「どこからも借りれない、助けて」という状況では、借入れで解決しようとするほど、状況が悪くなることがあります。この記事では、貸金業者から借りれなくなる仕組み、借金の金額の基準が破産法にないこと、ヤミ金から借りてしまったときの考え方、債務整理4つの方法、無料で相談できる窓口を、法令と公的機関の資料にもとづいて整理します。
- 貸金業者は返済能力の調査を義務づけられ、借入残高が年収の3分の1を超える貸付けは原則禁止です(総量規制)。
- 「いくらから危険」という金額の基準は、破産法の条文にありません。返済のための借入れが続くなら、相談を考える時期です。
- ヤミ金の貸付けは無効で、元金も返済する必要はありません(法テラス)。自分だけで対処せず、弁護士・司法書士や警察に相談します。
- 債務整理には任意整理・特定調停・個人再生・自己破産があり、法テラスやJCCOなどで無料で相談できます。
返済のために借りる前に、借金を減らせるか確認しませんか
次のどれかに当てはまるなら、新しく借りるより先に、弁護士に借金の減額を相談する方法があります(債務整理)。
- 毎月返しているのに、元金がほとんど減らない
- 返済のために、別の会社から借りている
- 支払いが遅れて、督促の電話やSMSが来ている
ライズ綜合法律事務所の減額相談は、借入金額などの質問に答えるだけで申し込めます。相談は無料で、匿名でも申し込めます。家族や知人に知られないよう配慮して対応すると案内されています。
※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。
貸金業者から借りれなくなる理由:総量規制と返済能力の調査
貸金業法13条は、貸金業者に、貸付けの契約を結ぶ前に、顧客の収入、資力、借入れの状況、返済計画などの返済能力を調査するよう求めています。13条の2は、調査の結果、返済能力を超える貸付けと認められる契約を結ぶことを禁じています。個人向けの貸付けでは、貸金業者からの借入残高の合計が年収などの3分の1を超えることになる契約が、原則として禁止されます(総量規制)。
日本貸金業協会の説明では、この3分の1は、全ての貸金業者からの借入れの合計に適用されます。たとえば、年収300万円の人がA社から80万円をすでに借りている場合、B社、C社から借りられるのは合計で20万円までです(300万円×1/3−80万円)。保証人がいても、貸金業者からは年収の3分の1を超える借入れはできません。銀行などは「貸金業者」ではないため、銀行のローンは総量規制の対象外です。仕組みは総量規制とはで解説しています。
借りれない理由は、これ以外にも、延滞などの信用情報の登録、収入の確認ができないことなど、いくつか重なっている場合があります。どれが原因かを、この場で一つに特定することはできません。
「借金がいくらから危険か」を示す金額の基準は、破産法にない
破産法15条1項は、債務者が支払不能にあるときは、裁判所が破産手続を開始する、と定めています。2条11項は、「支払不能」を、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものについて、一般的かつ継続的に弁済することができない状態、と定義しています。条文に、「借金が何円を超えたら」という金額の基準はありません。収入や資産と、返済期限の来ている債務を比べて、返済を続けられるかどうかが問題になります。
総量規制の「年収の3分の1」は、貸金業者の貸付けを制限する基準で、借りる側の「安全ライン」として定められたものではありません。また、金融庁は、違法な金融業者について、返済のために別の違法な金融業者から借りることを繰り返し、悪循環に陥る、と注意しています。返済のための借入れを重ねているなら、金額にかかわらず、相談を考える時期です。
すでにヤミ金から借りてしまった場合
金融庁は、違法な金融業者の誘い文句として、「低金利で融資」「他店で断られた方でもOK」「らくらく・簡単」「即日融資」を挙げています。特に、自己破産者や返済に困っている多重債務者がねらわれる、としています。
法テラスは、ヤミ金について次のように説明しています。
- ヤミ金とは:貸金業の登録をせずに営業を行う業者や、出資法に定める金利以上の金利で貸付けを行う違法業者のこと。出資法が規制する年20%(平成22年6月17日以前は年29.2%)を超える利率による利息の契約、支払要求、受領をする行為は犯罪行為
- 借りてしまったとき:ヤミ金からの貸付けは無効で、元金についても返済する必要はない。自分だけで対処することは困難なため、至急、弁護士・司法書士や警察等に相談する
- 覚えのない振込み:口座に借りた覚えのないお金を振り込まれ、利息を含めた返済を求められるのは、いわゆる「押しつけ融資」と考えられる。元金についても返済する必要はない
