令和8年(2026年)7月に発生した熊本地震で、住宅ローンや自動車ローンなどの返済が苦しくなった個人の方に向けた記事です。まず金融庁の相談ダイヤルと借入先への相談から始め、条件に合えば「自然災害債務整理ガイドライン」でローンの免除・減額を申し出られます。
熊本地震では、運営機関のリーフレットに「特定調停申立手数料が無料になる」場合があると書かれています。ここが、先に対象になった台風災害などの記事と違う点です。公式発表で確認できた内容だけを、2026年10月9日現在でまとめます。
- 返済の相談は金融庁の熊本地震相談ダイヤル 0120-156-811(平日10時〜17時)か、借入先の金融機関へ。
- 住宅ローンなどは「自然災害債務整理ガイドライン」で免除・減額を申し出られます。窓口は最も多額のローンを借りている金融機関等です。
- 災害救助法の適用市町村に住所等があった方が2029年6月30日までに裁判所へ民事調停を申し立てる場合、特定調停の申立手数料は無料です。
- 「ガイドラインの手続きを手伝う」と報酬を求める業者は悪質業者とされています。登録支援専門家の手続支援は無料です。
- 返済が難しいときは2027年7月27日まで資力に関係なく無料の法律相談(法テラス)も使えます。
返済のために借りる前に、借金を減らせるか確認しませんか
次のどれかに当てはまるなら、新しく借りるより先に、弁護士に借金の減額を相談する方法があります(債務整理)。
- 毎月返しているのに、元金がほとんど減らない
- 返済のために、別の会社から借りている
- 支払いが遅れて、督促の電話やSMSが来ている
ライズ綜合法律事務所の減額相談は、借入金額などの質問に答えるだけで申し込めます。相談は無料で、匿名でも申し込めます。家族や知人に知られないよう配慮して対応すると案内されています。
※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。
熊本地震でローンの返済が苦しいときの相談先と電話番号
支払いが遅れる前に、次の窓口に連絡してください。いずれも政府・金融庁などの公式ページに載っている窓口です。
| 窓口 | 電話番号・受付時間 | 相談できること |
|---|---|---|
| 令和8年熊本地震金融庁相談ダイヤル | 0120-156-811(フリーダイヤル) 平日10:00〜17:00 IP電話は03-5251-6813 | どの金融機関の窓口に問い合わせればよいか、金融機関との取引・返済の相談 |
| 災害相談用フリーダイヤル(総務省の特別行政相談) | 0120-091-110 9:00〜16:45(10月13日以降は平日のみ) | 支援制度や相談窓口が分からないときの総合案内 |
| 被災住宅の補修等相談ダイヤル(住まいるダイヤル) | 0120-330-712 10:00〜17:00(土日祝を除く) | 住宅の補修に関する電話相談。便乗した悪質な修理業者への不安 |
| 借入先の金融機関 | 各金融機関に確認 | 返済の猶予・条件変更、ガイドラインの手続着手の申出 |
全国銀行協会は2026年7月29日、会員にガイドラインの周知と、災害に伴う債務の相談への適切な対応を要請しました。借入先の銀行に遠慮せず、まず状況を伝えて構いません。
電話するときは、借入先・残高・毎月の返済額・被害の状況(罹災証明書の有無)を手元にそろえておくと話が早く進みます。
特定調停の申立手数料が無料に|自然災害債務整理ガイドラインの熊本地震のポイント
自然災害債務整理ガイドラインは、災害の影響で住宅ローンなどを返せなくなった個人が、破産などの法的な手続きによらず、金融機関等との合意でローンの全部または一部の免除・減額を受けられるようにするルールです。金融庁の熊本地震のページでも、住宅ローンなどの返済に困っている被災者(個人)向けの方法として案内されています。

運営機関(一般社団法人東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関)の熊本地震向けリーフレット(2026年8月)が挙げるメリットは、次の3つです。
| メリット | リーフレットの説明(要旨) |
|---|---|
| 手続支援が無料 | 弁護士のほか公認会計士・税理士・不動産鑑定士の「登録支援専門家」による手続支援を無料で受けられる。さらに下の条件に当てはまれば「特定調停申立手数料」も法令上の手当てにより無料 |
| 財産の一部を手元に残せる | 義援金等に加えて、財産の一部を手元に残せる。具体的な内容は被災状況や生活状況などの個別事情で異なる |
| 個人信用情報として登録されない | 債務整理をしたことが個人信用情報として登録されないため、新たな借入れに影響が及ばない |
特定調停の申立手数料が無料になる条件
リーフレットに書かれている無料の条件は、次の2つを両方満たすことです。
- 対象者:令和8年熊本地震に際し災害救助法が適用された市町村に住所等を有していた方
- 適用期間:2026年7月28日から2029年6月30日までに、裁判所に民事調停の申立てをする場合
