就業規則は見せてもらえる?減給の制裁は1回で平均賃金1日分の半額・総額は賃金の1割まで

就業規則は見せてもらえる?減給の制裁は1回で平均賃金1日分の半額・総額は賃金の1割まで

労働基準法91条は、就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないと定めています(e-Gov法令検索で確認)。厚生労働省の「確かめよう労働条件」Q&Aによると、この制限を超えた就業規則の規定は、その部分は無効になり、労働者には適用されません。また、常時10人以上の労働者を使う会社は、賃金に関する事項を含めた就業規則を作成して労働基準監督署に届け出る義務があり、労働者に周知する義務もあります。

この記事は、給料のことで就業規則を見たい人、遅刻や欠勤で「罰金」として給料を減らされた人、契約書に労基法より不利な内容が書かれていた人に向けて、「確かめよう労働条件」のQ&A(就業規則の閲覧・減給の制裁規定・就業規則の必要記載事項・労基法違反の契約の効力)と、労働基準法の条文(e-Gov法令検索)で確認できた内容を、就業規則のルール・減給の制裁の限度・契約が法律に反するときの順にまとめたものです(2026年10月9日確認)。

先に結論
  • 常時10人以上の労働者を使う会社は、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出る義務があります(労基法89条)。
  • 就業規則は、各作業場の見やすい場所に掲示する、書面を交付する、パソコン等でいつでも確認できるようにするなどの方法で、労働者に周知しなければなりません(労基法106条)。
  • 減給の制裁は、1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはいけません(労基法91条)。
  • 制限を超える就業規則の規定は無効で、労働者に適用されません。監督署長は、法令に反する就業規則の変更を命じることができます(労基法92条)。
  • 労基法に達しない労働条件を定めた契約の部分は無効になり、労基法の基準に置き換えられます(労基法13条)。
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目次

就業規則は見せてもらえる?作成・届出・周知のルール

Q&Aには、「給料のことで就業規則を見たいのですが」という質問があります。回答は次のとおりです。

  • 常時10人以上の労働者を雇用している会社(事務所、工場、店舗など)は、賃金に関する事項を含めた就業規則を作成し、労働者代表の意見を聴いて、その意見書を添付して、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません(労基法89条)。
  • 就業規則の内容は、常時各作業場の見やすい場所に掲示するなどの方法で、労働者に周知しておかなければなりません(労基法106条)。そのため、就業規則を閲覧できるようになっているか、会社に確認してみてください。

周知の方法(労基法106条、労基則52条の2)

  1. 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること。
  2. 書面を労働者に交付すること。
  3. 磁気テープ、磁気ディスクなどに記録し、かつ、各作業場に、労働者が記録の内容を常時確認できる機器(パソコンなど)を設置すること。

就業規則に必ず書く項目

Q&Aによると、労基法89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、次の事項について就業規則を作成し、届け出ることを求めています。

区分事項(Q&A)
必ず記載する(絶対的必要記載事項)①始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制の就業時転換 ②賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期、昇給 ③退職に関する事項(解雇の事由を含む)
定めをする場合は必ず記載する(相対的記載事項)④退職手当 ⑤臨時の賃金等・最低賃金額 ⑥食費・作業用品などの負担 ⑦安全・衛生 ⑧職業訓練 ⑨災害補償・業務外の傷病扶助 ⑩表彰・制裁の種類・程度 ⑪その他、事業場の全労働者に適用される定め
任意に記載できる(任意的記載事項)上記以外で、法令または労働協約に反しない事項

就業規則を作る・変えるときの手続き(労基法90条)

e-Gov法令検索で確認できる労基法90条は、使用者は、就業規則の作成または変更について、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があればその労働組合、なければ労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないと定めています。また、労働基準監督署に届け出るときは、その意見を記した書面を添付しなければなりません。

Q&A(賃金の引き下げに関する項目)には、就業規則を変更して労働条件を不利益に変更するときには、変更が合理的であることと、変更後の就業規則を労働者に周知させることが必要である(労働契約法10条)とも書かれています。就業規則が一方的に変えられたと感じたときは、変更の経緯や周知の状況を会社に確認してください。

