奨学金(日本学生支援機構=JASSO)の返還が払えず延滞している方、またはこれから延滞しそうな方向けの記事です。結論から言うと、延滞する前に「減額返還」または「返還期限猶予」をJASSOに申請するのが最優先です。この記事では、延滞した場合に何が起きるか、減額返還と返還期限猶予の違い、連帯保証人・保証人への影響、そして本当に返せないときの相談先を、JASSOの公式ページの記載にもとづいて順番に解説します。
- 延滞する前に、JASSOの「減額返還」か「返還期限猶予」を先に申請するのが最優先。どちらも延滞していないことが条件の場合がある。
- 減額返還は月々の負担を減らす制度、返還期限猶予は返還を先送りする制度。どちらも返還総額は減らない。
- 延滞3か月以上で個人信用情報機関への登録対象になる。放置すると法的措置(支払督促・強制執行)に進む。
- 連帯保証人・保証人がいる場合、債務整理をすると保証人に請求が移るため、先にJASSOの制度を使うべき。
- 「相談すれば督促が止まる」わけではない。止まるのは弁護士・司法書士に依頼し、受任通知が届いてから。
返済のために借りる前に、借金を減らせるか確認しませんか
次のどれかに当てはまるなら、新しく借りるより先に、弁護士に借金の減額を相談する方法があります(債務整理)。
- 毎月返しているのに、元金がほとんど減らない
- 返済のために、別の会社から借りている
- 支払いが遅れて、督促の電話やSMSが来ている
ライズ綜合法律事務所の減額相談は、借入金額などの質問に答えるだけで申し込めます。相談は無料で、匿名でも申し込めます。家族や知人に知られないよう配慮して対応すると案内されています。
※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。
奨学金を延滞するとどうなる?延滞金・信用情報・督促の流れ
約束した返還期日までに返還できないと、JASSOの公式ページによれば延滞金が課され、本人・連帯保証人・保証人に対して文書と電話による督促が行われます。ここから段階的に状況が悪化していきます。
延滞金の賦課率はいくら?
JASSO公式ページ「延滞金」によると、延滞金の割合は奨学金の種類・採用時期・返還方法によって異なります。現在の返還期日以降に延滞している分については、平成17年4月以降に採用された第一種奨学金(無利子)は返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて年3%、第二種奨学金(利子付き)も、延滞している割賦金(利子を除く)の額に対して同様に年3%(いずれも令和2年3月28日または4月1日以降に該当する延滞分)が課されるとされています。これより前の期間や古い採用時期の場合は率が異なる(過去には年5%・10%などの期間もあった)ため、自分の採用時期・返還方法に対応する率は必ずJASSO公式ページの表で確認してください。
個人信用情報機関への登録(いわゆる「ブラック」)
JASSO公式ページ「個人信用情報機関への個人情報・個人信用情報の登録」によると、奨学金の返還が延滞3か月以上になった場合(新たに返還を開始する方は返還開始から6か月経過時点で延滞3か月以上の場合)、個人信用情報機関への登録対象になります。登録後は返還状況が毎月更新され、延滞を解消すればその旨も登録されますが、登録された情報は返還完了から5年後に削除されるとされています。登録されると、スマートフォンの分割払いやクレジットカードの利用、住宅ローン等の各種ローンが組めなくなる場合がある、とJASSOは説明しています。
督促に応じないとどうなる?法的措置の流れ
督促を受けても返還せず延滞を続けると、保証の種類によって以下のような手続きに進むとJASSOは説明しています。
| 保証の種類 | 手続きの流れ(公式の記載どおり) |
|---|---|
| 人的保証(連帯保証人・保証人) | 民事訴訟法に基づく法的措置として、(1)支払督促予告→(2)支払督促申立(裁判所)→(3)仮執行宣言付支払督促申立→(4)強制執行、の順に進むとされています。 |
| 機関保証((公財)日本国際教育支援協会) | (1)一括返還請求→(2)保証機関への代位弁済請求→(3)保証機関からの一括請求・督促→(4)保証機関による強制執行(給与や財産の差押え)、の順に進むとされています。 |
また、督促を受けても返還期限猶予等の手続きや連絡がないまま延滞を続けている場合、独立行政法人日本学生支援機構法施行令第5条第5項に定める「支払能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠った」と判断され、返還期限が到来していない分を含めた一括請求になることがある、とJASSOは説明しています。
減額返還と返還期限猶予、何が違う?
