今すぐお金が必要なとき、「無審査」「ブラックOK」という言葉に目が向きやすくなります。しかし、登録された貸金業者に無審査の貸付けはありません。この記事では、貸金業法と民法の条文、金融庁と日本貸金業協会の注意喚起、CICとJICCの案内をもとに、無審査をうたう融資の手口、無職・ブラック・18歳・19歳の場合に確認したい法律上のルール、公的な貸付と無料の相談窓口を整理します。
- 登録された貸金業者には返済能力を調査する義務があり、無審査の貸付けはできません(貸金業法13条・13条の2)。無審査をうたう業者は無登録の可能性があります。
- 総量規制の「年収」は、給与、年金、恩給、定期的な不動産の賃貸収入、安定的な事業所得など。「無職でもOK」「ブラックOK」は広告のルール(16条2項)に反するおそれがあります。
- CICにはブラックリストという名称のリストはなく、延滞などの事実が一定の期間登録されます。審査の可否は各社の基準で決まります。
- 今すぐ必要なときは、先に社会福祉協議会の生活福祉資金(緊急小口資金は10万円以内・無利子)や無料の相談窓口を確認します。
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貸金業者に「無審査」はない:法律が審査を求めている
貸金業法13条1項は、貸金業者に対し、貸付けの契約を締結しようとする場合には、顧客等の収入または収益その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力に関する事項を調査しなければならない、と定めています。13条の2第1項は、返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは契約してはならない、と定めています。登録された貸金業者が、審査をしないで貸すことは、法律上できません。「今すぐ」「無審査」をうたう宣伝は、次のように、広告のルールの面でも問題があります。
| 宣伝の例 | 公的な資料で確認できること |
|---|---|
| 「無審査」「審査なし」 | 登録された貸金業者は、貸付けの契約の前に返済能力を調査する義務があり、返済能力を超える貸付けは契約できない(貸金業法13条・13条の2) |
| 「ブラックOK」「他社で断られてもOK」「無職でもOK」 | 他の貸金業者の利用者や返済能力がない者を対象として勧誘する旨の表示は禁止(16条2項2号)。金融庁は「他店で断られた方でもOK」を違法業者の誘い文句に挙げている |
| 「誰でも」「らくらく・簡単」「即日」 | 借入れが容易であることを過度に強調する表示は禁止(16条2項3号) |
| 「年金受給者もOK」 | 公的な年金、手当等の受給者の借入意欲をそそる表示は禁止(16条2項4号) |
「審査なし」の広告ルールは「審査なし」をうたう広告のルールでも整理しています。貸金業を営むには登録が必要で、登録を受けない者が貸金業を営むことは禁止されています(貸金業法11条1項)。まず、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスなどで登録の有無を確認してください(貸金業者の登録を確認する方法)。
「無審査」の先にある、金融庁が挙げる手口
金融庁の「違法な金融業者にご注意!」には、違法業者の手口として、次のものが挙げられています。
- 小口・短期の貸付け:貸付金額は3万円から5万円など小口、期間は7日から10日間と短期が主流で、違法な高金利の利息などを短期間に請求されて行き詰まる。返済のために別の違法な業者から借りる悪循環に陥る。「10日で3割、5割の利息」「3万円借りて7日後に1万円の利息」といった利息は、出資法の上限金利を超える違法な金利の例です
- 家族や勤務先への連絡:返済が遅れたときの取立てのために、本人の住所、電話番号、勤務先だけでなく、親兄弟・親類の連絡先を聞いてくる
- 押し貸し:契約もしていないのに勝手に銀行口座に現金を振り込み、法外な高金利の利息などを請求する
- 紹介屋:「あなたの信用状態はよくない。うちでは貸せないのでほかの店を紹介する」などと言って他の店で借りさせ、その借入額の一部を紹介料としてだまし取る
- 先払いを求める詐欺:融資の約束をした後、保証料などと称して現金を送らせる、「返済の実績を見せてほしい」と先にお金を振り込ませて、融資をしないまま連絡を絶つ
金融庁は、住所、電話番号、銀行の口座番号などの個人情報を簡単に教えないこと、契約書を渡さない業者からは借りないことを呼びかけています。日本貸金業協会は、正規の貸金業者が融資を前提に金銭の支払いを要求することはない、としています。
無職・収入がないとき:総量規制の「年収」に含まれるもの
総量規制は、年収などを基準にその3分の1を超える貸付けを原則禁止する仕組みです(総量規制とは?。日本貸金業協会の例では、年収300万円なら貸金業者から最大100万円)。基準となる「年収」に含まれるものは、法令で次のように定められています(日本貸金業協会)。