- すでに返済した分:返済のために支払ったお金は、利息、元本を問わず全額を損害として賠償請求できる
金融庁の相談窓口として、金融サービス利用者相談室(0570-016811)、警察相談専用電話(#9110)、消費者ホットライン(188)が案内されています。ヤミ金の手口はヤミ金とは、取立ての規制は貸金業者の取立て規制で解説しています。
返済が難しいなら:債務整理の4つの方法
借入れが増えて返済が難しいときは、新たに借りるのではなく、債務整理を検討します。法テラスは、方法を次のように説明しています。
| 方法 | 法テラスの説明 |
|---|---|
| 任意整理 | 裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続。支払をしていくことが必要なため、原資の確保や家計管理が必要 |
| 特定調停 | 債務の弁済ができなくなるおそれのある債務者の経済的更生を図るための調停手続。裁判所の指定する調停委員のもとで債権者と話合いをし、債務の削減、分割払い等について合意できれば調書に記載される |
| 個人再生 | 返済総額を少なくし、その後の金額を原則3年間で分割して返済する再生計画を立て、債権者の意見を聞いたうえで裁判所が認めれば、計画どおりの返済により残りの債務が免除される手続(養育費・税金など一部の債務は免除されない) |
| 自己破産 | 債務の支払が不能な場合に、一定の財産を債権者に平等に分配した上で、債務を支払わなくてよい状態にする(免責)裁判所における手続 |
任意整理のメリットとして、法テラスは、自己破産のように財産を失わないこと、職業・転居・長期の旅行等の制限を受けないこと、官報に住所や氏名等が記載されないことを挙げています。デメリットは、債権者の了解と支払原資が必要になること、信用情報を取り扱う機関に登録されることにより、数年間は借入れやクレジットカードの作成が難しくなることです。方法の比較は債務整理4種類の違いで整理しています。
弁護士や司法書士が債務整理の依頼を受け、貸金業者に対してその旨の通知を行った場合、通常、貸金業者からの連絡は止まります(法テラス)。銀行や個人債権者については、法的に直接の取立てが禁じられているわけではありませんが、通常、直接の連絡が止まることがほとんどだと説明されています。
無料で相談できる窓口と、費用の目安
金融庁の「多重債務についての相談窓口」のページには、債務整理(借金問題)の相談先として、法テラス、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会、日本貸金業協会、日本クレジットカウンセリング協会、全国銀行協会が挙げられています。登録貸金業者に関する苦情・相談先は、日本貸金業協会と国民生活センターです。
- 法テラス・サポートダイヤル:0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)。経済的にお困りの人を対象に、弁護士・司法書士との無料法律相談と、費用の立替えを行っています。立替えの利用には、収入や資産が一定基準以下であることなどの条件と審査があり、立て替えた費用は分割で支払います(利息等はなし)。費用は債務整理の費用が払えないときで整理しています
- 日本クレジットカウンセリング協会(JCCO):多重債務ほっとライン0570-031640。電話相談やカウンセリングは無料で、希望により無料で任意整理と家計管理の改善の手伝いもしています(JCCOの無料借金相談)
- 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター:0570-051051(土・日・祝休日・年末年始を除く9時〜17時)
借りるのを自分で止める制度と、生活そのものの相談
日本貸金業協会の「貸付自粛制度」は、本人が、浪費の習癖があることなどを理由に、自らを自粛対象者とする旨を協会に申告する制度です。申告された情報は個人信用情報機関(JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センター)に登録され、加盟会員が照会した場合に提供されます。登録期間は5年以内で、登録から3か月間は撤回できず、登録手数料はかかりません。会員の照会状況によっては貸付自粛が確約されるものではない、とも説明されています(詳しくは貸付自粛制度とは)。