「返還が難しい」となったときにJASSOが用意している制度は、大きく分けて減額返還と返還期限猶予の2つです。名前が似ていますが、仕組みが異なります。どちらも「返還すべき総額」を減らす制度ではありません。この違いを理解しないまま選ぶと、後で「思っていたのと違った」ということになりかねません。
減額返還制度とは(月々の負担を減らす)
JASSO公式ページ「減額返還制度の概要」によると、減額返還制度は当初の返還月額を2分の1、3分の1、4分の1、3分の2のいずれかに減額し、その分だけ返還期間を延長する制度です。主な条件は次のとおりです。
- 所得要件: 給与所得者は年間収入金額400万円以下(本人が扶養する子が2人の場合は500万円以下、3人以上は600万円以下)。給与所得以外の所得を含む場合は年間所得金額300万円以下(子2人の場合400万円以下、3人以上は500万円以下)。被扶養者1人につき38万円を収入・所得から控除できる。
- 延滞していないこと(願出・審査の時点で延滞を解消している必要がある)。
- 口座振替(リレー口座)加入者であること、および月賦返還であること。
- 適用期間は1回の願出につき12か月で、通算最長15年(180か月)まで延長できる。
JASSO公式ページには「減額返還は、毎月返還する割賦金を減額して、返還期間を延長するものです。返還予定総額が減額されるわけではありません」と明記されています。第二種奨学金の利子の総支払額も変わらない、とされています。
返還期限猶予制度とは(返還を先送りする)
JASSO公式ページ「返還を待ってもらう(返還期限猶予)」によると、返還期限猶予は災害・傷病・経済困難・失業などの事情があるときに、審査で承認された期間について返還そのものを待ってもらう制度です。承認された期間は返還不要になりますが、その分だけ返還終了年月が先送りされます。「経済困難」を理由とする一般猶予の所得要件は次のとおりです。
- 所得要件(経済困難): 給与所得者は年間収入金額300万円以下、給与所得以外の所得を含む場合は年間所得金額200万円以下。
- 適用期間は経済困難・失業中などの事由を合わせて通算10年(120か月)が限度(ただし災害・傷病・生活保護受給中・産前産後休業および育児休業・一部の大学校在学・海外派遣は年数制限なし)。
JASSO公式ページには「返還期限の猶予は、一定期間返還期限を先送りする制度であり、返還すべき元金や利子が免除されるものではありません」と明記されています。
比較表:減額返還 vs 返還期限猶予
| 項目 | 減額返還 | 返還期限猶予 |
|---|---|---|
| 効果 | 月々の返還額を減らす(2分の1・3分の1・4分の1・3分の2) | 返還そのものを一定期間待ってもらう(先送り) |
| 返還総額 | 減らない(期間が延びるだけ) | 減らない(先送りするだけ) |
| 所得要件の目安 | 給与所得者 年収400万円以下(扶養子の人数で増額) | 給与所得者 年収300万円以下(経済困難の場合) |
| 延滞していないこと | 必要 | 延滞している場合の申請手続きが別途あり |
| 適用期間の上限 | 通算15年(180か月) | 通算10年(120か月、一部事由は制限なし) |
目安としては、ある程度の収入はあるが今の月額では厳しい場合は減額返還、失業・傷病などで一時的にまったく返還できない場合は返還期限猶予を検討する、という順番になります。
返還免除が使えるのはどんな場合?
JASSO公式ページ「返還が免除となる場合(返還免除)」によると、返還免除は死亡、または精神もしくは身体の障害により返還ができなくなったときに願い出により認められる制度です。単に収入が少ない・返済が苦しいという理由だけでは対象になりません。経済的に厳しい場合にまず検討すべきは、前述の減額返還・返還期限猶予です。
連帯保証人・保証人(人的保証)と機関保証の違い、必ず知っておくべき注意点
奨学金の保証には、家族などに連帯保証人・保証人になってもらう人的保証と、保証機関((公財)日本国際教育支援協会)に保証料を払う機関保証の2種類があります。この違いは、延滞したときの請求先に直結します。
- 人的保証の場合: JASSO公式ページによると、延滞すると本人だけでなく連帯保証人・保証人にも文書・電話で督促が行われ、長期延滞が続けば連帯保証人・保証人も含めて法的措置(支払督促・強制執行)の対象になります。
- 機関保証の場合: 延滞が続くとJASSOから保証機関へ代位弁済請求が行われ、代位弁済後は保証機関から本人に一括請求されます。家族が保証人になっているわけではないため、この時点では家族への直接請求は生じません。
ここが最も重要な注意点です。 奨学金の返還が苦しく、任意整理・個人再生・自己破産といった債務整理を検討する場合、人的保証で連帯保証人・保証人がいるときは、その保証人に一括での請求が移ることになります。事前に何も知らせずに債務整理を進めると、保証人との関係に大きな影響が出かねません。だからこそ、債務整理を考える前に、まずJASSOの減額返還・返還期限猶予で延滞そのものを避けられないかを確認することが重要です。
なお、JASSOやその委託先の債権回収会社をかたる不審なSMSが送られてくることもあります。心当たりのない番号からのSMSに不安がある場合は、0222117258は奨学金延滞のSMS(JASSO)や0343343133はアルファ債権回収の奨学金関連の番号もあわせて確認し、必ず公式サイトやスカラネット・パーソナルから自分で状況を確認してください。
それでも返せないとき、どうすればいい?