内閣府の被災者支援情報にも、令和8年熊本地震が特定非常災害に指定された(2026年8月7日)ことによる措置として、民事調停の申立手数料の免除(令和8年熊本地震による災害に起因する民事に関する紛争について)(令和11年6月30日まで)が載っています。どの市町村が災害救助法の適用地域かは、内閣府の「防災情報のページ」で確認できます。
注意したいのは、無料になるのは手数料の部分だという点です。リーフレットは、債務の免除等には一定の要件(債務者の財産や収入、信用、債務総額、返済期間、利率といった支払条件、家計の状況等を総合的に考慮して判断)を満たすことと、ローンの借入先の同意が必要だと明記しています。誰でも自動的に減額されるわけではありません。
申し出から調停が成立するまでの流れ
リーフレット裏面の「手続の流れ」は、次の7段階です。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 手続着手の申出 | 最も多額のローンを借りている金融機関等へ、ガイドラインの手続着手を希望することを申し出る。借入先・借入残高・年収・資産(預金など)の状況を聞かれることがある。必要な事項を聞き終えた日が申出日になる |
| 2. 専門家による手続支援の依頼 | 1の金融機関等の同意後、地元弁護士会などを通じて運営機関に「登録支援専門家」の支援を依頼する |
| 3. 債務整理(開始)の申出 | 金融機関等に申出書や財産目録などを提出する。申出後は債務の返済や督促が一時停止になる |
| 4. 「調停条項案」の作成 | 登録支援専門家の支援を受けながら、金融機関等との協議で債務整理の内容を盛り込んだ書類を作る |
| 5. 調停条項案の提出・説明 | 登録支援専門家を経由して提出・説明する。金融機関等は1か月以内に同意するか回答する |
| 6. 特定調停の申立て | 対象にする全ての借入先の同意が得られたら、簡易裁判所へ特定調停を申し立てる |
| 7. 調停条項の確定 | 特定調停で調停条項が確定すれば、債務整理が成立する |
リーフレットの注記によると、登録支援専門家は特定調停の申立書類の作成などを支援できますが、原則として特定調停の場に出頭することはできず、債務者本人の出頭が必要です。
対象になる要件(災害の影響で返済できないこと、延滞が災害前になかったことなど7つ)や、メリット・注意点を詳しく知りたい方は、台風25号の記事で運営機関のQ&Aにもとづいて整理しています。内容はそのまま熊本地震にも当てはまる部分が多いので、あわせて読んでください。→ 台風25号でローンが返せないときの「自然災害債務整理ガイドライン」|要件・メリット・手順
特定非常災害の指定で変わる手続きと期限の一覧
令和8年熊本地震は、2026年8月7日に特定非常災害に指定されました。内閣府の被災者支援情報に載っている主な措置は、次のとおりです。期限を過ぎてから慌てないよう、自分に関係するものだけでも確認してください。
| 措置 | 期限 |
|---|---|
| 運転免許証などの許認可等の有効期間の延長 | 最長で令和9年(2027年)1月27日まで ※免許証は熊本県の10市10町1村にお住まいの方が対象 |
| 届出などの義務を期限内に履行できなかった場合の免責 | 令和8年(2026年)11月27日まで |
| 相続の承認・放棄をすべき期間(熟慮期間)の延長 | 令和9年(2027年)3月31日まで |
| 法人に係る破産手続開始の決定の留保 | 令和10年(2028年)7月27日まで |
| 民事調停の申立手数料の免除(令和8年熊本地震による災害に起因する民事に関する紛争について) | 令和11年(2029年)6月30日まで |
| 被災者向けの無料法律相談(法テラス) | 令和9年(2027年)7月27日まで(資力にかかわらず無料) |
国税の申告・納付の期限延長や納税の猶予の特例もあります(国税庁のページで確認できます)。生活費が足りないときの公的な貸付は、お金が必要なのにどこからも借りれない時の最終手段と公的支援でも整理しています。
被災した事業者の方へ|10月9日に開設された熊本産業復興相談センター
個人事業主や中小企業の方については、2026年10月9日に内閣府・金融庁・中小企業庁が「熊本産業復興相談センター」の開設を発表しました。過去の被災等による借入が負担となって新しい資金調達が難しい、いわゆる多重債務問題に対応するための窓口です。
- 場所:熊本商工会議所ビル3階(熊本市中央区横紺屋町10)。電話は096-311-1288
- 開設日:2026年10月9日(金)から相談対応を開始。今後、八代市内にも相談窓口を開設する予定
- 主な業務:ワンストップの相談、事業計画・再生計画の策定支援
- ファンド:中小機構とREVICが「令和8年熊本地震復興支援ファンド(仮称)」を設立する。総額は最大50億円
被災に便乗した詐欺・悪質商法に注意
