厚生労働省の「確かめよう労働条件」Q&Aによると、年次有給休暇(有給休暇)は、①6か月以上継続勤務していて、②その期間の全労働日の8割以上出勤した人であれば、10日とれます。その後は、出勤率が8割以上であれば、継続勤務期間1年ごとに日数が増え、最高20日が限度です。所定労働日数が少ないパートタイム労働者も、その所定労働日数に応じて有給休暇をとれます。
この記事は、これから有給休暇をとる人、パート・アルバイトで日数がわからない人、会社から「有給は使えない」と言われた人に向けて、「確かめよう労働条件」の年次有給休暇に関するQ&A(取得の条件・時間単位・5日付与義務・時効・不利益取扱い)で確認できた内容を、付与日数の表と制度のルールの順にまとめたものです(2026年10月9日確認)。会社ごとの就業規則で、法律を上回る日数を定めている場合もあります。
- 入社6か月・出勤率8割以上で10日。以降1年ごとに増え、勤続6年6か月以上で20日(一般の労働者)。
- パートでも、週所定労働時間が30時間以上、または週5日(年間217日)以上なら、一般の労働者と同じ日数です。
- 有給休暇は労働者の権利です。使用者は、使用目的を理由に取得を拒めません。
- 10日以上の有給休暇がある労働者には、会社に年5日の付与義務があります(違反には30万円以下の罰金)。
- 有給休暇の権利は2年間有効(消滅時効2年)で、前年度の分のみ繰り越されます。
- 時間単位でとるには労使協定が必要で、上限は年5日までです。
有給休暇とは?もらえる条件
Q&Aによると、年次有給休暇とは、労働者の心身の疲労を回復させ、仕事と生活の調和を図るために、労働基準法が労働者の「権利」として認めた有給の休暇です。法定の要件を満たせば、当然に権利が発生します。使用者が、労基法で決められた日数より少ない日数しか認めなかったり、就業規則で有給休暇を認めないと定めたりしても、それらは無効で、労働者は労基法どおりの有給休暇をとれます。
- 権利が発生する条件は、6か月以上の継続勤務と、その期間の全労働日の8割以上の出勤です。
- 有給休暇は、労働義務を免除するものなので、労働義務のない日(所定休日や休業日など)にとることはできません。
- どんな目的でとるかは労働者の自由で、使用者は目的を理由に取得を拒めません。ただし、業務の正常な運営を妨げる目的で一斉に休んで職場を放棄することは、正当な権利行使ではないとされています。
付与日数の表|一般の労働者とパート
表1 一般の労働者
| 勤続年数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
Q&Aには、「1年6か月に8割未満の出勤率であったために11日の休暇権を取得できなかった場合でも、2年6か月に8割以上の出勤率となれば、その翌年には12日の休暇権が取得できます」とも書かれています。
表2 週所定労働時間が30時間未満のパートタイム労働者
パートタイム労働者であっても、週所定労働時間数が30時間以上の場合や、所定労働日数が週5日(または年間217日)以上の場合は、表1の一般の労働者と同じ日数をとれます。それ未満の場合は、次の表のとおりです。
| 週所定労働日数 | 年間所定労働日数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4日 | 169〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 121〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 73〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 48〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
たとえば、週4日勤務のパートで勤続6か月の人は7日、週3日勤務で勤続3年6か月の人は8日です(Q&Aの表2より)。
会社の時季変更権と、会社の5日付与義務
時季変更権
有給休暇の取得日は、原則として、労働者が好きな時季を指定できます。ただし、指定した時季に休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」には、使用者は他の時季に変えること(時季変更権)ができます。Q&Aによると、これに当たるかどうかは、個別的・具体的・客観的に判断され、事業の規模、内容、労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行などの事情を考慮します。
使用者の年5日付与義務
2019年4月から、使用者に年5日の時季指定義務が課せられています。対象は、10日以上の有給休暇が付与される労働者(パートタイム労働者や管理監督者も含む)です。使用者は、有給休暇が付与される日(基準日)から1年以内に5日以上を労働者に取得させなければならず、怠った場合は30万円以下の罰金の罰則があります。
- 労働者本人が自分で5日(1日または半日単位)をとった場合や、計画年休で5日分が付与された場合は、使用者の付与義務はなくなります。
- 使用者が時季を指定するときは、あらかじめ労働者に意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければなりません。
