自己破産を考えるとき、「ギャンブルや浪費の借金だと、免責が認められないのでは」と心配する人は多いはずです。免責が認められない原因は、破産法252条に「免責不許可事由」として定められています。この記事では、破産法の条文と法テラスの説明をもとに、11の事由、例外としての裁量免責、免責されない借金、保証人への影響を整理します。
- 免責不許可事由は、破産法252条1項に11項目あります(財産の隠匿、浪費・賭博、虚偽の債権者名簿、過去7年以内の免責など)。
- 当てはまっても、裁判所が事情を考えて免責を相当と認めれば、免責が許可されます(裁量免責、同条2項)。
- 免責されても、税金、悪意の不法行為の賠償、養育費などは残ります(破産法253条1項)。
- 免責は保証人には及ばないため、保証人には請求が行きます(同条2項)。
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免責不許可事由とは?破産法252条が定める11項目
自己破産で借金の支払義務をなくすには、裁判所の免責許可の決定を受ける必要があります。破産法252条1項は、破産者について、次の各号のいずれにも当てはまらない場合には、裁判所は免責許可の決定をすると定めています。つまり、次のどれかに当てはまると、原則として、免責が認められません。これを「免責不許可事由」と呼びます。
| 号 | 免責不許可事由(破産法252条1項)の内容 |
|---|---|
| 1 | 債権者を害する目的で、破産財団に属する(または属すべき)財産を隠したり、壊したり、債権者に不利益に処分したりして、財産の価値を不当に減らした |
| 2 | 破産手続の開始を遅らせる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担した、または、信用取引で商品を買い入れて、著しく不利益な条件で処分した |
| 3 | 特定の債権者に特別の利益を与える目的、または他の債権者を害する目的で、義務ではない(または義務とは方法・時期が違う)担保の提供や債務の消滅に関する行為をした |
| 4 | 浪費や賭博その他の射幸行為をして、著しく財産を減らした、または過大な債務を負った |
| 5 | 申立ての1年前から開始決定までの間に、破産の原因があると知りながら、ないと信じさせるため、詐術を用いて、信用取引で財産を取得した |
| 6 | 業務や財産の状況に関する帳簿・書類などを隠滅、偽造、変造した |
| 7 | 虚偽の債権者名簿を提出した |
| 8 | 裁判所の調査で、説明を拒んだり、虚偽の説明をしたりした |
| 9 | 不正の手段で、破産管財人などの職務を妨害した |
| 10 | 過去に免責が確定したことなどから7年以内に、免責許可を申し立てた |
| 11 | 破産法に定める義務に違反した |
10号の「過去に免責が確定してから7年以内」は、免責許可の決定が確定した日、給与所得者等再生の再生計画が遂行されたときの再生計画認可決定の確定日、民事再生法の免責の決定が確定したときの再生計画認可決定の確定日から数えます。法テラスも、過去7年に給与所得者等再生、破産手続で免責を得ていることを、免責が認められにくい場合として挙げています。
浪費やギャンブルがあっても、免責される場合がある
破産法252条2項は、1項各号のいずれかに当てはまる場合でも、裁判所が、破産手続開始の決定に至った経緯その他の一切の事情を考慮して、免責を許可することが相当だと認めるときは、免責許可の決定をすることができると定めています。これを「裁量免責」と呼びます。
つまり、ギャンブルや浪費が借金の原因でも、自己破産が一律に認められないわけではありません。ただし、裁判所の判断は個別の事情で決まるため、見通しは弁護士や司法書士に確認してください。ギャンブルの借金については、ギャンブルの借金は自己破産できない?で詳しく解説しています。
法テラスが挙げる、免責が認められにくい例
法テラスは、自己破産で免責の決定がされないのは、次のような場合が考えられるとしています。破産法の条文と照らすと、おおむね上の各号に対応します。
- 財産を隠したり、壊したりする(1号)
- 財産を不当に安い対価で手放す(1号・2号)
- ギャンブルや過度な買い物、飲食で債務を負った(4号)
- 他の債権者に払えないのに、家族や親友、一定の債権者にだけ偏って返済する(3号)
- 裁判所に一部の財産を申告しなかったり、虚偽の書類を出したりする(6号〜8号)
- ローンで買ったものを安く処分する(「買取屋」「換金屋」の利用)(2号)
- 過去7年に給与所得者等再生、破産手続で免責を得ている(10号)
- 返済できないことを知りながら、借金をする(5号)
クレジットカードの現金化(ショッピング枠で買った商品を安く換金する行為)も、買取屋・換金屋の利用と同様の行為とされるため、自己破産を考えている人は、使ってはいけません。
自己破産をしても手元に残る財産
破産法34条3項は、民事執行法131条3号に定める額に2分の3を掛けた額の金銭は、破産財団に属しないと定めています。差押えが禁止される現金の額は66万円(法テラスの説明)なので、その1.5倍の99万円以下の現金は、手元に残せることになります。法テラスも、自己破産では、生活に必要な家財道具などの一定の財産以外は失うが、99万円以下の現金は手元に残せると説明しています。
また、差し押さえることができない財産も、原則として破産財団に属しません。さらに、裁判所は、破産者の申立てまたは職権により、破産手続開始の決定があった時から、その決定が確定した日以後1か月を経過する日までの間に、破産者の生活の状況などを考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を広げることもできます(同条4項)。
