退職金の税金|退職所得控除は勤続20年以下で40万円×年数、申告書を出せば確定申告は原則不要

退職金の税金|退職所得控除は勤続20年以下で40万円×年数、申告書を出せば確定申告は原則不要

退職金にかかる所得税は、(退職金の額 − 退職所得控除額)× 2分の1で計算した金額が課税の対象になります。国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)によると、退職所得控除額は、勤続年数が20年以下なら40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)、20年を超えるなら800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)です。退職金を受け取る前に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に出していれば、原則として確定申告は不要です。

この記事は、退職を控えている人、退職金を受け取る人に向けて、国税庁の「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」で確認できた内容を、退職所得の計算・退職所得控除額・申告書の出し方・例外(役員・短期勤続)の順にまとめたものです(2026年10月9日確認)。個別の税額は、勤務先の経理担当者や税務署で確認してください。

先に結論
  • 退職所得の金額は、(収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2です。退職所得は、原則として、他の所得と分離して所得税額を計算します。
  • 退職所得控除額は、勤続年数20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)、20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)です。勤続年数の1年未満の端数は、1年に切り上げます。
  • 「退職所得の受給に関する申告書」を出している人は、退職金の支払者が所得税を計算して源泉徴収するため、原則として確定申告は不要です。
  • 申告書を出していない人は、退職金の支払金額の20.42%の所得税・復興特別所得税が源泉徴収され、確定申告で精算します。
  • 障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、退職所得控除額に100万円が加算されます。
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目次

退職所得とは?退職金・一時金・解雇予告手当も含まれる

国税庁によると、退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいいます。次のものも、退職所得にあたる(またはみなされる)ものとして挙げられています。

  • 社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金。
  • 確定拠出年金法に規定する企業型年金規約・個人型年金規約に基づいて、老齢給付金として支給される一時金。
  • 労働基準法第20条の規定により支払われる解雇予告手当。
  • 賃金の支払の確保等に関する法律第7条の規定により、退職した労働者が弁済を受ける未払賃金。

確定給付企業年金規約に基づいて支給される退職一時金などで、従業員自身が負担した保険料や掛金がある場合は、その支給額から従業員が負担した金額を差し引いた残額が、退職所得の収入金額になります。

退職所得控除額の計算|勤続年数20年で式が変わる

勤続年数(A)退職所得控除額
20年以下40万円 × A(80万円に満たない場合は80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(A − 20年)

国税庁の計算例

ケース計算
勤続年数が10年2か月の人端数の2か月は1年に切り上げて11年。40万円 × 11年 = 440万円
勤続年数が30年の人800万円 + 70万円 ×(30年 − 20年)= 1,500万円

退職所得の金額を求める例(仕組みの説明用)

勤続30年で退職金が2,000万円の場合、退職所得控除額は1,500万円なので、退職所得の金額は、(2,000万円 − 1,500万円)× 1/2 = 250万円です。この例は式の使い方を示すための仮の数字で、実際の税額は、この金額に所得税の税率などを適用して計算します。

前年以前に退職金を受け取ったことがあるとき、同一年中に2か所以上から退職金を受け取るとき、障害者になったことが直接の原因で退職した場合などは、控除額の計算が異なることがあります。障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、上の方法で計算した額に、100万円を加えた金額が退職所得控除額になります。

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税額の計算と申告|「退職所得の受給に関する申告書」で確定申告が不要に

状況税金の扱い(国税庁の記載)
「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人退職金等の支払者が、所得税額および復興特別所得税額を計算し、退職手当等の支払の際に、退職所得の金額に応じた所得税等の額が源泉徴収される。原則として確定申告は必要ない。ただし、医療費控除や寄附金控除の適用を受けるなどの理由で確定申告書を提出する場合は、確定申告書に退職所得の金額を記載する
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人退職金等の支払金額の20.42%の所得税額および復興特別所得税額が源泉徴収される。受給者本人が確定申告を行って、所得税額および復興特別所得税額を精算する

退職所得は、原則として他の所得と分離して所得税額を計算します。退職金を受け取る前に、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を忘れずに出しておくと、20.42%の一律の源泉徴収を避けられます。復興特別所得税は、平成25年1月1日から令和29年12月31日までの間に支払を受ける退職手当等に課されます。令和8年度税制改正により、令和9年以後は、防衛特別所得税が創設され、復興特別所得税の税率の引下げと課税期間の延長が行われますが、防衛特別所得税と復興特別所得税の合計税率に変更はなく、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じないと説明されています。

