少額訴訟の訴状が届いたら|60万円以下・原則1回で判決・被告は分割払いを求められる

少額訴訟の訴状が届いたら|60万円以下・原則1回で判決・被告は分割払いを求められる

裁判所から「少額訴訟」の訴状が届くと、「1回で判決が出るなら、準備する時間がない」と焦る人は多いはずです。少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求める、原則1回で終わる裁判です。この記事では、裁判所の案内と民事訴訟法をもとに、被告になった人の対応、分割払いを求める方法、判決後の異議と強制執行を整理します。

先に結論
  • 少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則1回の審理で解決を図る手続です(裁判所)。
  • 被告は、最初の期日で弁論をする前なら、通常の手続に移行させる旨を申し述べられます(民事訴訟法373条)。
  • 資力などを考慮して特に必要なときは、3年を超えない範囲の分割払い・支払猶予の判決がされることがあります(同法375条)。
  • 判決への不服は、受け取った日の翌日から2週間以内の異議のみで、控訴はできません。仮執行宣言が付き、判決後に強制執行されることがあります。
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目次

少額訴訟とは:60万円以下、原則1回で終わる裁判

裁判所の「少額訴訟」のページによると、少額訴訟は、民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争解決を図る手続です(民事訴訟法368条1項)。60万円以下の金銭の支払を求める訴えであれば、請求する側(原告)が、少額訴訟による審理と裁判を求めることができます。

少額訴訟では、原告のすべての言い分と証拠が、最初の期日までに裁判所に出されます。証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限られます。同じ裁判所で1人が利用できる回数は、年間10回までです。通常の訴訟と同じように、訴訟の途中で話合いによって解決する「和解」をすることもできます。和解の内容が記載された和解調書に基づいて、強制執行を申し立てることもできます(裁判所)。なお、裁判所の案内では、令和8年5月21日以降、訴状の提出は、書面に加えて、オンライン(民事裁判書類電子提出システム[mints])でもできるようになりました。

少額訴訟を起こされた被告の対応の流れ

場面被告(訴えられた側)の対応
訴状と呼出状が届いた最初の期日(1回目の審理の日)に向けて、言い分と証拠を準備する。少額訴訟は、原則としてこの1回で審理を終える(民事訴訟法370条1項)
少額訴訟のままでは困るとき最初の期日で弁論をする前(期日が終了するまでに)、通常の手続に移行させる旨を申し述べることができる(同法373条1項)
期日に出席する期日前または期日に、すべての攻撃・防御の方法(言い分と証拠)を出す(同法370条2項)。分割払い・支払猶予を希望するときは、その事情を伝える
判決請求が認められる判決でも、資力などを考慮して特に必要があるとき、判決の言渡しの日から3年を超えない範囲で、支払の時期の定めや分割払いの定めがされることがある(同法375条1項)
判決に不服があるとき電子判決書などの送達を受けた日から2週間以内に、判決をした裁判所に異議を申し立てる(同法378条1項)

少額訴訟では、期日が1回で終わるのが原則なので、「次回までに考える」ができません。訴状と呼出状が届いたら、最初の期日までに、言い分や、払える金額・時期を整理しておきます。通常の訴状が届いたときの答弁書や欠席のリスクは、訴状が届いたら答弁書を期限内にで解説しています。

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被告は、通常の裁判に移すこともできる

民事訴訟法373条1項は、被告が、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる、と定めています。ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、またはその期日が終了した後は、できません。申述があった時に、訴訟は通常の手続に移行します(同条2項)。

裁判所の案内では、被告の申立てで通常訴訟に移行することもあり、紛争が複雑であるなどの理由から、裁判所の判断で通常訴訟に移行することもある、とされています。1回の期日で言い分をまとめるのが難しいときは、移行を求めるかどうかを、期日の前に決めておく必要があります。

判決で、分割払いや支払猶予を求められる

裁判所の案内によると、少額訴訟では、原告の言い分が認められる場合でも、分割払、支払猶予、遅延損害金免除の判決がされることがあります。民事訴訟法375条1項は、請求を認める判決をする場合に、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から3年を超えない範囲内で、次のような定めをすることができる、としています。

  • 認める請求に係る金銭の支払について、その時期の定め、または分割払いの定め
  • これと併せて、定めに従って支払をしたときは、訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定め

分割払いの定めをするときは、被告が支払を怠った場合の期限の利益の喪失についての定めをしなければなりません(同条2項)。この定めに関する裁判に対しては、不服を申し立てることができません(同条3項)。つまり、分割払いを希望するなら、期日で、収入や生活の状況など、資力の事情を具体的に伝えることが重要です。

