自己破産しても免責されない借金と、できなくなること|破産法253条・7年の制限・信用情報

自己破産しても免責されない借金と、できなくなること|破産法253条・7年の制限・信用情報

自己破産をすると何ができなくなるのか。手続の最中の制限は別の記事に譲り、この記事では、手続が終わった後にも残る問題を、破産法の条文と、法テラス、千葉地方裁判所、信用情報機関の案内をもとに整理します。

先に結論
  • 自己破産をしても、税金・罰金、扶養などの義務、悪意の不法行為による損害賠償、債権者名簿に載せなかった債務などは免責されません(破産法253条1項)。
  • 保証人には免責の効果が及びません。保証人の支払義務は残ります(同条2項、千葉地方裁判所)。
  • 免責を受けてから7年以内に免責許可を申し立てると、免責不許可事由になります(252条1項10号)。ただし裁判所の裁量で許可される場合もあります。
  • 借入れやクレジットカードは数年間難しくなりますが、何年という法律上の制限はなく、貸す側の判断です(千葉地方裁判所)。選挙権、戸籍、預金口座には影響しません(法テラス)。
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目次

自己破産でなくなるもの、なくならないもの

法テラスは、自己破産を「債務の支払が不能な場合に、一定の財産を債権者に平等に分配した上で、債務を支払わなくてよい状態にする(免責)裁判所における手続」と説明しています。一方で、デメリットとして、99万円以下の現金を除く一定の財産を失うこと、手続が終わるまで職業・転居・長期の旅行等で制限を受ける場合があること、官報に住所や氏名等が記載されること、数年間は借入れやクレジットカードの作成が難しくなることを挙げています。

同じ法テラスの説明には、自己破産をしたからといって、選挙権がなくなる、戸籍や住民票に記載される、銀行の普通預金口座が使用できなくなる、ということはない、とあります。この記事では、手続が終わった後も残る問題を中心に整理します。手続の最中に受ける居住地・郵便物などの制限は自己破産中の制限と復権で解説しています。

免責されない借金(破産法253条1項)

免責許可の決定が確定すると、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について責任を免れます。ただし、破産法253条1項は、次の請求権については例外とし、免責の対象にならないと定めています。

253条1項免責されない請求権内容
1号租税等の請求権税金など。千葉地方裁判所も「税金や罰金は対象外」と説明している
2号悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権破産者が悪意で他人に加えた不法行為による損害賠償
3号故意または重大な過失により人の生命・身体を害した不法行為に基づく損害賠償請求権2号に当たるものを除く
4号夫婦間の協力・扶助、婚姻費用の分担、子の監護、扶養などの義務に係る請求権民法752条、760条、766条・766条の3、877条〜880条の義務と、これに類する契約上の義務
5号雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権、使用人の預り金の返還請求権従業員への給料など
6号破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権破産手続開始の決定があったことを知っていた者の請求権は除く
7号罰金等の請求権罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金、過料(破産法97条6号)

千葉地方裁判所の「破産・免責手続について」には、「破産すると、すべての借金が免除されるのですか?」という質問への答えとして、税金や罰金は対象外であること、債務があるとわかっていながら債権者一覧表に書かなかった債務も同様であることが書かれています。そのうえで、債権者一覧表を書く前に漏れがないかきちんと調べることが必要だと説明しています。ある債務が免除されないものに当たるかどうかに争いがある場合は、破産手続の中ではなく、正式裁判等の別の手続で確定するとされています。

4号の「子の監護に関する義務」について、民法766条は、離婚のときに定める事項として「子の監護に要する費用の分担」を挙げています。養育費の取決めがある人は、この義務に関わる可能性があります。個々の債務が当たるかどうかは、依頼した弁護士・司法書士に確認してください。

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保証人や連帯債務者には、免責の効果が及ばない

破産法253条2項は、免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利や、破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない、と定めています。千葉地方裁判所も、免責の効果は保証人には及ばないので、保証人の支払義務はなくならない、と説明しています。

つまり、自分の借金が免責されても、保証人になってくれた家族や知人には、債権者から請求が行く可能性があります。法テラスは、自己破産は申立人本人についての手続なので家族の財産や仕事に影響はないと説明していますが、家族が保証人になっている場合の保証人としての支払義務は別の話です。保証人がいる借金があるときは、手続を依頼する前に弁護士・司法書士に伝えてください。家族の借金と支払義務の関係は家族の借金を肩代わりする義務はある?で整理しています。

免責が許可されない場合と、「7年」の制限

破産法252条1項は、免責不許可事由として11の事由を挙げています。たとえば、債権者を害する目的で財産を隠したこと(1号)、特定の債権者にだけ有利な弁済をしたこと(3号)、浪費やギャンブルその他の射幸行為によって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担したこと(4号)、虚偽の債権者名簿を提出したこと(7号)、裁判所の調査で虚偽の説明をしたこと(8号)などです。

このうち10号は、期間に関する事由です。免責許可の決定が確定した場合は、その確定の日から7年以内に免責許可の申立てがあったことが、免責不許可事由になります。給与所得者等再生の再生計画が遂行された場合や、個人再生のいわゆるハードシップ免責の決定が確定した場合も、それぞれ定められた日から7年以内の免責許可の申立てが対象です。千葉地方裁判所も、過去7年以内に免責を受けている場合を免責不許可事由の一つに挙げています。

ただし、252条2項により、免責不許可事由に当たる場合でも、裁判所が、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当と認めるときは、免責許可の決定をすることができます(裁量免責)。千葉地方裁判所は、大切なのは、裁判所に本当の事実を明らかにすることだ、と説明しています。免責不許可事由の全体は免責不許可事由とは?、自己破産の長所と短所は自己破産のメリット・デメリットで解説しています。