収入が足りず、借入れで生活を回している場合は、借金の整理とあわせて、生活の立て直しも必要です。生活困窮者自立支援法にもとづき、市等が自立相談支援事業を行い、就労や居住などの自立に関する相談に応じています。資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する場合は、福祉事務所の生活保護担当が相談・申請の窓口です。社会福祉協議会の緊急小口資金は、10万円以内・無利子の公的な貸付けですが、返済が必要で、償還可能性が考慮されます。
「審査なし」をうたう業者や個人間融資、給与ファクタリングは、貸金業の登録がない違法な貸付けである可能性が高いため、使わないでください。
借金の減額は、弁護士に無料で相談できます
支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。
ライズ綜合法律事務所では、質問に答えるだけで借金の減額相談を無料で申し込めます(匿名でも可)。まずは減らせる可能性があるかだけでも確かめてみてください。
※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。
まとめ
- 貸金業者から借りれないのは、返済能力の調査と総量規制が主な理由の一つ。ほかの事情も重なる場合がある。
- 破産法に「いくらから」という金額の基準はなく、「支払不能」かどうかが問題になる。
- ヤミ金の貸付けは無効で、元金も返済不要。すでに払った分は損害として賠償請求できる(法テラス)。
- 返済が難しいときは、債務整理(任意整理・特定調停・個人再生・自己破産)を比べて相談する。
- 法テラス、JCCO、日本貸金業協会などの窓口で相談できる。借りるのを止める貸付自粛制度もある。
よくある質問
どこからも借りれないのは、借りすぎだからですか?
貸金業者は、返済能力の調査を義務づけられ、返済能力を超える貸付けの契約は禁止されています。貸金業者の借入残高が年収の3分の1を超えると、原則として新たに借りることはできません。ただし、信用情報の登録など、ほかの事情も重なっている場合があります。
借金がいくらからやばいと言えますか?
破産法の条文に、金額の基準はありません。破産法は、債務者が支払能力を欠くために、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態を「支払不能」とし、破産手続開始の原因としています。返済のための借入れが続いているなら、早めの相談を考えてください。
ヤミ金から借りたお金は、返さないといけませんか?
法テラスによると、ヤミ金からの貸付けは無効で、元金についても返済する必要はありません。ただし、ヤミ金業者は違法と分かっていて貸し付けているため、自分だけで対処せず、至急、弁護士・司法書士や警察等に相談するべきだとされています。
債務整理を依頼すると、取立ての連絡は止まりますか?
法テラスは、弁護士や司法書士が債務整理の依頼を受け、貸金業者に通知を行った場合、通常、貸金業者からの連絡は止まる、と説明しています。銀行や個人債権者については、通常、直接の連絡が止まることがほとんどだと説明されています。
弁護士費用が払えないときはどうすればよいですか?
法テラスは、経済的にお困りの人を対象に、弁護士・司法書士との無料法律相談と、費用の立替えを行っています。収入や資産が一定基準以下であることなどの条件と審査があります。立て替えた費用は、利息なしで分割して支払います。
出典
- e-Gov法令検索「貸金業法」(第13条、第13条の2)
- e-Gov法令検索「破産法」(第2条、第15条)
- 日本貸金業協会「お借入れは年収の3分の1まで(総量規制について)」
- 金融庁「違法な金融業者にご注意!」(令和8年9月18日更新)
- 金融庁「多重債務についての相談窓口」
- 法テラス「ヤミ金とは何ですか。」
- 法テラス「ヤミ金からお金を借りてしまいました。どうすればいいですか。」
- 法テラス「口座に借りた覚えのないお金を振り込まれ、利息を含めた返済を求められています。」
- 法テラス「ヤミ金業者からの借入れの返済をした場合、支払ったお金は返してもらえるのですか。」
- 法テラス「任意整理とは何ですか。」
- 法テラス「任意整理のメリット・デメリットは何ですか。」
- 法テラス「弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、貸金業者からの連絡が止まるのですか。」
- 法テラス「自己破産とは何ですか。」
- 法テラス「個人再生とは何ですか。」
- 法テラス「特定調停とは何ですか。」
- 法テラス「無料法律相談・弁護士等費用の立替」
- 法テラス「弁護士・司法書士費用等の立替制度のご利用の流れ」
- 公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)
- 日本貸金業協会「貸付自粛制度」
更新履歴
2026年10月9日:記事を公開しました。
