづいて年間所得の見積金額を計算し、記入します。
扶養親族等申告書は電子申請でも提出できますか?
マイナポータルから「ねんきんネット」を利用すれば、パソコンやスマートフォンから電子申請で提出できます。電子申請の場合、返信用封筒や切手は不要で、24時間いつでも提出できます。電子申請で提出した場合、紙の申告書の提出は不要です。
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出典
- 日本年金機構 プレスリリース「令和9年分の扶養親族等申告書の手続きの開始」(令和8年9月3日)
- 日本年金機構「令和9年分『公的年金等の受給者の扶養親族等申告書』の紙の提出方法」(更新日:令和8年9月3日)
- 日本年金機構「令和9年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」(更新日:令和8年9月3日)
- 日本年金機構 Q&A「日本年金機構へ扶養親族等申告書を提出しなかった場合はどうなるのですか。」(更新日:令和8年9月3日)
- 日本年金機構 Q&A「日本年金機構へ提出する扶養親族等申告書の『配偶者の区分』について、記入の仕方を教えてください。」(更新日:令和8年9月3日)
- 日本年金機構「扶養親族等申告書はスマートフォン等で提出できます」(更新日:令和8年9月3日)
更新履歴
2026年9月27日:記事を公開しました。