借入れ・クレジットカード・分割払いはどうなるか

法テラスは、信用情報を取り扱う機関に登録されることで、数年間は借入れやクレジットカードの作成が難しくなる、と説明しています。千葉地方裁判所の「破産した後、何年くらいお金を借りることができないのですか?」という質問への答えは、「一般的に約5〜7年と言われていますが、これは法律上の制限ではありません。お金を貸す側の判断になります」というものです。つまり、何年経てば必ず借りられるという決まりはなく、貸す側が信用情報などを見て判断します。

信用情報機関ごとの登録の扱いは、次のとおりです。

機関破産に関する登録登録期間(各機関の案内)
CIC官報に掲載される自己破産の情報は登録されない。免責許可決定が確定すると、登録元が、免責により契約が終了した日を契約終了日として登録する契約終了日から5年間
JICC取引事実に関する情報として債務整理、破産申立などの事実を登録契約日2019年10月1日以降の契約は、契約継続中および契約終了後5年以内
全国銀行個人信用情報センター官報情報として、官報で公開された破産・民事再生手続の情報を登録(免責に関する情報は登録しない)破産・民事再生手続開始決定の日から7年を超えない期間(2022年11月4日に10年から7年へ短縮)

CICは、支払いの遅れた事実が登録されていても、クレジットを利用できるかどうかは、クレジット会社等が、CICの信用情報も参考にしながら独自の基準で総合的に判断するため、個別の取引の可否はCICでは答えられない、と案内しています。携帯電話の分割払いの審査も同様で、CICは審査を行っておらず、否決の理由は答えられない、としています。自分の信用情報は開示して確認できます(信用情報の開示請求)。

借りられない期間に「審査なし」をうたう業者や個人間融資、給与ファクタリングに頼ると、貸金業の登録がない違法な貸付に巻き込まれる危険があります(「審査なし」広告のルール、給与ファクタリング・個人間融資)。

仕事や資格への影響と、知られ方

千葉地方裁判所は、破産手続開始決定を受けると、宅地建物取引士、旅行業務取扱管理者、警備員、保険外交員などになることができなくなるが、その後、免責決定が確定すれば、この制限は解除される、と説明しています。破産法255条による復権の要件や、手続中の制限の詳細は自己破産中の制限と復権で解説しています。

周囲に知られるかどうかについて、千葉地方裁判所は、破産手続は非公開で行われるため、破産債権者になっていない限り、裁判所から勤務先や家族あてに通知することはない、と説明しています。ただし、破産した人の氏名や住所は官報に掲載されます。法テラスも、官報への掲載があるため他人に知られる可能性は否定できないこと、職場や近所の人が債権者であれば裁判所から通知を受けるため知られる可能性があることを挙げています。官報については自己破産・個人再生は官報に載る?で解説しています。

迷ったときの相談先と、他の方法との比較

免責されない借金があるか、保証人や仕事への影響はどうかは、人によって違います。相談は、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374、平日9時〜21時、土曜9時〜17時)や、JCCOの多重債務ほっとライン(0570-031640)、弁護士会・司法書士会の窓口でできます(JCCOの無料借金相談)。費用が心配なときは債務整理の費用が払えないとき、自己破産の費用で整理した法テラスの立替制度があります。

他の方法も比較してください。千葉地方裁判所は、裁判所で行っている債務整理の方法として、破産・免責のほかに、特定調停と個人再生があると説明しています。弁護士・司法書士に依頼して行う任意整理もあります(債務整理4種類の違い、任意整理とは?)。「借金をゼロにします」と持ちかけて先に手付金を取る業者や、貸金業の登録がない業者には近づかないでください。

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まとめ

  1. 免責されない借金は、破産法253条1項の7種類(税金等、悪意の不法行為、扶養などの義務、名簿に載せなかった請求権、罰金等など)。
  2. 保証人や連帯債務者には免責の効果が及ばない(253条2項)。
  3. 免責から7年以内の再申立ては免責不許可事由(252条1項10号)。裁量免責の余地はある。
  4. 信用情報の登録は、CICが契約終了日から5年間、全国銀行個人信用情報センターの官報情報が7年を超えない期間。借入れの可否は貸す側の判断。
  5. 資格制限は免責確定で解除される。官報に氏名・住所が載るため、知られる可能性は否定できない。

よくある質問

自己破産しても、税金や罰金はなくなりませんか?

破産法253条1項は、租税等の請求権(1号)と罰金等の請求権(7号)を、免責されない請求権として挙げています。千葉地方裁判所も、税金や罰金は免責の対象外だと説明しています。

借金を1件書き忘れても、免責されますか?

破産法253条1項6号は、破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権を、免責されないものとしています。千葉地方裁判所は、債権者一覧表を書く前に漏れがないか調べることが必要だと説明しています。

免責を受けた後、すぐにもう一度自己破産できますか?

破産法252条1項10号により、免責許可の決定が確定した日から7年以内に免責許可の申立てをすると、免責不許可事由になります。ただし、同条2項により、裁判所が一切の事情を考慮して相当と認めれば、免責が許可される場合もあります。

自己破産すると、何年間ローンが組めませんか?

法律上の決まりはありません。千葉地方裁判所は、一般的に約5〜7年と言われるが法律上の制限ではなく、お金を貸す側の判断になる、と説明しています。

自己破産すると、保証人になってくれた家族にも影響しますか?

破産法253条2項により、免責の効果は保証人には及びません。千葉地方裁判所も、保証人の支払義務はなくならない、と説明しています。

出典

更新履歴

2026年10月9日:記事を公開しました。

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