免責されても、払い続ける借金:非免責債権
免責許可の決定が確定すると、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、責任を免れます(破産法253条1項)。ただし、次の請求権は免責されません。
- 租税等の請求権
- 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
- 破産者が故意または重大な過失により加えた、人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
- 夫婦間の協力・扶助の義務、婚姻から生ずる費用の分担の義務、子の監護に関する義務、扶養の義務などに係る請求権
- 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権と、使用人の預り金の返還請求権
- 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
- 罰金等の請求権
保証人には、免責の効力が及ばない
破産法253条2項は、免責許可の決定は、破産債権者が、破産者の保証人など、破産者とともに債務を負担する人に対して持つ権利や、破産者以外の人が債権者のために提供した担保に、影響を及ぼさないと定めています。つまり、自己破産で免責されても、保証人には、請求が行きます。保証人がいる借金は、あらかじめ保証人に相談し、方針を決めましょう。
自己破産を検討するときの相談先
自己破産の流れ、費用、デメリットは自己破産のメリット・デメリットで、自己破産以外の方法は、任意整理のメリット・デメリットや個人再生とは?で解説しています。費用が払えないときは、法テラスの立替制度が使える場合があります。条件は債務整理の費用が払えないときで整理しています。
弁護士や司法書士が債務整理の依頼を受け、貸金業者に通知すると、通常、貸金業者からの連絡は止まります。相談は、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374、平日9時〜21時、土曜9時〜17時)でも案内を受けられます。
「審査なし」をうたう業者や個人間融資、給与ファクタリングは、貸金業の登録がない違法な貸付である可能性が高いため使わないでください。
借金の減額は、弁護士に無料で相談できます
支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。
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※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。
まとめ
- 免責不許可事由は、破産法252条1項の11項目。
- ギャンブルや浪費も免責不許可事由だが、裁量免責(同条2項)で免責されることがある。
- 法テラスが挙げる例は、財産の隠匿、偏った返済、虚偽の申告、買取屋・換金屋の利用など。
- 免責されても、税金・扶養義務・罰金などは残る(253条1項)。
- 免責は保証人には及ばない(253条2項)。方針は専門家と一緒に決める。
よくある質問
免責不許可事由とは何ですか?
破産法252条1項に定められた、免責許可の決定が出されない原因となる11の事由です。財産の隠匿、浪費やギャンブルによる著しい財産の減少、虚偽の債権者名簿の提出、過去7年以内の免責などが含まれます。
ギャンブルや浪費の借金だと、自己破産はできませんか?
浪費や賭博などによる著しい財産の減少や過大な債務の負担は、免責不許可事由のひとつです(破産法252条1項4号)。ただし、同条2項により、裁判所が、破産手続開始に至った経緯などを考えて、免責が相当と認めるときは、免責許可の決定をすることができます(裁量免責)。
自己破産をしても、手元に残る現金はありますか?
破産法34条3項により、民事執行法131条3号に定める額(66万円)に2分の3を掛けた額、つまり99万円以下の現金は、破産財団に属さず、手元に残せます。法テラスも、99万円以下の現金は手元に残せると説明しています。
免責不許可事由があると、必ず免責されませんか?
必ずではありません。破産法252条2項の裁量免責により、一切の事情を考慮して、免責を許可することが相当と認められれば、免責許可の決定が出ることがあります。
自己破産で免責されても、なくならない借金はありますか?
あります。破産法253条1項により、租税等の請求権、悪意の不法行為に基づく損害賠償請求権、養育費などの扶養に関する義務に係る請求権、罰金等の請求権などは免責されません。
自己破産すると、保証人にも影響しますか?
破産法253条2項により、免責許可の決定は、債権者が保証人に対して持つ権利に影響を及ぼしません。免責されても、保証人には請求が行きます。
出典
- 法テラス「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」
- 法テラス「差し押さえることができない「動産」には、どのようなものがありますか。」
- e-Gov法令検索「破産法」(第34条・第252条・第253条)
- 法テラス「免責許可決定が確定すると、すべての債権は免責されるのでしょうか。」
- 法テラス「自己破産で免責決定がされないのは、どういう場合ですか。」
更新履歴
2026年10月9日:記事を公開しました。