判決のあと:仮執行宣言・異議・強制執行

民事訴訟法376条1項は、請求を認める判決については、裁判所が職権で、仮執行をすることができることを宣言しなければならない、と定めています。そのため、判決が確定する前でも、強制執行が可能になることがあります。裁判所の案内では、少額訴訟の判決や和解調書などについて、判決などをした簡易裁判所で、金銭債権(給料、預金など)に対する強制執行(少額訴訟債権執行)を申し立てることができる、とされています。差押えの仕組みは預金口座を差し押さえられたらと給料の差し押さえはいくらまで?で解説しています。

少額訴訟の判決に不服がある場合は、当事者が判決を受け取った日の翌日から起算して2週間以内に、異議を申し立てなければ、確定します。確定すると、判決の内容を争うことができなくなります。不服申立ては異議に限られ、控訴はできません。異議があったときは、同じ簡易裁判所で通常の手続により審理・裁判がされますが、この異議訴訟の判決に対しては、控訴が禁止されています(同法380条)。

期日に出席しないとどうなる?

民事訴訟法158条は、被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭しないときは、裁判所は、その者が提出した答弁書などに記載した事項を陳述したものとみなす、と定めています。また、159条は、当事者が相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合、その事実を自白したものとみなす、と定めています(同条3項により、期日に出頭しない場合にも準用されます)。答弁書も出さずに欠席すると、原告の主張を争わなかったことになる場合があるため、出席できないときは、裁判所に事前に連絡して、対応を相談してください。

特別送達を受け取らない、引っ越したのに届け出ないなどの場合の扱いは、訴状が届いたら答弁書を期限内にに整理しています。

払えないときは、判決の前に債務整理も検討

少額訴訟の請求額が小さくても、ほかにも借金があって返済全体が難しいときは、弁護士・司法書士に債務整理を相談する方法があります。任意整理は任意整理のメリット・デメリット、自己破産は自己破産のメリット・デメリット、個人再生は個人再生とは?で解説しています。費用が心配なときは、債務整理の費用が払えないときで整理した法テラスの立替制度があります。

相談は、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374、平日9時〜21時、土曜9時〜17時)でも案内を受けられます。支払に困って、「審査なし」をうたう業者や個人間融資、給与ファクタリングから借りるのは、貸金業の登録がない違法な貸付である可能性が高いため、やめてください。

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支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。返済が難しいときは、早めに専門家へ相談すると、返済の負担を見直せる場合があります。任意整理・個人再生・自己破産のどれが合うかは、借入額や収入によって変わります。

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※相談しても必ず減額できるとは限りません。債務整理を依頼する場合は所定の費用がかかります。

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まとめ

  1. 少額訴訟は、60万円以下の金銭請求について、原則1回の審理で解決を図る手続。
  2. 被告は、最初の期日で弁論をする前なら、通常の手続への移行を申し述べられる。
  3. 資力などを考慮して特に必要なとき、3年を超えない範囲で分割払い・支払猶予の判決がされることがある。不服は申し立てられない。
  4. 判決への不服は、2週間以内の異議のみ。控訴はできない。仮執行宣言により、確定前でも強制執行が可能になることがある。
  5. 他の借金もあって払えないときは、期日に出席し、債務整理も弁護士・司法書士に相談する。

よくある質問

少額訴訟とは、何ですか?

60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で解決を図る、簡易裁判所の手続です(民事訴訟法368条、裁判所)。

少額訴訟を起こされたら、通常の裁判にできますか?

被告は、最初の期日で弁論をする前であれば、通常の手続に移行させる旨の申述ができます(民事訴訟法373条1項)。申述があった時に、通常の手続に移行します。

少額訴訟でも、分割払いにしてもらえますか?

裁判所は、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるとき、判決の言渡しの日から3年を超えない範囲で、支払の時期の定めや分割払いの定めをすることがあります(民事訴訟法375条1項)。必ず認められるわけではありません。

少額訴訟の判決に不服があるときは?

判決を受け取った日の翌日から2週間以内に、異議を申し立てます。控訴はできません。異議後は、同じ簡易裁判所で通常の手続により審理されます(民事訴訟法378条・380条、裁判所)。

少額訴訟の判決は、すぐに強制執行されますか?

請求を認める判決には、裁判所が職権で仮執行の宣言を付すため(民事訴訟法376条1項)、確定前でも強制執行が可能になることがあります。判決をした簡易裁判所で、給料や預金に対する強制執行(少額訴訟債権執行)も申し立てられます。

出典

更新履歴

2026年10月9日:記事を公開しました。

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