労基法93条は、労働契約と就業規則との関係について、労働契約法12条の定めるところによるとしています。労働契約法12条の内容はこの記事では扱いませんが、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分が無効になるという関係が定められています。

減給の制裁には上限がある|労基法91条

減給の制裁とは、職場の秩序を乱したときなどに、会社が就業規則に基づいて、給料を減らす懲戒処分です。労基法91条の上限は次のとおりです。

項目上限(労基法91条)
1回の減給の額平均賃金の1日分の半額を超えてはならない
総額一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない

Q&Aには、「就業規則の中に、労基法の減給の制裁規定の制限を超えた制裁を定めている条文がある。このような条文も労働者に適用されるのか」という質問があります。回答は次のとおりです。

  • 労基法92条1項は、「就業規則は、法令または当該事業場に適用される労働協約に反してはならない」としている。
  • 労基法91条の制裁規定の制限を超えた就業規則の規定は、その部分は無効になり、労働者に適用されない。
  • 労基法92条2項により、所轄の労働基準監督署長は、法令・労働協約に抵触する就業規則の変更を命じることができる。

なお、賃金から勝手に天引きされることに関しては、賃金の全額払いの原則や、違約金の定めの禁止(労基法16条、24条)が別に定められています。

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労基法より不利な契約を結んでしまったとき

Q&Aには、「労基法に違反する内容の契約でも、結んでしまえばこれに従わなければならないのか」という質問があります。回答は次のとおりです。

  • 労基法は、最低労働条件を定める強行法規です。労働契約の中で、労基法の基準に達しない労働条件を定める部分は無効になります。契約を結んでいても、従う必要はありません。
  • 無効となった部分の契約内容は、労基法の定める基準に置き換えられて適用されます(労基法13条)。
  • 労働契約全体が無効になるわけではありません。たとえば、「時間外労働をさせても、法定の割増賃金を払わない」という契約は、その部分が無効になり、法定の基準に基づく割増賃金を払う契約が結ばれていることになり、使用者が支払い責任を負います。

対象になる基準は、労働時間、休日、休暇、賃金の支払いなどです。単に使用者に手続を課したもの(就業規則の作成義務、賃金台帳の備え付けなど)は、労働条件ではないので、この規定の対象にはなりません。一方、解雇に関する規定は、労働条件の基準に当たります。

以上のように、就業規則も労働契約も、労基法で定める最低基準を下回ることはできません。判断に迷う場合は、労働基準監督署に相談してください。

就業規則と給料のチェックリスト

  1. 職場の掲示場所や、社内のパソコン・イントラネットで、就業規則を見られるか確認する(見られない場合は、会社に閲覧を求める)。
  2. 就業規則で、賃金の決定・計算・支払の方法、締切りと支払の時期、昇給の定めを確認する。
  3. 制裁(減給など)の規定があるときは、1回の額が平均賃金の1日分の半額以内か、総額が賃金総額の10分の1以内かを確認する。
  4. 契約書や就業規則に、労基法より不利な内容が書かれていないか(割増賃金を払わない、など)を確認する。
  5. 疑問があるときは、労働基準監督署や、夜間・休日は労働条件相談ほっとライン(0120-811-610)に相談する。
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よくある質問

就業規則は会社に見せてもらえますか?

就業規則は、常時各作業場の見やすい場所に掲示するなどの方法で、労働者に周知しなければなりません(労基法106条)。就業規則を閲覧できるようになっているか、会社に確認してください。

就業規則は必ず作らなければなりませんか?

常時10人以上の労働者を雇用している会社は、賃金に関する事項を含めた就業規則を作成し、労働者代表の意見書を添えて、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません(労基法89条)。

減給の制裁はいくらまで認められますか?

1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはなりません(労基法91条)。

上限を超える減給が就業規則に書かれていたらどうなりますか?

制限を超えた規定は、その部分が無効になり、労働者には適用されません。所轄の労働基準監督署長は、法令に抵触する就業規則の変更を命じることができます。

労基法より不利な契約を結んでしまっても従わなければいけませんか?

労基法の基準に達しない労働条件を定める部分は無効で、従う必要はありません。無効になった部分は、労基法の定める基準に置き換えられて適用されます。

出典

更新履歴

  • 2026年10月9日:記事を公開しました。
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