- 時間単位年休は、5日の取得に含まれません。一方、前年度から繰り越した有給休暇の取得は、5日に含まれます。
時間単位でとる・時効・不利益な扱い
時間単位年休
事業場で労使協定を結べば、年5日までの範囲で、時間単位の年次有給休暇をとれます(監督署への届出は不要)。ただし、1日単位で休むのが原則なので、労働者が日単位を請求しているのに、使用者が時間単位で取るよう強制することはできません。1時間に満たない単位(30分単位など)で与えることもできません。
時間単位年休を導入するときに、労使協定で定める事項は次のとおりです。
- 対象労働者の範囲(利用目的によって対象者の範囲を定めることはできません)
- 時間単位年休の日数(年5日以内。前年度からの繰り越し分がある場合は、繰り越し分を含めて5日以内)
- 時間単位年休1日の時間数(1日の有給休暇が何時間分に当たるか。1時間に満たない端数は1時間に繰り上げる)
- 1時間以外の時間を単位とする場合は、その時間数(2時間単位、4時間単位など。ただし、1日の所定労働時間数と同じか、これを上回ることはできない)
また、「忙しいから」という使用者の主観的な理由だけでは、労働者からの時間単位年休の請求を拒めません。時間単位年休を取得できない時間帯をあらかじめ労使協定で定めることや、所定労働時間の途中での取得を制限することなどは認められないとされています。
年の途中で所定労働時間数が変わったときは、時間単位の端数が残っている部分は、1日の所定労働時間の変動に比例して時間数が変更されます。Q&Aには、所定労働時間が8時間から4時間に変わり、有給休暇が3日と3時間残っている場合、変更後は3日(1日4時間)と2時間になる、という例があります(比例すると1.5時間になるが、1時間未満の端数は切り上げる)。
有給休暇の消滅時効は2年
Q&Aによると、労基法上の賃金請求権の消滅時効は5年(当面3年)に改正されましたが、年次有給休暇の消滅時効は2年のままで、前年度の分のみが繰り越されます。ただし、有給休暇をとった日の賃金請求権と付加金の消滅時効は、当分の間3年です。
有給休暇をとったことで不利益に扱われたら
労基法は、有給休暇をとった労働者に対して、賃金を減額したり、不利益な取扱いをしないようにしなければならないと定めています。たとえば、精皆勤手当や賞与を算定するとき、有給休暇を欠勤扱いにすることなどが、不利益取扱いに当たります。賞与の査定でマイナス評価にすることも、有給休暇の取得を事実上抑制することになり、不利益な取扱いとされています。
有給休暇のチェックリスト
- 入社日から6か月以上たっているか、その間の出勤率が8割以上かを確認する。
- 自分が一般の労働者(表1)か、パート(表2)か確認し、付与日数を調べる。
- 週所定労働時間が30時間以上、または週5日(年間217日)以上なら、表1と同じ日数になる。
- 10日以上付与されている人は、基準日から1年以内に5日以上とれているか確認する。
- 前年度の有給休暇が残っていれば、2年以内に使う(繰り越せるのは前年度分のみ)。
- 有給休暇をとったことで手当や賞与を減らされたら、労働基準監督署などに相談する。
よくある質問
有給休暇は入社して何か月でもらえますか?
6か月以上継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤していれば、10日の有給休暇がとれます。以降、出勤率が8割以上であれば、継続勤務1年ごとに日数が増え、最高20日です。
パートやアルバイトも有給休暇をとれますか?
所定労働日数が少ないパートタイム労働者でも、その所定労働日数に応じて有給休暇をとれます。週所定労働時間が30時間以上、または週5日(年間217日)以上の場合は、一般の労働者と同じ日数です。
会社は有給休暇の理由を聞いて断れますか?
年休の使用目的は労働者の自由で、使用者は目的によって取得を拒むことはできません。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合には、時季変更権により、他の時季に変えることができます。
有給休暇の時効は何年ですか?
年次有給休暇の消滅時効は2年のままで、前年度の分のみが繰り越されます。有給休暇をとった日の賃金請求権と付加金は、当分の間3年です。
有給休暇を半日や1時間単位でとれますか?
事業場で労使協定を結べば、年5日までの範囲で、時間単位でとれます。1時間に満たない単位(30分単位など)で与えることはできません。
出典
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「年次有給休暇をとる条件は?パート労働者でももらえる?」(2026年10月9日確認)
- 同Q&A「年次有給休暇をとると査定でマイナス評価にされるのは問題ないか」(2026年10月9日確認)
- 同Q&A「年次有給休暇を時間単位でとるには、どうすればよいか」(2026年10月9日確認)
- 同Q&A「使用者に年休5日付与義務が課せられました。留意点は?」(2026年10月9日確認)
- 同Q&A「年次有給休暇権の時効は?有給はいつまで権利行使が可能でしょうか?」(2026年10月9日確認)
更新履歴
- 2026年10月9日:記事を公開しました。