金融庁は、過去の災害では義援金の募集を装った振り込め詐欺などが多数あったとして、熊本地震でも善意に乗じた犯罪が起きるおそれがあると注意を呼びかけています。生活再建のお金に関わる場面では、次の点に気をつけてください。
- 「保険が使えるので無料で直せる」と勧誘する住宅修理業者や、保険金の請求を代行すると言う業者とのトラブルが増えているとされています。保険金の請求で、市町村が出す罹災証明書の提出は原則不要です。
- 二次元コードを添えて寄附を求める投稿や、義援金・支援物資を募るメール・SNSは、すぐに信じて払わないでください。
- ガイドラインの手続きを手伝うと言って報酬を求める業者(金融庁・財務局・運営機関が他の事業者に事業を委託することはなく、運営機関が注意を呼びかけています)。
- 不安なときは、消費者ホットライン188(局番なし)、警察相談専用電話#9110に相談できます。
返済に困っている人の弱みにつけ込む「ヤミ金」や個人間融資も、災害後に増えるおそれがあります。手口と対処はヤミ金の手口と実態で確認してください。
ガイドラインを使えない・間に合わないときの選択肢
要件に当てはまらない場合や、借入先の同意が得られない場合は、別の方法もあります。
- 借入先への返済猶予・条件変更の相談:まず借入先に被災の事情を伝えます。
- 法テラスの無料法律相談:2027年7月27日まで、資力にかかわらず無料で利用できます。借金・相続・不動産の悩みをまとめて相談できます。
- 任意整理・個人再生・自己破産:弁護士・司法書士に依頼し、受任通知が届くと、貸金業者などからの督促は原則として止まります。
被災とは関係のないカードローンなどの借入が重なっているときは、債務整理の相談も一つの方法です。
借金の減額は、弁護士に無料で相談できます
支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。
ライズ綜合法律事務所では、質問に答えるだけで借金の減額相談を無料で申し込めます(匿名でも可)。まずは減らせる可能性があるかだけでも確かめてみてください。
※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。
よくある質問
熊本地震でローンの返済が苦しいとき、最初にどこへ相談すればいいですか?
金融機関との取引や返済に関する相談は、金融庁の「令和8年熊本地震金融庁相談ダイヤル」(フリーダイヤル0120-156-811、平日10時〜17時)で受け付けています。借入先の金融機関に直接相談することもできます。
熊本地震では特定調停の申立手数料が無料になりますか?
運営機関のリーフレット(2026年8月)によると、令和8年熊本地震で災害救助法が適用された市町村に住所等を有していた方が、2026年7月28日から2029年6月30日までに裁判所へ民事調停の申立てをする場合は、特定調停申立手数料も法令上の手当てにより無料です。
自然災害債務整理ガイドラインはどこに申し出ればいいですか?
最も多額のローンを借りている金融機関等に、ガイドラインの手続着手を希望することを申し出ます。受付窓口は、その金融機関に確認してください。
ガイドラインを使うと信用情報(ブラックリスト)に載りませんか?
運営機関のリーフレットは、債務整理をしたことが個人信用情報として登録されないため、新たな借入れに影響が及ばないことをメリットとして挙げています。ただし、運営機関のQ&Aによると、調停で決まった返済を履行できない場合などは報告・登録される場合があるとされています。
ローンの返済だけでなく、相続や法律の相談も無料でできますか?
内閣府の被災者支援情報によると、不動産問題・金銭問題・相続問題などの法律相談を、令和9年7月27日まで資力にかかわらず無料で受けられます(法テラスの熊本地震被災者向け無料法律相談)。
関連記事
出典
- 金融庁「令和8年熊本地震関連情報」
- 金融庁「熊本産業復興相談センター」の開設及び「令和8年熊本地震復興支援ファンド」の設立について(令和8年10月9日)
- 金融庁「多重債務相談に係る令和8年熊本地震への対応について」(令和8年8月6日)
- 運営機関リーフレット「令和8年熊本地震で被災された皆さまへ」(財務省九州財務局掲載・2026.8)
- 運営機関「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン Q&A」
- 東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関
- 首相官邸「令和8年熊本地震 被災者支援情報」(最終更新 令和8年10月9日)
- 全国銀行協会「令和8年熊本地震に係る災害等への対応について」(2026年7月29日)
- 写真2点(アイキャッチ・本文):Hyppolyte de Saint-Rambert(Wikimedia Commons 1・Wikimedia Commons 2、CC BY 4.0)。熊本城の写真で、今回の被害を示すものではありません。
更新履歴
- 2026年10月9日:記事を公開しました。