- 給与、年金、恩給
- 定期的に受領する不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く)
- 年間の事業所得(過去の事業所得の状況に照らして安定的と認められるものに限る)
宝くじや競馬などによる一時的な収入は、年収に含まれません。総量規制の計算では、たとえば年収が90万円なら、貸金業者からの借入れの合計は30万円(90万円の3分の1)までが基準です(これは年収の3分の1から計算した例で、日本貸金業協会が示した例ではありません)。ただし、年収の3分の1以内でも必ず借りられるわけではありません。
パートの主婦(主夫)など、本人の年収だけでは希望額に届かない場合には、配偶者の同意を得て、本人と配偶者の収入を合算した額の3分の1まで借りられる「配偶者貸付」という例外制度があります。配偶者の収入を証明する書類や同意書などが必要です(日本貸金業協会)。一方、「無職でもOK」といった宣伝は、返済能力がない者を対象に勧誘する旨の表示(16条2項2号)にあたるおそれがあります。
年金を担保にした借入れは、日本貸金業協会によると、福祉医療機構だけが認められていた制度で、2022年3月末で新規申込受付が終了しています。それ以外の機関が年金受給権を担保に貸すのは、例外なく違法です(年金担保融資は違法?で解説)。
「ブラック」と言われたとき:信用情報に登録される内容と期間
CICは、「ブラックリスト」という名称のリストはなく、支払いが遅れた場合には、その客観的な取引事実が登録される、と説明しています。審査については、クレジット会社等がCICの信用情報も参考にしながら独自の基準に基づいて総合的に判断しており、個別の取引の可否はCICでは答えられないとしています。JICCが案内する登録内容と期間は、次のとおりです。
| 信用情報の種類(JICC) | 登録期間(2019年10月1日以降の契約) |
|---|---|
| 契約内容(契約の種類、契約日、契約金額、貸付金額など) | 契約継続中および契約終了後5年以内 |
| 返済状況(入金日、残高金額、完済日、延滞など) | 契約継続中および契約終了後5年以内 |
| 取引事実(債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡など) | 契約継続中および契約終了後5年以内(債権譲渡は発生日から1年以内) |
| 申込みに関する情報(申込日、申込商品種別など) | 照会日から6か月以内 |
CICも、クレジット情報は契約期間中および契約終了から5年間、申込情報は照会日より6か月間としています。自分の登録内容は、信用情報の開示で確認できます。
「ブラックでも借りられる」という宣伝は、上の表のとおり、16条2項2号に抵触するおそれがあります。金融庁は、違法な業者が、特に自己破産者や返済に困っている多重債務者をターゲットに勧誘してくる、と指摘しています。自己破産をした人への制限は自己破産中の制限と復権で解説しています。
18歳・19歳の場合:民法のルールと注意点
民法4条は、年齢18歳をもって成年とする、と定めています。5条は、未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意が必要で、これに反する法律行為は取り消すことができる、と定めています。つまり、17歳以下の人は、親権者の同意がない契約を取り消せる場合がありますが、18歳・19歳は成年なので、この取消しの規定の対象ではありません。
18歳・19歳でも、貸金業者の返済能力の調査や総量規制は同じように適用されます。収入が少ない人を対象にする勧誘は、返済能力がない者を対象にした表示(16条2項2号)に当たるおそれがあるうえ、金融庁が挙げる違法業者の誘い文句(「らくらく・簡単」「即日融資」など)にも重なります。
今すぐ必要なときに、先に確認する公的な窓口
- 生活費が足りない:生活福祉資金の緊急小口資金は、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合の少額の費用で、10万円以内・無利子・保証人不要です(厚生労働省の貸付条件等一覧)。対象は低所得者世帯、障害者世帯、高齢者世帯で、償還可能性も考慮されます。コールセンターは0120-46-1999(平日のみ9時〜17時)です(生活福祉資金とは?で解説)。日本貸金業協会も、地域の自立相談支援機関や社会福祉協議会への相談を案内しています
- 借金の返済で行き詰まっている:日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)の多重債務ほっとライン(0570-031640)、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374、平日9時〜21時、土曜9時〜17時)。方法の比較は債務整理4種類の違い、費用が心配なときは債務整理の費用が払えないときで解説しています
