借金の時効は5年?援用しないと消えない|一部返済・督促・判決で時効がやり直しになる場合

借金の時効は5年?援用しないと消えない|一部返済・督促・判決で時効がやり直しになる場合

長いあいだ返済していない借金について、「時効で消えるのでは」と考える人は少なくありません。ただ、借金の時効は、期間が過ぎただけでは成立せず、一部返済などで、やり直しになることもあります。この記事では、民法の条文と法テラスの説明をもとに、借金の消滅時効の仕組みを整理します。

先に結論
  • 借金の消滅時効は、権利を行使できると知った時から5年または権利を行使できる時から10年です(民法166条1項)。
  • 期間が過ぎても、援用(時効の主張)をしないと、借金は自動的には消えません(法テラス、民法145条)。
  • 借金の一部を払う、払うと認めると時効がやり直しになるおそれがあります(民法152条)。
  • 裁判で判決が確定すると、時効は10年になります(民法169条)。
  • 古い借金は、払う前に専門家へ相談しましょう。
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目次

借金の消滅時効は「5年」または「10年」

民法166条1項は、債権(お金を返してもらう権利)は、次の場合に時効によって消滅すると定めています。

  • 債権者が、権利を行使できると知った時から5年間、行使しないとき
  • 権利を行使できる時から10年間、行使しないとき

法テラスは、債務は、原則として弁済期(借金や利息の支払期日)から5年を経過すると、時効によって消滅すると説明しています。貸金業者から借りた場合は、貸した側は、支払期日が来れば、権利を行使できると知っているのが通常なので、5年が目安になります。契約を結んだ時期などによっては、民法改正前の規定が関わる場合があるため、古い借金は専門家に確認してください。

時効は「援用」しないと、借金は消えない

法テラスによると、時効期間が経過しても、自動的に借金や利息がなくなるわけではありません。債務を消滅させるには、時効期間が過ぎたあとに、債務者が消滅時効を援用(一定の事実を自分の利益のために主張すること)する意思表示をすることが必要です。

民法145条も、時効は、当事者(消滅時効の場合は、保証人など権利の消滅について正当な利益を持つ人を含む)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができないと定めています。さらに、民法146条は、時効の利益は、あらかじめ放棄することができないと定めています。

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時効が「止まる・やり直しになる」ケース

時効は、5年たてば必ず完成するわけではありません。民法には、時効の完成を遅らせたり(完成猶予)、時効をゼロからやり直したり(更新)する事由が定められています。借金に関係する主なものは、次のとおりです。

できごと時効への影響(民法の条文)
借金の一部を払う、「払います」と認める(承認)時効は、その時から新たに進み始める(更新)。民法152条
裁判上の請求、支払督促手続が終わるまで時効は完成しない(完成猶予)。判決などで権利が確定すると、手続が終わった時から新たに進む(更新)。民法147条
強制執行、担保権の実行手続が終わるまで時効は完成せず、終わった時から新たに進む。民法148条
仮差押え、仮処分終わった時から6か月を過ぎるまで、時効は完成しない(完成猶予)。民法149条
催告(支払いを求める書面など)その時から6か月を過ぎるまで、時効は完成しない(完成猶予)。猶予されている間の再度の催告には、猶予の効力はない。民法150条
書面による、協議を行う旨の合意合意から1年を過ぎる時など、早い時までは、時効は完成しない(完成猶予)。民法151条

とくに注意したい「承認」

民法152条は、時効は、権利の承認があったときは、その時から新たに進み始めると定めています。借金の一部を払う、「払います」と認めるなどが承認にあたり得るため、時効が近い古い借金に、安易に少額を払ったり、返済の約束をしたりすると、時効がやり直しになるおそれがあります。判断が難しいときは、払う前に専門家へ相談してください。

判決で確定すると10年になる

民法169条は、確定判決などによって確定した権利は、もともと10年より短い時効期間の定めがあるものでも、時効期間は10年になると定めています。裁判で請求が認められて判決が確定している借金は、5年では時効になりません。支払督促や訴状が届いたときの対応は支払督促が届いたら2週間以内に異議や訴状が届いたら答弁書を期限内にで解説しています。

