自宅にNHKの放送を受信できるテレビなどがあるのに、まだNHKと受信契約を結んでいない方に向けた記事です。今から契約すると、受信料は設置した月の翌月分から(2019年9月以前の設置は設置の月分から)さかのぼって請求される可能性があり、事情によっては割増金が加わることもあります。この記事では、過去分がいつの分まで請求され得るか、割増金の対象になる条件、「時効で古い分は消える」という話が本当かを、NHKの公式資料と最高裁判決から確認します。
- 今から契約すると、受信料は受信設備を設置した月の翌月分から(2019年9月以前に設置した場合は設置の月の分から)さかのぼって請求される可能性があります(受信規約第5条、付則3項)。
- 契約の申込み期限(設置の月の翌々月末日、2023年3月以前の設置は令和5年6月末日)を過ぎて正当な理由なく契約すると、未契約期間の受信料に加え同額の2倍の割増金を請求されることがあります(対象は2023年4月以降の期間分だけ)。
- 「受信料は5年で時効」という情報がありますが、契約していない期間は消滅時効が進んでいないため、今契約すると過去分について時効を主張できません(最高裁大法廷判決)。
- 契約はNHK受信料の窓口サイト、または電話0120-151515(受付時間9時〜18時、土日祝も受付)から申し込めます。
- 支払いが難しい場合は、まず窓口0570-077-077に相談を。免除は基準該当時のみです。
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NHK受信料を今から払うとはどういうこと?未契約の人がまず知ること
放送法64条1項および日本放送協会受信規約(以下「受信規約」)により、NHKの放送を受信できる受信設備(テレビなど)を設置した者、またはNHKの配信の受信を開始した者はNHKと受信契約を結ばなければなりません。設備を設置しているのに契約をしていない状態が、いわゆる「未契約」です。「今から払う」「今から契約する」は、この受信契約をこれから新たに結ぶことを指します。

受信規約第4条は、受信契約について「受信機の設置者またはNHKの配信の受信開始者とNHKの双方の意思表示の合致の日に成立する」と定めています。契約が成立する日と、受信料の支払い義務が生じる期間は別だという点に注意が必要です。次の章で条文にもとづいて確認します。
今から払うと過去分はいつから請求される?受信規約の考え方
受信規約第5条は、受信料の支払い義務について「受信契約者は、受信機の設置またはNHKの配信の受信開始により受信契約の締結を要することとなった月の翌月から、第9条第2項の規定により解約となった月の前月まで」受信料を支払わなければならないと定めています。ただし付則3項により、設置の月が2019年9月以前(令和元年9月以前)である場合は、この第5条にかかわらず「設置の月」の受信料を支払わなければなりません。今から契約する場合、2019年10月以降の設置なら翌月分から、2019年9月以前の設置なら設置月分から、受信料が請求され得ることになります。

NHKに今から契約を申し込む方法
受信契約には、地上系のテレビジョン放送またはNHKの配信のみを受信できる「地上契約」と、衛星系のテレビジョン放送も受信できる「衛星契約」があります(受信規約第1条)。自分の設備がどちらに該当するか確認のうえ申し込みます。申し込みはNHK受信料の窓口の公式サイトからインターネットで手続きするか、電話0120-151515(受付時間9時から18時、土日祝も受付)で申し込めます。すでに契約済みで滞納が続いている場合は、NHK受信料を滞納するともあわせてご確認ください。
NHK未契約のまま何年も設置していた場合、過去分はどこまで遡る?
受信規約第5条の文言をそのまま読むと、設置していた期間がどれだけ長くても、「設置の月の翌月」(2019年9月以前の設置は付則3項により「設置の月」)からの受信料が発生し続けることになり、遡る期間の上限を定めた規定は見当たりませんでした。受信契約書には設置の日を記載して提出するため(受信規約第3条1項2号)、実際にいつの分から請求されるかは契約の手続きの際にNHKに確認してください。受信契約自体をしなくてよい場合があるか気になる方は、NHK受信料は本当に払わなくていい?やNHK受信料、契約しないでいるとどうなる?、NHK未契約で無視は危険?も参考にしてください。
状況別「今から契約すると過去分はどうなる?」一覧表
受信規約は設置した時期によって申込みの期限・受信料が発生する期間・割増金の対象範囲が異なります(付則3項・6項・7項)。申込み方法はいずれもインターネットまたは電話0120-151515です(第3条3項)。