- ヤミ金融や詐欺が疑われる:金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811、平日10時〜17時)、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター(0570-051-051)、警察相談専用電話(#9110)、消費者ホットライン(188)
「審査なし」をうたう業者や個人間融資、給与ファクタリングは、貸金業の登録がない違法な貸付けである可能性が高いため、使わないでください(給与ファクタリング・個人間融資は違法?)。
借金の減額は、弁護士に無料で相談できます
支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。
ライズ綜合法律事務所では、質問に答えるだけで借金の減額相談を無料で申し込めます(匿名でも可)。まずは減らせる可能性があるかだけでも確かめてみてください。
※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。
まとめ
- 登録された貸金業者に無審査の貸付けはない。「無審査」「ブラックOK」は広告のルール(16条2項)に反するおそれがある。
- 無審査をうたう業者の手口には、小口・短期の高金利、押し貸し、紹介屋、保証料などを先に払わせる詐欺がある(金融庁)。
- 総量規制の「年収」に含まれるものは法令で決まっている。収入が少ない場合の例外には配偶者貸付がある。
- 「ブラックリスト」という名称のリストはなく、延滞などの取引事実が期間を決めて信用情報に登録される。
- 18歳・19歳は成年で、未成年者の契約を取り消す規定(民法5条)の対象ではない。困ったときは、社会福祉協議会、JCCO、法テラスなど公的な窓口に相談する。
よくある質問
今すぐお金が必要なとき、無審査で借りられる正規の業者はありますか?
ありません。登録された貸金業者は、貸付けの契約の前に返済能力を調査する義務があり、返済能力を超える貸付けは契約できません(貸金業法13条、13条の2)。無審査をうたう業者は、無登録のヤミ金融の可能性があります。
無職で収入がない場合、貸金業者から借りられますか?
総量規制の基準となる年収は、給与、年金、恩給、定期的な不動産の賃貸収入、安定的な事業所得などで、宝くじや競馬などの一時的な収入は含まれません(日本貸金業協会)。「無職でもOK」といった宣伝は、返済能力がない者を対象にした表示(貸金業法16条2項2号)にあたるおそれがあります。
「ブラックリスト」に載っていると、借りられませんか?
CICは、ブラックリストという名称のリストはなく、支払いが遅れた場合にはその客観的な取引事実が登録される、と説明しています。審査の可否は、各社が独自の基準で総合的に判断します。JICCでは、契約内容、返済状況、取引事実は契約終了後5年以内、申込みに関する情報は照会日から6か月以内が登録期間です。
18歳・19歳でも、親の同意なしに借りられますか?
民法4条により18歳で成年となるため、18歳・19歳は未成年者の契約の取消し(民法5条)の対象ではありません。18歳・19歳でも、貸金業者の返済能力の調査や総量規制は同じように適用されます。
今すぐ数万円が必要なとき、まず何をすればいいですか?
地域の社会福祉協議会に、生活福祉資金(緊急小口資金は10万円以内・無利子・保証人不要)を相談してください。借金の返済が原因なら、JCCOの多重債務ほっとラインや法テラスに相談します。ヤミ金融や詐欺が疑われるときは、金融庁、日本貸金業協会、警察、消費者ホットラインの窓口があります。
出典
- e-Gov法令検索「貸金業法」(第11条、第13条、第13条の2、第16条)
- e-Gov法令検索「民法」(第4条、第5条)
- 金融庁「違法な金融業者にご注意!」(令和8年9月18日更新)
- 日本貸金業協会「お借入れは年収の3分の1まで(総量規制について)」
- 日本貸金業協会「総量規制が適用されない場合について」
- 日本貸金業協会「悪質な金融業者にご注意!」
- CIC「支払いが遅れると、ブラックリストとしてCICに登録されますか?」
- CIC「支払いの遅れた事実が信用情報に登録されていると、クレジットを利用できませんか?」
- CIC「信用情報は、どのくらいの期間CICに登録されていますか?」
- JICC「信用情報の内容と登録期間」
- 厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」
- 厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」
- 金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」
更新履歴
2026年10月9日:記事を公開しました。