減額返還・返還期限猶予を申請してもなお返還が難しい、あるいは奨学金以外にも複数の借入があって生活が立ち行かない場合は、弁護士・司法書士への相談が選択肢になります。ここで誤解しやすいのが督促の止まるタイミングです。
「相談すれば督促が止まる」というのは誤りです。 督促が止まるのは、弁護士・司法書士に依頼し、債権者(JASSOや保証機関、他の借入先)に受任通知が届いてからです。相談しただけの段階では督促は続きます。
複数の借入がある場合、任意整理や個人再生といった手続きを検討することになりますが、前述のとおり人的保証の奨学金は連帯保証人・保証人への影響を考えたうえで進める必要があるため、専門家に事情を正確に伝え、優先順位を相談してください。奨学金以外のカードローン等の状況によっては任意整理中にカードローンは通った?も参考になります。また、収入や生活そのものが厳しく、他の借入も難しい状況であればどこからも借りれない時の最終手段と公的支援もあわせて確認してください。これから奨学金の借入を検討している方は奨学金はいくら借りるのがベスト?も参考にしてください。
借金の減額は、弁護士に無料で相談できます
支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。
ライズ綜合法律事務所では、質問に答えるだけで借金の減額相談を無料で申し込めます(匿名でも可)。まずは減らせる可能性があるかだけでも確かめてみてください。
※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。
よくある質問
奨学金を延滞するとすぐ裁判になりますか?
すぐにはなりません。JASSO公式の説明では、督促に応じない状態が続いた場合に、人的保証では支払督促予告・支払督促申立といった法的措置に、機関保証では保証機関への代位弁済請求などに段階的に進むとされています。延滞に気づいた時点で減額返還や返還期限猶予を申請することが先決です。
減額返還と返還期限猶予はどちらを選べばいいですか?
ある程度の収入があり月々の負担だけを減らしたい場合は減額返還、失業や傷病などで一時的にまったく返還できない場合は返還期限猶予が目安です。いずれもJASSO公式ページに記載の所得要件・適用期間の範囲内で選ぶ必要があり、どちらも返還総額そのものは減りません。
奨学金を債務整理すると連帯保証人・保証人に迷惑がかかりますか?
人的保証で連帯保証人・保証人がいる場合、延滞や債務整理によって保証人に一括での請求が移ることがあります。機関保証の場合は保証機関への代位弁済という形になり、家族への直接請求ではありません。人的保証の方は、債務整理の前にJASSOの減額返還・返還期限猶予で延滞そのものを避けられないか確認してください。
個人信用情報機関に登録されるとどうなりますか?
JASSO公式ページによると、延滞3か月以上で個人信用情報機関への登録対象になります。登録されると、スマートフォンの分割払いやクレジットカードの利用、住宅ローン等の各種ローンが組めなくなる場合があるとされています。登録情報は返還完了から5年後に削除されます。
返還期限猶予や減額返還の相談はどこにすればいいですか?
申請はスカラネット・パーソナルまたは郵送でJASSOに行います。要件や必要書類は制度・事由によって異なるため、JASSOの公式ページで自分の状況に合う申請事由の説明を確認してください。
相談したらすぐ督促は止まりますか?
止まりません。督促が止まるのは、弁護士・司法書士に依頼して債権者に受任通知が届いてからです。相談しただけの段階では督促や連絡は続きます。
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出典
- 延滞した場合 | JASSO
- 延滞金 | JASSO
- 督促 | JASSO
- 人的保証 | JASSO
- 機関保証 | JASSO
- 個人信用情報機関への個人情報・個人信用情報の登録 | JASSO
- 月々の返還額を少なくする(減額返還制度) | JASSO
- 減額返還制度の概要 | JASSO
- 返還を待ってもらう(返還期限猶予) | JASSO
- 経済困難(一般猶予の申請事由) | JASSO
- 返還が免除となる場合(返還免除) | JASSO
更新履歴
2026年9月23日:記事を公開しました。