| 設置した時期 | 申込みの期限 | 受信料が発生する期間 | 割増金の対象になり得るか(正当な理由なく期限超過の場合) |
|---|---|---|---|
| 2019年9月以前(令和元年9月以前) | 令和5年6月末日(付則6項) | 設置の月から(付則3項) | 2023年4月〜契約成立月前月の2倍相当額(付則6・7項) |
| 2019年10月〜2023年3月 | 令和5年6月末日(付則6項) | 設置の月の翌月から(第5条) | 2023年4月〜契約成立月前月の2倍相当額(付則6項) |
| 2023年4月以降 | 設置の月の翌々月末日(第3条1項) | 設置の月の翌月から(第5条) | 設置翌月〜契約成立月前月の2倍相当額(第12条2項) |
ここでいう「正当な理由」について、NHKの公式Q&Aでは「非常災害や急な疾病・事故等で受信契約書を期限までに提出することが著しく困難だったことが、客観的に認められる場合などがあたる」と説明されています。単に契約を後回しにしていただけでは、この「正当な理由」には当たらないと考えられます。
今から契約すると割増金の対象になる?ならない?
割増金制度は放送法改正(2022年10月施行)を受け、2023年4月1日から導入されました。NHKの公式ページでは、割増金の対象として次の2つが説明されています。

- 不正な手段により受信料の支払いを免れた場合:支払いを免れた受信料に加え、その2倍に相当する額の割増金。
- 正当な理由がなく期限までに受信契約の申込みをしなかった場合:受信機の設置の月の翌月から受信契約を締結した月の前月までの受信料に加え、その2倍に相当する額の割増金。
今回の「今から契約する」ケースであてはまるのは後者です。NHKの公式ページには「いずれの場合も、受信料のお支払いが必要な期間のうち、割増金の対象となるのは2023年4月以降の期間分の受信料の2倍に相当する額となります」と明記されており、設置していた期間が2023年3月以前にさかのぼる場合でも、その部分は割増金の対象になりません。受信料本体は、規約上は設置の月の翌月分から(2019年9月以前の設置は設置の月から、付則3項)発生し続ける扱いです。割増金の金額をさらに詳しく知りたい方は、NHKの割増金もご覧ください。
「時効で古い分は消える」と言われるが本当か(最高裁判決で確認)
ネット上には「NHK受信料は5年で時効になる」という情報がよく見られます。これは、最高裁判所第二小法廷の平成26年9月5日判決(平成25年(受)第2024号 放送受信料請求事件)が根拠で、判決文では「上告人の上記契約に基づく受信料債権は、年又はこれより短い時期によって定めた金銭の給付を目的とする債権に当たり、その消滅時効期間は、民法169条により5年と解すべきである」と判断されています。