役員や短期勤続の場合は「2分の1」にならないことがある

区分内容(国税庁の記載)
特定役員退職手当等役員等勤続年数が5年以下の人が受ける、その役員等勤続年数に対応する退職手当等。退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が退職所得の金額になる(2分の1計算の適用はない)
短期退職手当等短期勤続年数(役員等以外として勤務した期間で計算した勤続年数が5年以下。国税庁は、この勤続年数について、役員等として勤務した期間がある場合は、その期間を含めて計算するとしている)に対応する退職手当等で、特定役員退職手当等に当たらないもの。退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額のうち300万円を超える部分には、2分の1計算の適用はない

「役員等」とは、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人や経営に従事する一定の者、国会議員・地方議員、国家公務員・地方公務員をいいます。

同じ年に2か所以上から退職金を受け取るとき

国税庁の「No.2735 同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき」によると、同じ年に、すでに他の会社などから退職手当等を受けている場合や、退職する会社のほかに企業年金基金などから退職手当等とみなされる一時金が支払われる場合は、支払者は、他の支払者が支払った退職手当等も含めて源泉徴収税額を計算します。受け取る人は、「退職所得の受給に関する申告書」に、支払済みの退職手当等の支払者の氏名(名称)、退職手当等の額、源泉徴収された税額、支払年月日、勤続年数などを記入し、その支払済みの退職手当等の「退職所得の源泉徴収票」を添付して提出します。

この場合の勤続年数は、支払済みの退職手当等の勤続期間と今回の勤続期間のうち、最も長い勤続期間を基に計算します(重複していない期間があれば、加算して計算し、1年未満の端数は切り上げ)。計算の結果、支払済みの源泉徴収税額を差し引いた額がマイナスになる場合は、源泉徴収税額はなく、その還付を受けるには、受給者本人が確定申告をする必要があります。

退職金がいつの年分になるか|収入すべき時期と源泉徴収の納付期限

「No.2728 退職所得の収入金額の収入すべき時期」によると、退職手当等がいつの年分の所得になるかは、その退職手当等の収入すべきことが確定した日で判定します。一般的には、退職手当等の支給の基因になった退職の日です。役員の退職手当等で株主総会などの決議が必要なものは、その決議があった日(支給金額が具体的に決まっていない場合は、金額が具体的に決まった日)です。

退職手当等を支払う会社側は、「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」によると、所得税および復興特別所得税(令和9年分以後は、所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税)を源泉徴収して、原則として翌月の10日までに納めなければなりません。死亡退職により支払う退職手当等で、相続税の課税の対象になるものは、所得税の課税の対象にならないため、源泉徴収は必要ありません。

退職後の手続きとあわせて確認したいこと

退職金を受け取る前後は、住民税や健康保険、年金などの手続きも重なります。退職後の住民税は住民税は10月に退職・転職するとどうなる?で、国民健康保険料の負担は国民健康保険料が払えないときの減免・分割の相談方法で説明しています。退職金を受け取った年は、退職所得と他の所得(給与など)を分離して計算するため、確定申告が必要かどうかは、受け取り方や、ほかの控除の適用の有無で変わります。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、退職所得の記入方法などを確認できます。

退職金の税金を確認するときのチェックリスト

  1. 勤続年数を数える(1年未満の端数は1年に切り上げ)。
  2. 退職所得控除額を計算する(20年以下は40万円 × 年数・最低80万円、20年超は800万円 + 70万円 ×(年数 − 20年))。障害者になったことが直接の原因の退職なら100万円を加算する。
  3. 退職金を受け取る前に、勤務先へ「退職所得の受給に関する申告書」を出す。
  4. 役員等・短期勤続(5年以下)に当たらないかを確認する(2分の1計算が使えない場合がある)。
  5. 申告書を出していなければ、20.42%が源泉徴収されるため、確定申告で精算する。
  6. 医療費控除などで確定申告をするときは、退職所得の金額も申告書に記載する。
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よくある質問

退職金の税金はどうやって計算しますか?

(退職金の額 − 退職所得控除額)× 2分の1が退職所得の金額で、この金額をもとに、他の所得と分離して所得税額を計算します。

退職所得控除額はいくらですか?

勤続年数が20年以下なら40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)、20年を超えるなら800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)です。障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、100万円が加算されます。

退職金をもらったら確定申告が必要ですか?

「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人は、支払者が所得税を計算して源泉徴収するため、原則として確定申告は必要ありません。提出していない人は、退職金の20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算します。

勤続年数に1年未満の端数があるときはどうしますか?

1年未満の端数は1年に切り上げます。たとえば、勤続年数が10年2か月の人は、11年として退職所得控除額を計算します。

役員や勤続5年以下の人の退職金も2分の1になりますか?

特定役員退職手当等(役員等勤続年数が5年以下)は、2分の1計算が適用されません。短期退職手当等(短期勤続年数が5年以下)は、退職所得控除額を引いた額のうち300万円を超える部分に2分の1計算が適用されません。

出典

更新履歴

  • 2026年10月9日:記事を公開しました。
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