時効についての、よくある勘違い

  • 「5年たてば自動的に消える」:消えません。援用をしなければ、借金は残ります(法テラス、民法145条)。
  • 「少し払えば、期間が延びるだけ」:一部の返済などで権利を認めると、時効は、その時から新たに進み始めます(民法152条)。あわせて、この承認は、相手の権利について処分する権限などがなくても成り立つと定められています(同条2項)。
  • 「督促状が来ても、時効は進む」:催告があると、その時から6か月を過ぎるまで、時効は完成しません(民法150条)。ただし、猶予されている間の再度の催告には、猶予の効力はありません。
  • 「裁判所の書類は放置してもいい」:支払督促や裁判上の請求があると、時効は完成せず、判決などで確定すれば、手続が終わった時から新たに進みます(民法147条)。確定判決のある借金の時効は10年です(民法169条)。
  • 「時効の利益は、前もって放棄してもいい」:民法146条により、時効の利益は、あらかじめ放棄できません。

時効の完成猶予や更新の効力は、その事由が生じた当事者とその承継人の間にだけ及びます(民法153条)。保証人がいる借金などでは、関係が複雑になるため、専門家に確認してください。

なお、完済した借金の過払い金の請求の時効は、借金の時効とは別に考えます。過払い金の時効は、知った時から5年、または取引が終了した時から10年です。詳しくは過払い金の時効は完済から10年で解説しています。

古い借金の督促が来たとき

長いあいだ返済していない借金について、督促の連絡が来たとき、まず、最後に返済した日、最後に債権者へ「払う」と伝えた日、裁判所から書類が届いたことがないかを確認します。判決や支払督促がある場合は、時効の考え方が変わります。

時効の完成を、督促状などの内容だけで判断するのは危険です。時効を主張できるかは、最後の返済日、裁判の有無、契約の時期などで変わります。法テラスの無料法律相談(同じ問題で3回まで)や、弁護士・司法書士に相談して、取引の経過を一緒に整理してもらうのが確実です。督促状を放置したときの流れは督促状を無視し続けるとどうなる?で確認できます。

時効の援用を専門家に頼むときも、費用が心配な場合があります。条件は債務整理の費用が払えないときで整理しています。

時効に頼れないときの選択肢

時効が完成していない借金は、返済を続けるか、債務整理で整理する必要があります。時効を主張できるかどうか分からないときも、まず、法テラスなどの無料相談で確認できます。任意整理は任意整理のメリット・デメリット、個人再生は個人再生とは?、自己破産は自己破産のメリット・デメリットで解説しています。弁護士や司法書士が債務整理の依頼を受け、貸金業者に通知すると、通常、貸金業者からの連絡は止まります。

「時効にできる」とうたって手数料を先に求める業者や、「審査なし」をうたう業者、個人間融資、給与ファクタリングは、違法な貸付や詐欺である可能性が高いため使わないでください。

借金の減額は、弁護士に無料で相談できます

支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。

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まとめ

  1. 借金の消滅時効は、知った時から5年、または行使できる時から10年(民法166条1項)。
  2. 時効は援用しないと、借金は自動的には消えない。
  3. 一部返済や承認で、時効は新たに進み始める(民法152条)。
  4. 催告は6か月の完成猶予だけ。裁判や支払督促にも猶予・更新の効果がある。
  5. 確定判決があれば、時効は10年。古い借金は専門家に確認する。

よくある質問

借金の時効は何年ですか?

民法166条1項により、債権者が権利を行使できると知った時から5年、または権利を行使できる時から10年です。法テラスは、個人の借金は、原則として弁済期から5年を経過すると時効によって消滅すると説明しています。

時効の期間が過ぎれば、借金は自動的になくなりますか?

なくなりません。法テラスによると、債務を消滅させるには、時効期間が過ぎたあとに、債務者が消滅時効を援用する意思表示をする必要があります。民法145条も、当事者が援用しなければ、裁判所は時効によって裁判できないと定めています。

時効が近い借金を少し払うと、どうなりますか?

民法152条により、権利の承認があったときは、時効はその時から新たに進み始めます。借金の一部を払うことなどが承認にあたり得るため、時効が近い古い借金に安易に払うと、時効がやり直しになるおそれがあります。

裁判で判決が出た借金の時効は、何年ですか?

民法169条により、確定判決などによって確定した権利は、時効期間が10年になります。もともと5年だった借金でも、判決が確定していれば、5年では時効になりません。

過払い金の時効は、借金の時効と同じですか?

別に考えます。法テラスによると、過払金返還請求権は、返還を請求できると知った時から5年、または取引が終了した時(完済した時)から10年で、時効によって消滅します。借金を返す側の時効とは、立場が逆です。

督促状が届くと、時効はどうなりますか?

裁判外の請求(催告)があると、民法150条により、その時から6か月を過ぎるまで、時効は完成しません(完成猶予)。猶予されている間に、もう一度催告しても、猶予の効力は生じません。

出典

更新履歴

2026年10月9日:記事を公開しました。

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