ただし、この判決は、すでに受信契約が成立している人の、契約に基づく受信料債権についての判断です。これから契約する未契約の人の、契約前の期間にそのままあてはまるとは限りません。
この点については、最高裁判所大法廷の平成29年12月6日判決(平成26年(オ)第1130号、同年(受)第1440号・第1441号 受信契約締結承諾等請求事件)で、次のように判断されています。
- 受信料債権は受信契約にもとづいて発生するものであり、「受信契約が成立する前においては、原告は、受信料債権を行使することができない」。
- 「受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権(受信契約成立後に履行期が到来するものを除く)の消滅時効は、受信契約成立時から進行するものと解するのが相当である」。
契約が成立していない間は消滅時効が進行しないため、契約成立時点から時効のカウントが始まります。設置時期がどれだけ古くても、契約前の分がすでに時効で消えているという主張は成り立ちません。
一度に払うのが難しいとき/相談先
今から契約して過去分をまとめて請求されると、一度に用意するのが難しいという方もいるでしょう。
まず、NHKの免除制度(日本放送協会受信料免除基準)では、生活保護等の公的扶助受給世帯、世帯全員が市町村民税非課税で障害者手帳等をお持ちの方がいる世帯、親元と別居している一定の学生、災害の被災者などは全額免除に、視覚・聴覚障害者や重度の障害者等が世帯主で受信契約者の場合などは半額免除になります(受信規約第10条にもとづく免除基準に該当する場合に限られます)。一般的に「まとまった金額を用意するのが厳しい」というだけでは、この免除の対象にはなりません。
支払い方法は2か月ごとのほか6か月前払・12か月前払も案内されていますが、これらは前払いによる割引制度であり、分割払いや支払い猶予の制度ではありません。個別の事情がある場合は、断定せずまず公式の窓口に相談することをおすすめします。
- 受信契約の手続きに関する電話:0120-151515(受付時間9時〜18時、土日祝も受付)
- その他の受信料に関する電話(請求内容の確認など):0570-077-077(受付時間9時〜18時、土日祝も受付)
NHKの契約とは別に、家賃や公共料金、ほかの借金も重なって家計が苦しい場合は、自治体の生活困窮者自立支援制度の窓口(どこからも借りれない時の最終手段と公的支援)や法テラス・弁護士・司法書士への相談も選択肢です。借金の返済が難しい場合、弁護士・司法書士に依頼し受任通知が届くことで貸金業者からの督促が止まることがあります(貸金業法21条1項9号)。ただしNHKは貸金業者ではないため、受任通知によってNHKへの支払い義務がなくなるわけではありません。
借金の減額は、弁護士に無料で相談できます
支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。
ライズ綜合法律事務所では、質問に答えるだけで借金の減額相談を無料で申し込めます(匿名でも可)。まずは減らせる可能性があるかだけでも確かめてみてください。
※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。
よくある質問
NHK受信料を今から払うと、過去分はいつから請求されますか?
受信規約第5条により、受信料の支払い義務は設置した月の翌月分から発生します。ただし付則3項により、2019年9月以前の設置は設置の月分からです。今から契約する場合も、設置していた時期に応じて過去分が請求される可能性があります。
NHKに今から契約すると、割増金も請求されますか?
正当な理由なく申込み期限(設置の月の翌々月末日。2023年3月以前の設置は令和5年6月末日)を過ぎて契約した場合、未契約期間の受信料に加え、その2倍相当額の割増金を請求されることがあります。ただし対象は2023年4月以降の期間分だけ、とNHK公式ページに説明されています。
NHK未契約のまま何年も設置していた場合、過去分に時効はありませんか?
最高裁判所の判決によると、受信契約が成立していない間は消滅時効が進行せず、時効は契約が成立した時点から始まると判断されています。そのため、設置していた期間が古くても、契約前の分がすでに時効で消えている、とは考えにくいとされています。
NHK受信料は5年で時効になると聞きましたが、本当ですか?
最高裁判所平成26年9月5日判決は、すでに受信契約が成立している場合の各期の受信料債権について、消滅時効が5年であると判断したものです。これから契約する未契約の期間に、そのままあてはまるとは限りません。
今からNHKと契約する方法を教えてください。
NHK受信料の窓口の公式サイトからインターネットで申し込むか、電話0120-151515(受付時間9時から18時、土日祝も受付)で申し込めます。設備の種類によって地上契約か衛星契約かが変わります。
支払いが一度にできない場合はどうすればいいですか?
NHKの免除制度は、公的扶助受給世帯や、世帯全員が市町村民税非課税で障害者手帳等をお持ちの方がいる世帯(全額免除)、視覚・聴覚障害者や重度の障害者等が世帯主で受信契約者の世帯(半額免除)など、定められた基準に該当する場合に限られます。当てはまらない場合はまず受信料窓口(0570-077-077)に相談を。借金も重なって家計が厳しい場合は債務整理の相談窓口も選択肢です。
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出典
- NHK受信料の窓口「日本放送協会受信規約」(令和7年10月1日施行)
- NHK受信料の窓口「公平に受信料をお支払いいただくために」(割増金制度について)
- NHK「割増金の対象となる『正当な理由がなく期限までに受信契約の申込みをしなかった場合』とは何か」
- NHK受信料の窓口「新規の契約」
- NHK受信料の窓口「受信料に関する電話番号の一覧」
- NHK受信料の窓口「受信料免除の対象となる方について」
- 最高裁判所 平成25年(受)第2024号 放送受信料請求事件 判決(平成26年9月5日 第二小法廷)
- 最高裁判所 平成26年(オ)第1130号、平成26年(受)第1440号・第1441号 受信契約締結承諾等請求事件 判決(平成29年12月6日 大法廷)
更新履歴
2026年9月28日:記事を公開しました。
